209系

東京・海浜幕張から府中本町を走る武蔵野線の209系500番台
撮影:ベジータ@西浦和駅

概要

209系は老朽化した103系などの通勤型車両を置き換えるために投入された車両である。1993年4月に京浜東北線、根岸線、南武線において登場した。さらにその後各地に進出したが、E233系1000番台が進出し所属先の移動や引退があり、2010年12月現在、0番台が南武線、500番台が中央・総武緩行線、京葉線、武蔵野線、1000番台が常磐緩行線、2000・2100番台が房総地区の各線、2200番台が南武線、3000・3100番台が八高線、川越線で活躍している。
また、この車両はJR東日本においては初めてLED式の行き先方向表示を採用した車両である。
そして、207系900番台に次ぐGTOサイリスタ素子採用車で、量産化されたのはこの形式が初となっている。
本系列E127系、E217系、E501系、701系の設計ベースとなった。そして、当時の他の鉄道会社にも大きな影響を与えた。
車両製作については東急車輛、川崎重工、東日本旅客鉄道新津車両製作所・大船工場(現鎌倉総合車両センター)で行われた。
ここでは、試作車から3100番台まですべての番台について紹介する。

性能

設計最高速度(曲線通過速度):110km/h(950番台は120km/h)
営業最高速度:
八高線、東金線、鹿島線など:85km/h
常磐緩行線:90km/h
中央・総武緩行線、南武線、武蔵野線など:95km/h
京葉線:100km/h
内房線、外房線など:110km/h
加速度:2.5km/h/s(1000番台は3.3km/h/s、2000・2100番台は2.0km/h/s)
減速度:
常用最大:
500番台、950番台:3.6km/h/s
1000番台:4.7km/h/s
上記以外:4.0km/h/s
非常:4.7km/h/s

制御装置・ブレーキ方式

900番台:富士重機製3レベルPTr素子VVVFインバータ装置
910番台:東芝製GTOサイリスタ素子VVVFインバータ装置
920番台、量産車:三菱電機製3レベルGTOサイリスタ素子VVVFインバータ装置(0番台:SC41A形、500番台:SC41C形、1000番台:SC41D形)
更新車(2000・2100番台、2200番台):三菱電機製2レベルIGBT素子VVVFインバータ装置(SC89形)
ブレーキ方式:回生ブレーキ併用電気指令式ブレーキ

台車

軸梁式ボルスタレス台車
M,M'車:DT61形
T,T'車:TR246形

車内

後から登場するE231系の元となった。ドア上にはJR東日本通勤型車両初のLED式の行き先方向表示が採用されている。

試作車

209系の試作車は900・910・920番台だ。それについて紹介する。
もとは901系と名乗っていた車両が、後に900・910・920番台と呼ばれるようになった。

900番台
元は901系A編成という車両で製造会社は川崎重工業、制御装置は富士重機製のPTr(パワートランジスタ)素子のVVVFインバータ制御で、制御単位は個別制御(1C1M)である。素子の耐電圧が低いことや、京浜東北線のデジタルATC化に対応できないことなどがあり、2001年に量産車と同じ三菱電機製のGTOサイリスタ素子(2500V-2000A)に改造された。
車体は2シート工法で、側窓は大型一枚窓だ。省略されていた7人掛け座敷部の中央の荷棚は量産化に伴い、増設された。運転台は2ハンドル式マスター・コントローラーだ。量産化改造で1ハンドル化した。2007年8月に運用離脱した。

910番台
元は901系B編成という車両で製造会社は東急車輛、制御装置は東芝製のGTOサイリスタ素子(4500V-500A)のVVVFインバータ制御で1C1M式だ。ATCデジタル化に伴い、非同期モードなどで走行音が若干変化した。
車体は在来工法を改良した。側窓は2枚窓。前面FRPの厚さが他より薄い。省略されていたつり革は量産化に伴い増設された。蛍光灯が枕木方向に設置されている。客用ドアガラスは金属金具押さえ支持である。他は接着式だ。
側面行き先表示は偶数番号号車のみに設置されている。運転台は1ハンドル式マスター・コントローラーだ。2006年12月に運用離脱した。

920番台
元は901系C編成という車両で1・3・6・10号車は川崎重工業製で、4・5号車は大船工場製だ。制御装置は量産車と同じだ。車体は川崎重工業製造分が2シート工法で、大船工場製造分が在来工法を改良したものになっている。側窓も、川崎重工業製造分は1枚窓だが、大船工場製造分は2枚窓となっていて違いがある。さらに、大船工場製造分は蛍光灯が枕木方向に設置されている。900番台同様、運転台は2ハンドル式マスター・コントローラーから1ハンドル化した。2007年3月に運用離脱した。
三鷹車両センターに10両編成1本(10両)が在籍し、中央・総武緩行線で運用されているE231系900番台というE231系の試作車があるが、209系950番台という車両だった。

209系0番台

概要

この車両は1993年に製造された初の量産車だ。
京浜東北線・根岸線では1993年2月15日、南武線では同年4月1日から運転が開始された。
浦和電車区には2007年10月1日現在では10両×78編成が在籍していたが2010年2月をもって全て運用離脱した。
中原電車区には6両×1編成が在籍している。(2012年1月27日現在)
運転台は1ハンドル式のマスター・コントローラーとなっている。浦和電車区のものは6ドア車もあった。行き先方向表示は幕式であった。しかし、中原電車区のものはLED化された。
中原電車区所属ナハ32編成はパンタグラフが以前の菱形からシングルアーム式に変わった。

209系500番台

概要

中央・総武緩行線の103系を置き換えるために1998年11月に落成し、12月29日から営業運転を開始した。この車両は新津車両製作所が初めて独自に設計した車両だ。
2006年に総武線には209系500番台の京浜東北線転属に伴いB80~82編成が増備された。
武蔵野線で2010年12月にしもうさ号、むさしの号定期運用化のダイヤ改正で、不足した編成を京葉線内で活躍している209系500番台で補うことになった。現在、京葉線仕様車は武蔵野線仕様に改造されており、10両編成が8両編成化やラインカラーの武蔵野線仕様化が行われている。
三鷹車両センターには10両×13編成、京葉車両センターには京葉線仕様が10両×1編成、武蔵野線仕様が8両×3編成が在籍している。(2012年1月27日現在)

209系1000番台

この車両は帝都高速度交通営団(現東京メトロ)千代田線での1999年12月4日の信号保安システム更新に伴う列車増発のために製造された209系唯一の地下鉄直通仕様の車両である。
地下鉄直通車のため、貫通扉があることが大きな特徴である。
起動加速度も3.3km/h/sと従来車より引き上げられている。さらに減速度が常用で4.7km/h/sで非常用と同じだ。7号車には誘導無線送受信機、妻面、床下には誘導無線アンテナが設置されている。
松戸車両センターに10両×2編成が所属している(2012年1月27現在)。また同線を走行していた203系、207系900番台はE233系2000番台の増備により引退したが、これ以後も運用に就いている。

209系2000・2100番台

この車両は房総地区で活躍する113系、211系を置き換えるため、京浜東北・根岸線で活躍していた元浦和電車区所属の0番台を、113系置き換えを目的に改造し投入された車両だ。これにより113系は2011年9月に運用離脱した。
空気式ドアエンジン装備車が2000番台、電気式ドアエンジン装備車が2100番台と区分されている。
0番台からの改造点はGTOサイリスタ素子がIGBT素子になったことのほか、外観では行き先方向表示がLED化されたこと、スカートが強化型になったこと、先頭車の電気連結器と自動解結装置の搭載、セミクロスシートの設置、車椅子対応の大型トイレの設置などが挙げられる。
2009年10月1日から運転を開始し、東金線では2010年3月13日、鹿島線では2010年12月4日に運用に就いた。
最終的には幕張車両センターに4両×42編成と6両×26編成の合計324両が投入される予定だ。

209系2200番台

この車両は南武線用の209系0番台を改造した車両だ。南武線には配属時期が異なる0番台が配属されていて、空気式ドアエンジン装備車と電気式ドアエンジン装備車が混在していた。それを電気式ドアエンジンに統一化するための改造車である。また、GTOサイリスタ素子はIGBT素子になり、行き先方向表示はLED化した。
中原電車区に6両×2編成が所属している。(2012年2月1日現在)
ナハ52編成はパンタグラフが菱形からシングルアーム式に交換された。

209系3000番台

1996年3月16日の八王子~高麗川間の電化開業時に新製された単線仕様車でハエ61編成は川崎重工業製で、他は東急車輛製だ。
基本的に0番台と同じ仕様だが、列車交換時の停車時間が長いため客用扉にドアスイッチを設置してある。
運用範囲は八王子~高麗川~川越間で、かつては青梅線立川まで乗り入れたが、今はその運用は消滅した。
川越車両センターに4両×4編成が所属している。

209系3100番台

2005年に八王子~高麗川~川越間で運用に投入された。同線の103系3000・3500番台は全て205系3000番台で置き換える予定だったが、2004年10月16日のダイヤ改正で埼京線・川越線と東京臨海高速鉄道りんかい線との相互直通運転の拡大が実施され、埼京線で205系10両編成1本が必要となり、この捻出用に205系3000番台4両×2編成が充当された。この不足分を補うために投入されたのがこの3100番台である。
東京臨海高速鉄道りんかい線の70-000系全車10両編成化に伴い余剰となった先頭車4両と中間車2両をJR東日本が購入し、改造して不足する2両を2005年3月に新製し、4両×2編成で登場した。3000番台とは共通で運用に就いている。
客用扉にはドアスイッチが設置された。ATC装置は撤去され、ATS-P形とATS-Sn形が設置された。当時、既にE231系などでIGBT素子を使用した車両も製造されていたが、あえて新製された2両も含めすべてGTOサイリスタ素子を採用している。新製された2両が本系列最後の製造車となった。また、JR東日本最後のGTOサイリスタ素子で新製された車両でもある。
川越車両センターに4両×2編成が所属している。

訓練車

写真の車両はMUE-Trainという愛称で、在来線用試験車を務めている。2008年10月にウラ2編成から7両が改造され、川越車両センターに配属された。

他に0番台の一部電動車MM'ユニットを廃車後、クハ208形・クハ209形と同様の運転台を新設して訓練車に改造したものがある。首都圏の訓練センターに残る103・105系ベースの訓練機械を置換えるため、2両編成3本が投入された。
旧モハ209・モハ208-76は大宮総合訓練センターに、旧モハ209・モハ208-39(大船工場製)が横須賀線久里浜駅構内の横浜支社総合訓練センターに、旧モハ209・モハ208-40が武蔵野線新秋津駅構内の八王子支社訓練センターにそれぞれ配置された。いずれも機械扱いで車籍はない。

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