旧1000形

普通列車として運転される旧1000形。
撮影地:大森海岸駅

概要

説明

昭和34年から都営浅草線直通用として製造さた3扉ロングシートである。全電動車方式とすることで加減速・高速性能共に優れていて、編成も2、4、6、8両とあるため汎用性が高く、普通から快特まで幅広く使われていた。
1000形は大きく2種類に分けられる。昭和34年~43年までに製造された車両は非冷房で、後に冷房化改造された。もうひとつは昭和46年~53年に製造された車両で、登場時から冷房が付いた。 登場時はどちらも行先表示幕が白幕であったたが、後者は黒幕化されたため“白幕車”“黒幕車”などと呼ばれたり、新製冷房車は集中型クーラーなのに対し、冷房化改造車は分散型クーラーであったため、“集中型クーラー”“分散型クーラー”と区別されたりもした。 初期車である白幕車は製造メーカーにより制御装置・駆動装置・台車の形式・メーカーなどが違っていて、基本的に東急車輌+東洋電機、川崎車輌+三菱電機と組合せであった。 駆動方式も東急+東洋は中空軸平行カルダン、川車+三菱はWNカルダンとなっていて、台車も前者は下揺枕の円筒ゴム式のTS-310、後者は下揺枕の軸梁式のOK-18(のちに一部は空気ばね上揺れ枕の軸ばね式のTS-811に交換)となっていた。
昭和46年以降の後期車である黒幕車は機器類の形式・メーカーの統一が図られ、電動機は東洋、制御装置は三菱、駆動方式は中空軸平行カルダンとなり、また台車は京急初の本格的な空気ばね台車であるTH-1000となった。 さらに、昭和49年製からは主電動機の出力が75kWから90kWに増強された。こうして1000形は最盛期には356両にまで達したが、老朽化により廃車が進み、最末期は4両編成と6両編成が数本残ったが、2010年6月に全車引退した。
現在、事業用車の牽引用に1351,1356号車のみが解体を免れている。

※以下のスペックは後期車のものである。

性能

加速度:3.5km/h/s
減速度:4.0km/h/s(常用)
減速度:4.5km/h/s(非常)
最高速度:120km/h

制御方式

直並列抵抗制御・弱め界磁制御

形式:ABF-128-15-MDHC形(三菱製)
抵抗段数:直列10段、並列6段、弱め界磁5段
制御単位:1C8M

ブレーキ方式

発電ブレーキ併用電磁直通空気ブレーキ

主電動機

昭和46~48年製
形式:TDK-815A形(東洋製)
種類:直流直巻電動機
出力:75kW
駆動方式:中空軸平行カルダン駆動
歯車比:77:14=5.5

昭和49~53年製
形式:TDK-815/1B形(東洋製)
種類:直流直巻電動機
出力:95kW
駆動方式:中空軸平行カルダン駆動
歯車比:77:14=5.5

台車

形式:TH-1000形
種類:ボルスタ付台車・空気ばね車体直結式
軸箱支持方式:ウイングばね式

補助電源

形式:MG-111形(三菱製)
種類:電動発電機(MG)
出力:75kVA

写真

(左)朝夕の優等列車に充当していた8両編成は2008年に消滅した。撮影地:三崎口駅
(右)ラッシュ時は堂々たる12両編成で運転する姿も見られた。撮影地:黄金町駅



2008年2月25日に京急創立110周年を記念してラッピングされた車両で、どちらも同年12月23日に引退した。
(左)この1321Fは大正~昭和初期をイメージしていて、主に大師線で運転されていた。撮影地:東門前駅
(右)1309Fは昭和20~30年代をイメージしていて、こちらは主に本線で運転されていた。撮影地:馬堀海岸駅



(左)今は全廃となった白幕車。撮影地:品川駅
(右)旧1000形の車内。



久里浜工場にて佇んでいる1351編成。 撮影地:京急ファインテックス久里浜工場

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