第2回 再生医療教育講座

本校は「平成28年度私立学校世界に羽ばたく人材育成推進事業」の「私立版未来の科学者育成プロジェクト推進事業」に茨城県より採択されました。
本校の具体的な実践項目は、次の4点を柱としています。
 @ 理数融合講座・実験講座
 A 再生医療社会における問題点の検討
 B 江戸川学園取手小学校のアフタースクールへの指導
 C 医科講話・医療教養講座・一日医師体験による医師としての自覚作り

今回は、上記の A に関しての講座を開講し、実践しました。

 1.  事業の名称  世界を牽引する医療系リーダーを育成する方策の開発

 2.  事業の目的  21世紀における科学技術人材の育成と医科教育に関する研究を行います。

 3.  事業の目標  小中高12ヶ年一貫教育の利便性を活かして心豊かでコミュニケーション能力や正しい発進力を身に付ける医科教育を行います。

 4.  講座の内容  京都大学の山中伸弥教授のノーベル賞受賞やiPS細胞を用いた治療の研究などにより、再生医療の最先端技術は国民にもその存在を知られるようになりました。しかし、我々一般市民にとっては、期待とともに不安を感じるところにあります。そこで再生医療について概要を学び、未来の再生医療の問題点について議論できる生徒の育成を目指します。

 5.  講座の日時  1回目 平成28年 9月20日(火曜日) 8:50〜9:40(50分)  ← 前回の様子はこちら
 2回目 平成28年10月18日(火曜日) 8:50〜9:40(50分)

 6.  講座の会場  江戸川学園取手中・高等学校 オーディトリアム

 7.  参 加 者  高等部医科コース生 (147名)
 1年 (51名)
 2年 (59名)
 3年 (37名)

 
 8.  本講座の講師  茨城大学教育学部養護教諭養成課程
 基礎医学研究室 准教授 石原 研治

9.   今回の時程
 8:50  〜  9:00  石原先生の挨拶 及び 発表に関する諸注意
 9:00  〜  9:05  高等部1年1組の発表
 9:06  〜  9:11  高等部1年2組の発表
 9:12  〜  9:17  高等部2年1組の発表
 9:18  〜  9:23  高等部2年2組の発表
 9:24  〜  9:29  高等部3年1組の発表
 9:30  〜  9:40  質疑応答 及び 石原先生からの講評・次回の課題提示

講義風景

         
 将来の学会発表を意識して時間厳守など諸注意をしました。    石原先生より生徒へ適切なアドバイスをして頂きました。    課題の確認と、クラス代表の発表を聴く姿勢など行ない、初めての企画が始まりました。
         
         
 高等部1年1組(担任:関先生)のクラス代表発表。
2012年のノーベル生理学・医学賞の受賞理由に関しての発表でした。
   オーディトリアムの壇上での初めての発表で緊張しつつも、調べてきた内容を堂々とわかりやすく伝えていました。    山中伸弥博士の研究の新規性はどこにあったのか? できるだけわかりやすく伝えるように工夫をしていました。
         
         
 高等部1年2組(担任:稲石先生)のクラス代表発表。
   ヒト白血球抗原(Human Leukocyte Antigen)について調べて発表しました。    再生医療用iPSストックなど、将来の再生医療の抱えている課題など発表しました。
         
         
 高等部2年1組(担任:熊代先生)のクラス代表発表。
臨床研究に向けての新しい技術開発についての発表でした。
   山中因子のうちガン化を引き起こす問題を解決する方法を調べていきました。一つの新しい技術が、すぐに臨床医療に用いられるのでなく、様々な問題を解決していっている段階であることを発表しました。    ウィルスベクターの問題点にも触れ、現在使用されているプラスミドベクターの利点など理想的な細胞の創出へ向けた京都大学の研究に関して調べた発表がありました。
         
         
 高等部2年2組(担任:綿引先生)のクラス代表発表。
2014年に世界初のiPS細胞を用いた加齢黄斑変性治療に関する発表でした。
   そもそも「加齢黄斑変性」とはどのような病気なのか、基本的なことから調べて発表しました。    一例目は無事に治療を終えて成功しましたが、なぜ二例目が途中で休止したのか発表しました。大切なのは、この問題について、社会的合意が充分に為されることだと思います。
         
         
 高等部3年1組(担任:兼 ,鍋島先生)のクラス代表発表。
加齢黄斑性治療に関する発表でした。
   先の高等部2年2組と発表テーマが重なってしまったので、石原先生の創作されたある家族の会話から、その家族や医師の関わり方に触れた発表に時間を費やしました。    まとめとして、今後、研究が進めば臓器移植などにも応用が可能となりますが、倫理的な面を考慮すると、実際の応用にはより慎重な議論が必要となる。しかし、iPS細胞は今まで治療法がなかった病気の突破口ともなり、医療の幅が広がる画期的な技術となっていくと発表がありました。
         
         
 いろいろな立場で医療を見ていく重要性を考えるきっかけとなりました。市民として何を考えなければならないのか。そして、医療従事者としてどのような情報をどのように伝えていかなくてはならないのか考えていかなくてはならないことがわかりました。そのためにも、基礎となる今の勉強をしっかりとしていかなくてはなりません。    医師が患者に対して行う治療の背景に様々な時間や問題があることを改めて認識することができました。石原先生が創作された架空のある家族の話し合いの背景から見えてくる問題点にも考えることができました。正しい解答はないかも知れませんが、常に自分なりに考え続けることの重要性を理解できました。    生徒たちに、これからの再生医療に関しての問題点など話しをして下さいました。どのような情報が必要なのか市民の立場や医師の立場など様々な多面的な視点が重要であると話しを頂きました。

次回の改善点として

 ●  紫峰祭など学校行事の後だったので、調べ学習に時間を要し、原稿を見ての発表が多かった。自分の言葉として発表できるように調べた内容を、自分なりに咀嚼してよりわかりやすい発表を心掛けること。
 ●  イラストや写真に対して参照先のアドレスなど明記して、他人の考えなのか、自分の考えなのか明確にしておくこと。
科学系発表の基本となります。
 ●  多様な価値観を持つ人間社会の中で、多面的な視点で考えることで自然と他者に謙虚な接し方ができるはずです。発表に関しても、聴いている方を意識した工夫を心掛けること。