ネマニャ・ラドゥロヴィチ
  &フレンズの演奏会に参加して

2組 T君 

私が自分の身体の異常に気がついたのは、一曲目が終わり、通訳の方が喋っている時のことでした。ラドゥロヴィッチ氏と演奏が得意なフレンズがステージに現れたのと同時に、オーディトリアム全体が、ステージ上のただ六人を残して心地よい陰翳に包まれ、私はその瞬間確かに自分の瞳孔がすぅっと広がるのを感じました。期待をはるかに上回るその演奏に心を奪われ、無心でヨーロッパ諸国に思いを馳せるという私の矛盾した情動と同じくして、私の身体にはもう一つの矛盾が立ち現れていました。瞳孔がさらに広がっていたように感じたのです。我を忘れて光り輝くステージ上を凝視していた私の目は、入り乱れる大量の光を無視して、押さえきれない興奮を密かに発信していたのです。私がそのように演奏に感動したのは、単にラドゥロヴィッチ氏の演奏技術がすばらしかっただけではなく、むしろその演奏風景に彼らの魂を感じたからです。「チャールダーシュ」では誰もが彼の速弾きの精密さと躍動感に息を呑んだでしょう。しかし、私が驚いたのは彼らがこの上なく楽しそうに、無邪気に演奏していたことでした。私には彼らが、「好きこそものの上手なれ」という言葉を前進と楽器で体現しているように見えました。また、その裏に私たちの想像もできないような過酷な練習の日々が隠れていることでしょう。
これからはあの一流たちに感化されたこの日を決して忘れず、自分が一流を目指していく糧にしていきたいです。


 




3組 Sさん  

私は吹奏楽とピアノをやっていたため、音楽を聴いたり演奏するのが好きなので今回のネマニャ・ラドゥロヴィチ&フレンズさんのコンサートは前からとても楽しみにしていました。いざ演奏が始まると、一般的な整然と演奏をするオーケストラとは違い、自由な雰囲気でお互いアイコンタクトを取りながら演奏をされていて、自分もあの中で演奏してみたいとさえ思いました。私が吹奏楽をやっていた時、同じパートの人とでさえも演奏中に奏者同士でアイコンタクトを取るということはなく、せいぜい指揮者とソロパートの時に目を合わせるぐらいだったので、少人数でもお互いの音を聴き合って演奏をするというのがとても羨ましかったです。
また、演奏をお聴きして感じたことはネマニャ・ラドゥロヴィチ&フレンズのメンバー全員が自分たちの音楽や、その音楽で人を楽しませることを楽しんでいるのだな、ということです。演奏している時ののびのびとした表情やアンコールで生徒みんなが大きな拍手をした時の嬉しそうな顔を見て私も嬉しくなりました。特にアンコールはアップテンポで激しい曲で、どんどんテンポを速めているのに指の動きに狂いがなく、思わず目を奪われワクワクした気持ちになりました。演奏する曲目も配慮して下さったのか、有名な曲・作曲家のものばかりで今まであまり音楽を聴いてこなかった人もコンサートを楽しめたと話していて、私もまた人前で演奏する機会があれば彼らの音楽に対する姿勢を見習いたいな、と思います。
このような世界的なアーティストの演奏はなかなかお聴きできるものではないので、絶対に忘れないようにしたいです。貴重な機会を与えて下さってありがとうございました。






4組 Rくん  

今回のコンサートは今までで一番印象に残りました。私はバイオリンをやったことがなく、バイオリンは詳しくはありませんが、それでもすばらしい演奏だったと思います。ラドゥロビィッチさんは1985年ユーゴスラビア生まれのセルビア人で、ザールランド州立音楽演劇大学、ベオグラード大学芸術音楽学部、パリ国立高等音楽院で音楽を学び、95年ストレサ国際、96年コチアン国際、2001年エネスコ国際、03年ハノーファー国際各コンクールに全て優勝するという素晴らしい成績を収められています。またラドゥロビィッチさんは家族とともに8年間もの間戦火の中を暮らしていたため、戦場のバイオリニストとも言われています。戦争の間でさえもラドゥロビィッチさんは音楽の楽しさを忘れなかったそうです。あるインタビューでは「肩を寄せ合い、手を取り合って音楽を聴く。そのとき隣にいる人を知っているかどうかは問題ではなくて、音楽を介して人と触れあい、人のぬくもりを感じることが、とても大事だったのです。」とコメントしています。音楽が人と人をつなげ、それが生きていく力となることを実感する背景を持つ方が江戸取に来られて素晴らしい演奏を披露し、その場に自分がいられたことは、本当に恵まれた機会だったと思います。今までクラシック音楽に対してあまり関心がなかったために聞いてこなかったのですが、今回のコンサートをきっかけにクラシック音楽への関心が高まりました。ラドゥロビィッチさんのバイオリン演奏に感動して、自分も同じようにとは言えませんが、大学生になったらバイオリンを始めてみたいなと思ったくらいです。このような素晴らしいイベントを企画して頂いたことに対して感謝したいと思います。






5組 Nくん  

 今回のコンサートのヴァイオリニストの方々は、とても気さくで親しみやすい方ばかりでした。曲の構成もすばらしく聞きやすかったです。
 1曲目のプニャーニの様式による前奏曲とアレグロに関しては、曲の演奏速度が速くなったり遅くなったり、また、音の強弱が強くなったり遅くなったりと頻繁に変わるので、お聴きしていてわくわくした気持ちになり、とても音楽自体を楽しむことができました。  特に中央で演奏されていたヴァイオリニスト方の手元を見るとものすごい速さでしかも完璧に演奏されている技術は目を見張るものがありました。2曲目のハバネラに関しては、曲調が変化する1曲目とは打って変わって、ゆったりとした一定のリズムが続くような曲でした。僕は自分の手足のように自由自在にヴァイオリンを操ることに本当に驚きました。最後に演奏されたチャールダーシュという曲は、曲の演奏速度が、曲の中でも最も速く演奏されていた感じがしたので、まだ速くなるのかどきどきしながら聴いていました。
 この演奏会では、ヴァイオリニストの方がステージ上を終始動き回っているのが見受けられましたが、ヴァイオリンの演奏だけでなく、あのようにリズムを取りながら、他の演奏者と意思疎通をしながら演奏することで、まさに協奏曲の醍醐味を味わうことができ、大変感動しました。改めて音楽のすばらしさを感じられたコンサートとなりました。ありがとうございました。






6組 Hくん  

僕は今回のネマニャ・ラドゥロヴィチ・アンドフレンズさんのコンサートをお聴きして、とても心に残る良い思い出になりました。印象に残ったのは、人柄についてです。これまで江戸取で何回か音楽のコンサートを鑑賞してきましたが、すばらしい演奏技術と相俟って美しい音色を奏でる演奏はありましたか、今回はそれだけでなく、音楽を心の底から楽しみ、全身を使って曲を表現している姿が深く心に残りました。僕も楽器を演奏する機会が以前あったので、よくわかるのですが、案外簡単そうに演奏している曲も弾き方や音の強弱、うねり方など、様々なところで技術を要し、大変だということです。また、今回はギターでいうと、リードギターのような役割で、僕自身もギターをやっているのでよくわかりますが、あれほど全身を使い、素早く指を動かすことは並の演奏家にはできません。それらを考えると、どれだけ一生懸命、自分の与えられた演奏の役割を果たしているのかがよくわかりました。今回のコンサートは、ただ演奏を聴いて美しいメロディーだと感じただけでなく、自分達に音楽のすばらしさを語りかけてくるとともに、何事に対しても全力を尽くす、その努力の末にあのように楽しみながら笑顔で演奏することができることを教えて頂きました。まさに江戸取にぴったりのコンサートでした。是非機会があればまた聴いてみたいと思いました。
  僕は今回のコンサートからたくさんのことを学び、そして肌で感じることができました。また、音楽のすばらしさを改めて感じることができたので、受験を終えたら、僕も楽器と一体化して全身で表現できるようになるまで練習したいと思いました。
 






7組  Yさん

先日、ネマニャ・ラドゥロビチ&フレンズさんによる弦楽器の演奏をお聴きしました。私は吹奏楽部に所属していましたが、今年の4月に引退してしまってから、しばらく音楽に触れる機会がなかったので、今回この演奏をお聴きできて嬉しかったのと同時に、また皆で音楽を作りたい、そんな気持ちになりました。弦楽と吹奏楽では演奏方法も音色も全く異なりますが、音を奏でるという意味では同じです。演奏を聴いていて感動する点がいくつもありました。まず1つ目は 音のピッチです。ネマニャさんの周りで演奏をしている人達全員で同じ音を小さく演奏している場面がありました。小さく音を出そうとするとピッチがずれやすくなってしまうものですが、まるで1つの楽器から音が出ているように聴こえました。全員が自己主張をしても、音楽は綺麗に奏でることはできません。長い時間をかけて練習をしているということがよく伝わってきました。2つ目は音の出だしです。アンサンブルなので指揮者はいません。私も校内コンサートなどでアンサンブルを演奏させていただいたことがあるので、指揮者がいない状態の中で、複数人で演奏を合わせる難しさはよく分かります。今回の演奏では、中心に立っているネマニャさんが体を使って周りに合図を送って指揮者のような役割をしていたのかと思います。やはり演奏者同士で目を合わせながら演奏するのは大事なのだと、改めて思いました。今回の演奏会では、たくさん学ぶことがありました。大学に入っても楽器を続けたいという気持ちが大きくなり、大学への夢も広がったのでそれが実現できるよう、これから精一杯頑張っていきたいです。