劇団わらび座を観賞して

 

1組 S君

  正直、ミュージカルには少し抵抗がありました。主人公がいきなり歌い、踊り出すのが理解できなかったからです。画面越しでしかその類を見たことのなかった私は、普通に話しても伝わるのに、いきなり踊ることはないのにと感じていました。しかし、実際にミュージカルを見てみると迫力、臨場感が感じられる素晴らしいものでした。特に照明や音響には感動しました。
  目が回るようなカラフルなライトに、大ホール全体を唸らす重低音。普段は講話やセレモニーに使われる、江戸取生にとっては神聖な場である大ホールですが、劇団わらび座の手にかかればここまで化けてしまうものかと驚嘆しました。
  また、内容においても、金次郎が生きた古き良き時代と現代のユーモアが見事に織り交ぜられていました。話は校庭の金次郎少年の像から始まり、その功績や生きた証を金次郎の生涯を追って物語っていきます。まず、金次郎は何よりも「理屈」を大事にした男でした。自然の理屈、人間の理屈と現代にも通ずるものがあるなと感じました。
 しかし、どんな順調な人でも失敗は付きまとうもので、妻に逃げられたり、役人に嫌われて村を逃げたりと中々うまくいきません。それでも金次郎はその失敗を受け入れ、原因・改善策を導き出します。成功や報酬が金次郎を強くしたのではありません、失敗が金次郎を成長させたのです。自分の小学校にも金次郎少年の像があったような気がします。普段は漫然と通り過ぎているものにも、知りたいと思う好奇心があれば、このような素晴らしいエピソードを見い出せるのかもしれません。
 

2組  Nさん

 私は7月12日に劇団わらび座の「KINJIRO!」の観劇会に参加しました。私は、よく劇団四季などを観に行っていてミュージカルに興味があったので、「KINJIRO!」をとても楽しみにしていました。
  私は「KINJIRO!」を見るまで、二宮金次郎について何も知りませんでした。薪を背負って本を読む銅像、というイメージしか持っていませんでした。今回「KINJIRO!」を観て、二宮金次郎という1人の人物の生涯を知ることができました。たくさんの歌やダンスが出てきて、見ていて楽しかったです。あんなにたくさんの歌やダンスを覚えて、台詞も覚えるなんて本当に凄いと思いました。あのような長いミュージカルを、少人数でやっていたのにも驚きました。
  このミュージカルを観終わって、二宮金次郎に対する考え方が大きく変わりました。真面目な人、というイメージが、技術、農業、経営、教育、政治など、様々な分野に才を発揮した多才な人だ、という印象に変わりました。
  人生を損得で考えるのではなく、お人好しと周りから言われても困っている人を助ける、というように、金次郎はとても人間味溢れる人物だったのだと思いました。
  このミュージカル全体を通して私が学んだ教訓は、「人生は悪いことばかりではなく、歩き続けていれば、いつか必ず良いことがある」ということです。苦しいことや悲しいことがあった時、どうせ頑張っても無駄だ、と考えて投げやりになって何もしないのではなく、悪いことの後には必ず良いことがある、と信じて前に進み続けることが大切なんだな、と思いました。「人はいつか死ぬのだから、今頑張らないと」というような言葉も印象的でした。たとえ高い壁にぶち当たっても、諦めることなく、自分を信じて前に進み続けていきたいです。
 

3組  N君

  観劇会に参加して、僕は「金次郎」の話の中から多くの事を学び、そして楽しく鑑賞することが出来ました。 二宮金次郎に関して、僕は薪を背負って歩きながら本を読んでいる銅像のことしか知らず、きっと彼はたいそう勤勉な人だったのだろうとしか思っていませんでした。
  しかし、金次郎は、パンフレットにもありましたが、そんなに固いだけのつまらない人ではなくて、実は魅力的で面白い人だったと知り大変驚きました。   このミュージカルは、金次郎の銅像の撤去について学生が話し合い、そこから彼の生き様を描いていくという展開となっていました。内容は、一家を離散に追い込んだ氾濫の後の荒れ地で金次郎が猛烈に働き、そして本から得た知識を活かして自分の村を復興に導いたという業績を小田原藩主に買われ、藩の財政再建のために桜町に向かい成功した後も全国に足を運んで生涯で約600もの村の再興に関わったというものでした。
  ミュージカル自体は高校生にも興味が持てるように構成されていて、実際僕も楽しく鑑賞することができました。しかし、僕がこのミュージカルで大変感動したのは、金次郎が、多くの地域に足を運んで土地や村の有り様を調べ、さらに人々と絆を結び、それぞれの村に合った方法を考え抜いて再興のために汗を流していたということです。しかも、自らの失敗から反省してやっていた事でした。これは今でもとても大切なことです。自分の考えを他人に押し付けるのではなくて、相手の意見をしっかり受け入れ、そして自ら率先して動く。このような金次郎の姿を忘れず、もし自分が人の上にたって活動することがあれば、その時に必ず意識していこうと感じました。
 

4組  A君 

  「金次郎、何をしたんだろう?」というpopな曲から今回の劇は始まり、金次郎に対して抱いていた堅いイメージが一気に取り払われました。金次郎の行った様々な偉業を迫力ある演技で見ることができ、これまで謎であった金次郎をわかりやすく理解できました。
 金次郎の生きた江戸時代は森林伐採などが進み、森が水を蓄えきれなくなった結果、洪水が多発した時代であります。また飢饉も発生していました。この時代とよく似ているのが、ここ数年の現代ではないでしょうか。“記録的”という言葉がつけられた災害が頻発しています。この状況を見て金次郎はなんというでしょうか。
  この劇の中で、金次郎は「諦めてはいけない心」が大切であると訴えていたように思えます。災害があっても諦めない。金次郎は「自分たちの土地は自分たちが耕さなくてはならない」と言っていました。いつ災害が起こるか分からない今、このことは誰にも言えることだと思います。
  今回の劇を見て、歴史は繰り返されていると思いました。まだまだ金次郎から学ぶべきことはたくさんあります。「相手の道理も考えなくてはいけない」ということも言っていました。災害の有る無しに関わらず、人間として必要なことも金次郎から教わりました。迫真の演技によって、金次郎の生き様は我々の胸に響きました。
 

5組 H君

  自分は今回の「劇団わらび座」の「KINJIRO! ~本当は面白い二宮金次郎~」の観劇会を見るまで、総合の時間に見るような物は能や狂言のような堅苦しいものだと思っていました。ですが、今回の劇団わらび座の観劇会を見て、堅苦しいものだけではないのだと思いました。
  劇の最初は、劇を見ている自分たち学生が入り込みやすいように女子高生の設定の役者さんがユーモアを効かせていたり、二宮金次郎像の役者さんが曲に合わせて歌ったり踊ったりしていて、とても工夫された劇だと思いました。自分は今まで通っていた学校に二宮金次郎像がなかったのであまり二宮金次郎について詳しく知ろうと思ったことはありませんでした。自分の二宮金次郎に関する情報は、薪を背負って本を読んでいる人くらいのものしかありませんでした。ですが、今回の観劇会で、二宮金次郎についての歴史を見て、自分の思う頭の良い人というものにぴったりの人物だと思いました。
  本で知識を蓄えて、その知識を最適なシチュエーションで発揮する。自分はそのことをできる人のことを頭の良い人だと思いました。自分は今回の観劇会を見て、二宮金次郎だけでなく他の人物についても調べてみようと思います。