野村直之先生講演会をお聞きして

 

1組  T

  20世紀に入ってからAIについての議論が多く聞かれるようになりました。例えば、ある本には将来人間がAIに支配される危険性があると書かれ話題をよび、近年のSF映画ではAIが人間を支配するという題材も多くなってきています。このように日々進歩するコンピュータテクノロジーに人々は恐れを感じているようにもみえます。
 そして、そのような中近年言われているのは、人間の職業の大半が将来AIにとってかえられるというものです。職業がなくなれば失業者が増えるという問題が騒がれていますが、今回の講話で分かったことは、必ずしもそうではないということです。AIにとってかえられる職業は単純作業であり、複雑な思考を要する職がまだ数多くあるため、失業者はあまり出ないということでした。そもそも今ある職業、特に人と関わるものはAIにはできないということです。
  人間とAIは思考の仕方が異なります。仕草が人間に似たAIを作り、その人に代わって仕事をさせられる日が来るかもしれませんが、全ての人に対応させることは不可能だと思います。つまり、AIが人間を支配するなどという心配はないということです。むしろ、今回のお話を聞いて人間がAIを利用してより進歩していかなくてはならないと感じました。また、AIというのはあくまでも道具であり、利用していくものだということが分かりとてもためになりました。
 

2組  K君

  私は今まで人工知能は人間の頭を遥かに超える万能なものと考えていました。しかし、今回の講演をきっかけに大きく見方が変わりました。
 まず学習の仕方についてですが、人は五感時には第六感も使って、あらゆる方向、角度から物事を見て判断し、それらの情報をもとにものを覚えます。歩きながら、発音しながら暗記することは、このような点で役に立ちますが、人工知能は、主にタイアップ表をただ覚えているだけなので、物事が二つ、三つとくっついてくると、答えられなくなります。
 このようにコンピュータの学習は学習というより、あらかじめまとめてあるものを、ただ空き容量の中に入れるだけになっているわけです。でもコンピュータのメリットは、容量さえあれば、どんなに多くの情報でも努力することなく入ってしまうことです。もし、これから先に自律型人工知能が生まれれば、人間を遥かに超えるでしょう。ですが、この人工知能が開発されるまではまだまだ長い年月がかかるとのことでした。
 そして私は人工知能と人間との間に大きな暗記方法の差を感じました。我々人間は、アウトプットすることを前提として「覚える」ことをしているのではないでしょうか。使わない知識は使わないので覚えなくていい訳ですから、人間の暗記は同時にアウトプットの練習を兼ねていると思います。しかし人工知能は同時にインプットしているだけなので、アウトプットに慣れていないと感じました。いずれにしても、これから人間と人工知能の使い分けがより鮮明になってくる時代になりつつあるのだと思います。

 

3組  Nさん

  力が漲る。そんな様な感じがしました。AIについては、理系という点において多少興味を抱く部分はあったのですが、それでもやはり自分の目指す道とは分野が異なり、また私自身のAIに関する教養もまだ無かったため、どんな気持ちでおききすればよいのか、最初の内は手探りの状態でした。
 しかしながら、講演が次第に進むにつれて、私も段々とあることに気付くようになりました。それこそが「情熱」でした。先生の溢れんばかりの情熱が私の腐った心に触れつつあったのです。「ああ、この方は本当に、ご自身のAI研究が、夢が大好きでいらっしゃるのだろうな」と月並みながら思ったのです。
 先生のように、私にも他の何物にも替え難く、自らの情熱を全て捧げられるものは何かあるのだろうかとふと思いました。それはきっと私にとって生きる意味そのもので、それがある限り私は自分の生に自信が持てるでしょう。必要性のない自分の命ほど空しいものは無いと私は思います。そして必要性のないまま終わってしまう自分の命ほど憎らしいものもありません。故に、私は先生の在り方に酷く憧れ、同時に改めて決心しました。必ず自分の生に意味を、存在価値を見出すのだと。
 その絶対的な目標への架け橋となるのが、これから学ぶ学問なのか、これから自分が赴く外の世界なのか、それともこれから出会う人々なのか、それはまだ判りません。しかし、これから先の未来に広がる私の可能性は未知数です。故に、今回の講演で私が触れた先生の情熱を一欠片も忘れずに、自分の成さなければならない使命を一時も見失うこと無く、信じる方向へ進もうと、進まなくてはいけないのだと思いました。
 

4組  Tさん 

  今回の野村先生の講演をおききして、これからの人工知能と人がやる仕事の関係がわかりました。最近よく聞く、ロボットによって人の仕事の多くがなくなる、ということはないと思われていることが分かりました。それは、現在の人工知能は大量のデータによる判断を行っていて、様々な情報を関連づけて認知していないため、物事を考えるということはできないのであり、また、これからもそのようになることはないと予想されているからだとわかりました。
 ですから、将来、機械的、作業的な単純な仕事はロボットによってこなされるようになると思われるため、人は、人工知能にはできなくて人にできるような仕事をする必要があります。人工知能にはできなくて人にできるような仕事は、働きながら様々な情報を得て、それらの情報を関連付けて活用し行動することや、また、様々な課題や問題があることを認識して対処法を見つけ出すことだと思います。また、今までのように人と人工知能が全く異なる分野の仕事をするということもありますが、人と人工知能が同じ分野の仕事を分担して一緒に仕事をこなしていくということもあるとわかりました。
 特に、人工知能が専門的な分野で活躍できるといいと思いました。人工知能がうまく活躍できれば、働く人の負担の軽減や、様々な職業分野での可能な活動範囲の拡大など、人だけではできないこともできるようになることがたくさんあると思います。ですから、これから働くうえで、人でないとできないことを見つけ、また、人工知能をうまく活用していくことが大切だと思いました。
 

5組 M君

 今回、僕は野村直之先生の講演をお聴きして、AIについての印象が大きく変わりました。講演をお聴きする前までのAIの印象は、ターミネーターなどのように意志を持っていて、将来AIが暴走して人間に危害を加えるのかもしれないと思っていました。
 しかし、今回の講演でAIと人間の考え方の違いを知り、AIにまだ意志がないことも知りました。
 また、2030年には多くの仕事がなくなるとテレビなどで話題になっていたので、僕も10年後くらいには多くの失業者が出ると思っていました。しかし、野村先生の予想は人手不足になるとおっしゃっていました。
 次に、魔法の3文字についても学びました。それはwhyという言葉でした。普段、当たり前のように使っている数学の公式なども僕はなぜこうなるのかと聞かれたら、おそらく答えることができません。
 しかし、公式を忘れても公式の作り方を知っていれば、自分で作れます。だから、whyが僕も重要だと思います。僕もwhyを突き詰めることをしたいと思いました。
 今回の講演会では普通では聞くことのできない最先端のAIについて聴くことができたので、とても貴重な体験をしたと思います。