3組 K君 |
今回の講話が行われると聞いたとき、僕は音楽を聞くことが好きなので、ぜひヴァイオリンを弾いてほしいと思い、とても期待していました。実際の講演会は、期待以上のものでした。講演会では川畠先生の今までの人生の歩みについてお話いただきました。その中でも僕が特に心打たれたのが、「一生関わっていける『何か』と早く出会うこと」という言葉でした。川畠先生は失明する直前からヴァイオリンをはじめ、今までずっとヴァイオリンと共に歩んできたとのことでした。もしヴァイオリンに出会っていなければ、いま僕たちの前で講演することが無かったでしょう。お話の内容からもヴァイオリンを深く愛しているということが解りました。その証拠に、今回の講演会では、お話をしている時も含め、ほとんどの時間、ヴァイオリンを放さずに手に持っておられました。僕にはまだあのように、一つに集中できる、一生関わっていきたいと思うような『何か』をまだ掴んでいません。今回の講演会で学んだことを生かして、少しでも早くその『何か』に出会えるようにしたいです。 今回の講演会では、講演の他にヴァイオリンの演奏が四曲ありました。印象に残っているのは、二曲目のシューベルト作「魔王」です。この曲は中学1年生と3年生の時に音楽の授業で教わりました。そのときはピアノの伴奏があり、曲を理解しやすかったのですが、ヴァイオリンだけだと、いままで聞いてきた魔王とは一味違い、理解するのに少し苦労しました。しかし、曲を一生懸命聞こうとする姿勢が大切で、音楽というのは肌で感じるものだと思いました。 そして、ヴァイオリンの演奏では、川畠先生が弾くとき、ホールはうそのように静まりました。そして演奏。周りの友達はまるで魔法にでもかかったように音楽に魅了されていました。そして演奏が終わると、その魔法が切れたかのように割れんばかりの拍手が巻き起こります。確かに、作曲者がすばらしい曲を作ったのかもしれません。しかし、僕はそれだけとは思えません。川畠先生は体を大きく使い、曲のイメージを表現する、演奏家の技術が僕たちを魅了したのだと思います。音楽というのは作曲家が作曲するだけで完成するものではなく、演奏する人もいなくては成り立たない、ということがはっきりわかった時間でした。 今回の講演会を通して、やり抜ける『何か』に出会えることの幸せと、やり続けることで得られ、与えられる喜びを感じることができたと思います。 |
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5組 O君 |
今回、川畠成道先生の講話をお聴きして、僕はとても心を動かされました。まず、大変驚いたのが、川畠先生が10歳くらいの時からバイオリンを始めたという事実でした。川畠先生ご本人もお話しされていたように、プロのバイオリニストとしては遅めのスタートのように感じました。バイオリンというのは、英才教育で3歳くらいから始めるという印象があったからです。しかも、始めるきっかけがご自身の病気にあったということが驚きでした。それでも、30数年も続けられるものに出会えた川畠先生がうらやましく、自分もそういうものに出会いたいと思ったので、これからの学校生活で探していきたいです。 最初にクラシックの曲を演奏されましたが、30年以上かけて培ったプロの技術は素人の私でもわかるほど素晴らしく、本当にきれいな音色で感動しました。しかし、少し疑問に思ったのが、なぜ30年も続けることができたのだろうかということです。それをちょうど、演奏が終わった直後にお話しされていましたが、川畠先生は、「僕もやりたくないな、もう辞めてしまおう、と思ったことも何度もあった。」とおっしゃっていて、僕はその言葉になぜか親近感を覚えました。このような素晴らしい演奏ができる方でさえ、初めから天才というわけではなく、努力を惜しまずにコツコツと練習を重ねているということが、川畠先生の言葉でわかったからです。つまり、僕にもやればできることなのだと勇気を頂きました。初めは無の状態から、川畠先生は苦しいことに直面してもなお止まらず、努力を続けられました。努力の結晶が深みのある音色を生み出し、その音色に僕は心を震わせました。江戸取で川畠先生の演奏を聴くことができたことは、奇跡だと思えました。 |
6組 U君 |
今回の川畠先生の講話をお聞きして、僕は自分が本当にやりたいことに出会えることの素晴らしさをとても実感しました。川畠先生は幼い頃に外国で視力を失ってしまったにも関わらず、講演会での演奏はとても素晴らしく、本当に視力に問題があるのかを疑ってしまう程のすばらしさでした。川畠先生の様に、生涯を通じて本当にやりたい事に出会える人はとても幸運で、全ての人にその可能性はあると思います。私はまだ本当にやりたいことを見つけられていませんが、今回の講演をお聞きして、その出会い方を見つけたような気がします。大切なのは、機会を「待つ」のではなく、自分から興味を持ったものに対して積極的に取り組み、活動することによって最大限のポテンシャルを引き出せることが出来るのだと思います。自分が本当にやりたいことを見つけるのは、簡単そうに見えて本当はとても難しい事です。そして、それを実現した人達だけが、プロの道へと進むことが出来るのです。また、このプロと一般人の大きな違いは、自分が本当に一生向き合えるものと出会えたかどうかだと思います。プロ野球のイチロー選手は、42歳になった現在でもメジャーリーガーとしてアメリカで活躍されています。なぜ体もまだ若い頃と比べて少なからず衰えてきてしまっているはずなのに、どうしてまだメジャーリーガーとしてやっていけているのでしょうか。僕はやはりこれもイチロー選手本人が野球を大好きだからだと思います。このように、歴史に名を刻むようなとても大きな記録を残してきた人たちは皆、自分の本当に好きなもの、大切なものに出会えたからだと思います。また、自分が本当に好きなものに出会うには、一定の学歴が必要となります。だから、僕たちは大学受験を目指し、勉強をしているのです。しかし、勉強することも大切ですが、あまりに勉強に力を入れすぎて、本来の自分のやりたい事を見失ってしまうことは決してあってはならないと思っています。人として大切な事を知らない人が高学歴であっても、良い人生は送れません。勉強をしていくうちに興味がある分野を見つけ、大学でより深く学べるように今は努力を続けたいと思います。自分が本当に好きな事は何なのかということを今回の講演会で気づかされました。 |
7組 S君 |
私は音楽にあまり詳しいわけではありませんが、川畠成道先生のヴァイオリンの演奏を素晴らしく感じました。視覚障害を負ったことでヴァイオリンの道を目指すことになったわけですが、それでも学年主席の成績で英国王立音楽院を卒業したことに大変感動しました。川畠先生は、夢を追いかけ続けることが大切であるとおっしゃっていました。いつもヴァイオリンを弾くことに楽しさや喜びを感じ、苦痛を感じず練習を重ねて上達した小学生時代、課題曲が難しくて簡単に弾けなくなって悩み、弾くことをあきらめようとしたこともあった中高生時代、川畠先生はそれでもヴァイオリンの道を進み続けました。高校生である私たちと高校生の時の川畠先生は何の変わりもありません。ですから今の私たちにも同じことが言えます。勉強をマイナスのこととして捉えて取り組むのと、プラスのこととして取り組むのとでは、効果は明らかに違います。朝学習や清掃活動、挨拶など生活の様々なことにおいて、プラスのことと考えて行動することでメリハリがつきます。そして多少の困難に遭っても、己を信じ、続けることで成果につながります。天才科学者や天才音楽家と呼ばれるような人たちは、決して学ぶことに躊躇せず、自らの意思で学んできた人たちです。川畠先生もそうしてヴァイオリンを続けてきたからこそ、素晴らしいヴァイオリニストになられたのだと思います。私はバスケットボール部に所属しています。プレーをするに当たってなかなか上達しないことからバスケットボールを続けることに抵抗を感じていた時期がありました。ですから、どんなに素晴らしいプレーヤーでも、挫折や悩みを抱えないわけでないことにも気づかされました。大切なことは、そこからどう自分が行動するのか、ということです。そこであきらめてしまったら、それまでの努力の積み重ねが無駄になってしまいます。高校2年生の今、受験を意識し、プラスの考え方で勉強していこうと思います。これからも何らかの壁にぶつかることがあるでしょう。しかしその度にあきらめずに乗り越え、芯の強い人間になりたいと思います。 |
8組 Kさん |
私は、今回の講演会を通して、自分自身の生涯をより豊かなものにする「出会い」というものが本当に存在するのだという確信を持つことが出来ました。また、そのような出会いを経験し、「新たな人生のスタート」を切ったという川畠成道先生の素晴らしいお話は、私の中に大きな希望を与え、そして今後の私自身の振舞いについて改めて考えるきっかけにもなりました。ヴァイオリンを片手に自分のこれまでの人生を語る川畠先生の姿は、そのヴァイオリンという一つの楽器を通して様々な経験を乗り越えてきたという、貫禄のような、全てを超越した何かを感じさせるものがあったように思います。 川畠先生が、お話しの中や、私たちへ向けたメッセージの中でおっしゃっていたことで、一生かけて続けてゆける存在と出会うことの大切さというものがありました。私は、この言葉は、川畠先生自身の体験から導き出された非常に深い意味を持つ言葉であるように感じました。川畠先生にとって、そのような存在は、ヴァイオリンとの出会いであった訳ですが、その出会いは人生に希望を与え、時には辛い試練を与える、実に多様な働きかけをするものであると私には思えました。最初は楽しくて仕方のなかったようなことが、更なる目標や高みを目指していくが故に苦痛となり、そして、やっとそれを乗り越えた時、そこには新たな目指すべきものが生まれていく、といった一種の循環が、そこには存在しているように思えます。一生涯をかけてその循環の中に己の身を置くことによって、自らがこれからも人生を生きていくための強い意志や希望、あるいは糧を手に入れることとなり、循環を繰り返し経験していく内に、いつの間にかそれが一生涯を通して付き合う存在となっている、と言うことがあるのかもしれません。また、もしもこの循環があのように長い時間続いていくものであったとすれば、それは言い換えるなら、自分自身の人生において片時も希望や目標が失われないということでもあります。それは、一生の中で、あるいはこの循環の中で次々と変化し得る存在であるのか、それとも一生涯を通して一貫した大きな希望を持ち続けるのか、さらには一貫した大きな希望を持ちつつも、それに対する段階として細かい目標を持って生きていくのか、それはそれぞれが果たした「出会い」によって大きく異なると思います。しかし、いずれの生き方にせよ、私たちは自分自身の人生に強い光を見出し、それに導かれるように、それと出会った自分にしか歩むことのできない人生を作り上げていくことが可能になると私は思います。川畠先生にとってのヴァイオリンも、目が不自由になってから激しくショックを受けていた川畠先生を大きく変える「出会い」となり、結果的にその後の人生を決定付ける程の非常に強い影響力を持った存在となりました。このように川畠先生が教えて下さった「出会い」というものは、人生においてこれ以上ない程の変化をもたらすことの出来る経験であり、そしてそれは自分自身で周りをよく見て、視野を広げれば、より多くのチャンスが得られるものであるのです。 今回の講演会を受け、私は川畠先生のように素晴らしい「出会い」をすることがいかに意義のあることであるのかを感じることが出来ました。このことを忘れず、私自身もこれからの人生を豊かにする存在に出会えるよう、精進していきたいと思います。 |
10組 Y君 |
川畠先生は目を悪くして、バイオリンと出会ったと仰っていました。人生どこで何が起こるかわからないと言いますが、そのとおりだと思います。人は皆、その人にしかわからない世界を持っています。生徒それぞれにも、先生にも、皆にあります。川畠先生の持つ世界は目を悪くしたという意味で他の人とは異なった特別感がありました。その川畠先生の世界にバイオリンという仲間が加わった。それがどれほど大きなことか、はっきりとはわからないものです。しかし、川畠先生のお話を聴く限り、視界が奪われた世界の中で、バイオリンの音は心を救う役割を十分に果たしてくれたものなのだと思いました。そのことは、川畠先生の演奏からも感じられました。最初の『ファゴット』や次の『魔王』は私たちにもなじみがある曲でしたが、それを聴いたときに自分は人生を音楽にかけた人の凄味のようなものを感じました。 私も部活で弦楽器を演奏しています。毎日練習を積み重ねていく大切さは本当に感じています。特に、プロではなく素人なので、少し練習をサボると、すぐボロが出ます。この積み重ねるということは、音楽だけでなく、勉強にももちろん、生きる上で大切なことだと、川畠先生のお話を聴いて思いました。川畠先生でさえも、音楽から距離を置きたい時期があったということを伺って、驚くと同時に安心しました。自分は今高校二年生で、受験勉強に向けた第一歩を踏み出したところです。しかし、なかなかうまくいかず、勉強したくないと感じることもあります。英国王立音楽院を首席で卒業された川畠先生でさえもそのようなことを考えていらっしゃったことを知り、自分もやはり努力しなければならないのだと強く感じました。 音楽はやはり良いものだと思います。音楽は耳で聴くだけが「音楽」ではありません。演奏者の体の動きや表情、ステージの明るさや、醸し出す雰囲気。それらすべてが「音楽」です。だから、音楽は生で聴くと良いと言われるのだと思います。川畠先生は曲調が異なる4曲弾いてくださいました。曲調がなだらかなときは、本当に楽しそうで優雅に演奏していらっしゃいました。プロの楽団などを見ても本当に楽しそうに演奏しています。ソリストとして一人で音楽を創り上げる川畠先生は、私たちが大人数で何とかして伝えようとしていることをたった一人で表現しているという点で凄いと思いますし、並大抵には出来ないことだと強く思いました。 今回の川畠先生の講演会に限らず、江戸取には素晴らしいホールがあって、毎年「本物」の音楽を聴くことができます。そのような環境の中で芸術を直接肌で感じることができる私たちは本当に幸せだし、恵まれていると思います。こういう経験があるかないかで、今後いろいろ得すること損することがあると思います。今年度は、ジャーマン・ブラスが来て下さいます。きちんと聴きたいですし、本当に楽しみです。 |