中等部2学年

檀ふみ先生朗読劇をお聴きして

2016.11.16

「間」を大切にする芸術の持つ緊張感

 私は、檀ふみさんの朗読劇「耳なし芳一」をお聴きして古典への興味関心が湧いてきました。檀さんが感情を込めてお話しされている姿に心を奪われました。
 檀ふみさんは、慶應義塾大学経済学部を卒業されており、私たち江戸取生の憧れでもあります。また、1994年には日本アカデミー賞助演女優賞も受賞しているすばらしい方です。朗読劇を聞いて思ったことは 、まず、1つ1つのセリフに「間」があり、次に出てくるセリフはどういう言葉なのだろうと聴衆を物語の世界に 引き入れるような魅力がありました。また、物語を語っているときの後ろで、尺八と琵琶の音色がよく、物語の場面ごとの雰囲気や主人公の心情などが強くあらわれていて、とても物語に味を出していました。話のストーリーは少し怖い話で、その上、朗読の仕方が効果的で、ますます怖い気持ちが高まりました。今日の檀ふみさんの朗読劇は古典のおもしろさを強く感じさせてくれるものでした。

 

言いたいことを伝えるための5つの工夫

 檀ふみさんの「耳なし芳一」の朗読劇を聞いて、さすが日本アカデミー賞を受賞した女優さんだなと思いました。また、鶴田流琵琶を演奏してくださった鶴田さんと 、都山流尺八を演奏してくださった設楽さんの存在が、今回の朗読劇をより感動的にしたのだと思います。
 朗読劇は、なにも知らない聞き手に語り手がしっかり物語の背景や感情などを伝えることが大切です。檀ふみさんの朗読劇からそれがしっかりと伝わってきました。その理由は5つあると思います。
 1つ目に、声の大小を 使い分けて重要なところをしっかり伝えることです。
 2つ目に、声のトーンをナレーションをするときと物語上に出てくる人物のセリフを言う時で変えることです。
 3つ目に、話すスピードを変えるということです。もし、ずっと同じ 調子で喋っていたら物語の背景を聞き手が理解するのは困難です。檀ふみさんの朗読から背景が浮かび上がってきたのはこれが理由だったと思いました。
 4つ目に、朗読者自身が物語に入り込 むことです。壇ふみさんの表情をよく見ると顔や手の動きが自然に動いているようでした。そこからは檀ふみさんの女優としての風格が感じられました。
 5つ目音楽との融合です。朗読だけでも、聞き手は感動できるのに 、尺八と琵琶が加わると大ホール全体に臨場感が出てきました。
 今回の朗読劇を通して参考になったことは、相手にどうしたら自分の言いたいことを伝えられるかということです。将来社会人になってプレゼンをしたりスピーチをする時は檀ふみさんのように間をとったり声の大きさを変えたりなどして相手の心に訴えるようにしたいです。

 

平家滅亡の悲哀を感じさせる朗読と音楽に感情移入

 私は今回檀ふみ先生の朗読劇を聴きました。朗読劇自体が初めてだったので、とても楽しみにしていました。檀ふみ先生は今回「耳なし芳一」を朗読してくださいました。最初は琵琶と尺八の音色で始まりました。
 華やかな音楽ではなく、とても物悲しい、哀愁に満ちたメロディで、期待と楽しみがさらに高まりました。          
檀ふみ先生さんの朗読は今までで聴いたことがないくらいきれいな声でした。声だけでなく、読み方や感情の入れ方、どれもが素晴らしく、それが予想以上で感動しました。
 「耳なし芳一」の話はある程度知っていました。この話を朗読していただくと聞いたとき、楽しみよりも、知っているからつまらないという気持ち の方が勝っていました。しかし、実際に聴いてみると、私の知っている話とは全く別の話のように感じました。紙に書いてあるものをただ読むのとは全く違い、一つ一つの言葉に感情が入っていました。ただ紙に書いてあるだけでは読み落としてしまうような文もしっかりと感じることができました。また、セリフの一つ一つに感情が入っているので、登場人物に感情移入してしまいました。
 江戸取に入っていなかったら、中学生で朗読劇を鑑賞するというような体験はできなかったでしょう。この経験は必ず将来につながると思います。このような経験ができたことを、私は一生忘れ ません。

 

古典芸能の魅力を感じた朗読劇     

 50分も話していながらほとんど間違えずにイントネーションも完璧な檀ふみさんの朗読劇はとても感動的なものでした。 檀ふみさんは、1994年に日本アカデミー賞助演女優賞という、輝かしい賞を受賞した名女優です。NHKで「連想ゲーム」という番組のレギュラーを15年間も 務めるなどの功績もおさめています。私はこんな素晴らしい方の朗読劇を聴くことができたことに感謝しています。
 耳なし芳一の物語は私も小さい頃から知っていて今日の朗読劇は話の結末を知っていたのですが、古典的な表現もあったので勉強になりました。朗読劇は 以前にも聴いたことがありましたが、演奏付きの朗読劇は初めてだったので、 新鮮な感動を味わうことができました。
 今日のような素晴らしい日本の文化を、次の世代に伝承できるように外国のものに偏らないようにしたいです。

 

『耳なし芳一』の教訓 

 私は今回の朗読劇で耳なし芳一を聞くのが初めてだったのですが、檀ふみさんによる感情豊かな朗読、そして普段からは耳にすることの少ない琵琶と尺八の音色で、私がまるで耳なし芳一の時代に居合わせたかのように話が脳裏に浮かびました。芳一が端坐し、平家の亡霊に声を掛けられても動くことの出来ない場面では、私も指をピクリとも動かせず、芳一と同じように恐怖を感じました
 さて、この話は古くから語り継がれていますが、この話の教訓とは一体なんなのでしょう。それは、油断禁物、そして自分の意志を貫くことの大切さではないでしょうか。芳一は、真夜中に正体の分からない者に誘われるがままついて行ってしまいましたが、そうでなければ何事も なかったかも知れません。また、耳に経を書き忘れなければ耳を失うこともなかったはずです。結局、耳は失ってしまいましたが芳一は死には至りませんでした。少しの失敗をしてしまっても、人生はなんとかなる、そんな意味もあるのかもしれません。物語の捉え方は十人十色です。耳なし芳一の教訓を生かし、今後の人生を歩んでいきたいと思います。

 

感情移入することが朗読のポイント

 僕は、今回の壇ふみさんの朗読劇の『耳なし芳一』をお聴きして壇ふみさんの凄さがわかりました。壇ふみさんは、日本アカデミー賞助演女優賞や『連想ゲーム』と言う番組のレギュラーを15年間も務めていたなど、とてもいい功績を残しています。そんな壇ふみさんは僕たちの憧れです。今回このような機会をいただけたことにとても感謝しています。
 壇ふみさんの朗読劇はとても感情移入ができるものでした。一つ一つの発音やイントネーション相手に対する聞き取りやすさ等はとても優れていました。同じ日本人でありながら日本語の発音の良さが全く違いました。壇ふみさんの読むスピードには、テンポがあり聞いていて飽きませんでした。登場人物の気持ちがとてもわかりやすく感じ取ることができました。もちろん感情移入がしやすかった理由は壇ふみさんの朗読だけではありません。後の尺八や琵琶の音色から放たれる音にも影響受けました。また、壇ふみさんの朗読には女優としての風格が感じられました。壇ふみさんは朗読している時にも、その物語の中にとても深く感情移入して、まるでその登場人物でもあるかのように朗読をしてくれたため、とてもわかりやすかったです。今回の壇ふみさんの朗読をお聞きしたおかげで、朗読劇に対する関心を持つことができました。

 

琵琶法師から学んだこと

 今回、耳なし芳一(琵琶法師)について、女優の檀ふみさんと、鶴田流琵琶を演奏してくださった斉藤鶴竜さん、都山流尺八を演奏してくださった設楽瞬山さんが江戸取に来てくださいました。檀ふみさんによる朗読は、聴き手に対して分かりやすく、また、強調したい場面ではその場面を強く印象つけるような感覚を味わう ことが出来ました。斉藤さんの鶴田流琵琶は、檀ふみさんと似ている所があり、聴き手に対していかに印象つける ことが物事を披露する立場として大切なことだと学びました。都山流尺八を演奏してくださった設楽さんにも同様に思う ことがありました。琵琶法師から学ぶことは何かを考えました。それは、人間は自分の ためだけに生きているのではなく、他の誰かのためにも生きてるのではないかということです。平家の亡霊により両耳を失った琵琶法師は、耳を失っただけで和尚さんに体を守られました。寺の人々は琵琶法師の命が助かっ たことに大いに喜びました。この琵琶法師のような精神の強い人間に成長したいと感じました。

 

朗読独特の不思議な雰囲気に魅せられて

 今回の檀ふみさんの朗読劇は、とても楽しみな講演会の1つでした。以前、私はテレビで檀ふみさんがナレーターをつとめていた番組で、そのナレーションの声 に胸をうたれるほどの声の美しさに圧倒されたことがあります。
 檀ふみさんといえば、1994年に日本アカデミー賞を受賞されるなど、日本の大女優の1人で、そのような方の朗読をお聞きできることに楽しみや嬉しさをつくづく感じました。
 そ朗読劇のなかで私が特に感心したのは、朗読が自ずと作り出す独特の雰囲気です。実際に声をお聞きすると、その「耳なし芳一」の物語の中に優しい、ほのぼのとした雰囲気が感じられました。この独特の「優しさ」や「ほのぼのさ」というのは檀ふみさんだからこそ作り出すことのできる不思議な感覚であると思います。また、その物語の1つ1つの場面に合うような声の高さやイントネーション、速さ、そして日本語の発音の仕方などを心がけていらっしゃり、自然とその場面の情景が鮮やかに頭の中にうかんできました。改めて日本語が作り出す独特の感性や感覚について感心させられました。
 そして今回は朗読の他にも尺八と琵琶による演奏も交えた「耳なし芳一」の朗読劇でした。人の声だけによる語りだけの朗読とはまた違った面白さを感じ、一般的な「日本の物語」としてのとらえ方ではなく、新たな「日本の物語」という感覚で楽しむことができました。数多くの日本の古くから伝わる楽器、そして物語などの「日本の伝統文化」をより多くの人々に伝えていくためにも、今回のような講演会を数多く行ってほしいと思います。