津田真理とN響の仲間たちの感想

 

3組 F君 

  私は、今回の津田真理さんとN響の皆さんのクラシックコンサートをとても楽しみにしていました。なぜならば、世界で活躍している方々の演奏を生で直接聴くことのできる機会はなかなかあることではないからです。また、私自身が小学生の時まで定期的にヴァイオリンを習っていたので、木全さんと森田さんの演奏には個人的に非常に興味がありました。ヴァイオリンが奏でる音を決めるのは弦を押さえる指の位置であり、それが演奏の質を大きく左右します。どんなに曲調が速くなっても遅くなっても正確に弦を押さえ、なめらかな音を奏でることのできる高い技術に感動しました。そして、ヴィオラ・チェロ・コントラバス・ピアノの音と調和し、心の底に重く響き渡るような音色に自然と引き込まれていきました。クラッシク演奏が始まるとともに会場が一気に心地の良い空間に変わっていき、この音楽を聴きながら時を止めることができたらどんなに幸せなことであるかと思いました。また、敷居が高いイメージのあるクラッシクコンサートに、高校生である私たちでも親しみを持つことができるように、有名な曲を多く含むプログラムにして下さったり、楽器やそれぞれの曲の説明をして下さったり、曲にアレンジを加えて下さったりしていました。そのおかげで、今までに音楽というものに触れる機会が少なかった人においても、今回触れることができたクラッシクに興味を持った人も多くいるのではないかと思います。このような「本物の芸術」に触れることができる機会があるということには本当に感謝しています。高校3年生にとって、江戸取におけるイベント参加はこれで最後の機会になりましたが、情操教育においては最高のイベントの一つだったと思います。普段している勉強も大事ですが、芸術に触れることが人を成長させるのだなと改めて実感することができました。是非また機会があれば、このようなクラッシクコンサートを聴きたいと思います

 

        

 

4組 Mさん 

 私には、弦楽器の演奏の経験はありませんが、小中学生時代は吹奏楽部に所属していました。そのときに、コンクールの全徳大会で最優秀賞を受賞したり、他の団体と合同演奏をしたり、地域のフェスティバルに参加したりと、様々な経験をしました。その経験を通して「音楽は演奏する人と聞く人との両方を感動させる力がある」と学び、更に音楽に魅力を感じるようになりました。そのため、私は今回のコンサートをとても楽しみにしていました。まず、1曲目はとても有名な「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でした。題名はドイツ語で「小さな夜の曲」を意味するそうです。1番はじめのアクセントの付いた音により、曲の始まりが華やかでした。主題の分散和音は、クレシェンドと共に、堂々としてメロディを奏でていて世界が段々広がっていくような印象を受けました。次に、2曲目はヴィオラとコントラバスの二重奏でした。私は、1曲目のときに、それぞれの楽器の音を聞き取ろうとしたのですが、ヴィオラの音だけが最後まで聞き取れませんでした。この曲を聴いて、まず最初にヴィオラの音が思っていたより低かったことに驚きました。そして、普段は土台となることの多いこれらの楽器が主役となり、ゆったりとなめらかなメロディを奏でていました。3曲目は「プリンクプランクプルンク」という曲で、終始ピチカートで演奏していました。ピチカートをしたまま音程や音量を変えたり、声を出したり、ピアノでグリッサンドをしたりと、工夫がたくさん凝らされたとても楽しい曲でした。4曲目は「2つの小品」という、旧ソ連の時代が背景となった曲でした。「エレジー」の部分からは、暗くて寒い街と、政府に厳しく統制されて身動きのできない人々の姿を想像しました。「ポルカ」の部分は、ピチカートなども使われており明るく愉快でした。ヴァイオリンからは女性たち、チェロとヴィオラからは男性たちがおしゃべりをしている様子を想像しました。そして、最後の曲は「鱒」をイメージした曲でした。最初の弦楽器のみの部分は穏やかな水辺の夜明けを想像しました。途中から入るピアノのトリルは、魚が跳ねたり、水がキラキラしているようでした。高音のヴァイオリンは鳥のさえずりを、チェロのメロディは雄大な水の流れを、各々の楽器が激しく演奏する部分では嵐の海を想像しました。最近、ゆっくりと音楽を聴く機会が無かったため、クラシックを聴くのは久しぶりでした。様々な場面を想像しながら、演奏を聴くことができてとても楽しかったです。日頃からいろいろなジャンルの音楽を聴く時間を作りたいと思いました。

        

 

5組 A 君 

 小さい頃、ピアノを習っていたことや、中学校時代に吹奏楽部に入っていたこともあり、これまで深く音楽に関わってきました。今回の演奏会も、とても楽しみにしていました。また、知っている曲が多く、曲ごとに説明があったので、それぞれの曲の背景を創造しながらお聞きすることができました。特に、今回演奏されていたショパンの「幻想即興曲」は、僕にとっていろんな思い出の詰まった曲です。いろいろなことを思い出しました。中学校3年生の頃、この「幻想即興曲」をピアノの発表会で演奏しました。僕は、この曲が、数ある曲の中で一番好きです。特にプロの方がこの曲を演奏すると、いつも鳥肌が立つほどで、今回の演奏会でも、とても感動しました。ピアノの先生からも、この曲を弾くように言われたとき、うれしくて快く引き受けました。その日から、僕は、この曲の練習に励みました。しかし、現実は甘くなく、一生懸命練習しても、左手と右手のリズムを合わせることができませんでした。また、プロの方のような速さで弾くことは、到底できませんでした。当時の自分には、荷が重すぎたのです。そこでも、僕が、本番までなるべく弾けるように努力しました。しかし、練習ですら、満足のいくものではなかったにもかかわらず、本番当日となってしまいました。練習の時ですら、きちんと弾くことができなかった僕は、本番でも当然のように失敗し、ミスの連続で、出来はひどいものでした。その日以来、僕はピアノが嫌になり、距離を置くようになりました。そして、高校受験を口実にピアノを辞めてしまいました。しかし、今日の演奏会での演奏は、とても心に響きました。完璧な演奏を聴いて、またピアノをやってみたい、さらには、「幻想即興曲」をうまく弾きたいと思わずにはいられませんでした。今では、あの時ピアノを辞めてしまったことを後悔しています。今回の演奏会は、僕の音楽への姿勢を変えるきっかけになりました。僕が進学して時間的に余裕が持てるようになったら、またピアノを再開して、真の音楽に再会してみたいと強く思いました。

 

        

 

6組 Kさん 

 水曜日の五時間目にコンサートの鑑賞がありました。普段はクラシックを聴くことがないので非常に新鮮な気持ちで大ホールに向かいました、一曲目は「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第一楽章でした。曲名も曲も聴いたことがありました。そこでヴァイオリン奏者の木全利行さんから曲目の説明がありました。曲名の由来を考えたことが一度もなかったので素敵だなと感じました。二曲目はメジャーではないヴァイオリンとコントラバスという弦楽器による演奏でした。コントラバスの重低音が胸に響き、聴いていてとても心地良かったです。コントラバスは三階席から見ていても大きいことが分かり、それをひきこなす佐川さんは凄いなとただただ感心するばかりでした。ピアノを習うこともなかった私にとってクラシックとはCDでしか聴くことのできないものでしたが、生の演奏を自分の耳で聴くことを通してその素晴らしさが少しだけ分かった気がします。弦楽器の奏でる音は深いと思いました。それを感じたのは三曲目のプリンク・プランク・プルンクという曲を聴いた時です。ヴァイオリンは弦と弓をこすって音を出しているそうなのですが、この曲はその弦を弾いて演奏していました。米国の作曲家のアンダーソンは「おしゃべり」をイメージして、このプリンク・プランク・プルンクをつくったそうです。その説明を聞いて、どのような曲なのだろうと思っていると、軽快なリズムで聴いていて明るい気持ちになるのが自分で分かりました。人が3,4人集まってぺちゃくちゃとおしゃべりをしている様子が頭に浮かんできて、本当に作曲家はそういう状況を想像しながら作ったのだなと思いました。一番最後の曲の「ピアノ五重奏曲、イ長調、鱒」の第四楽章でも同じようなことを感じました。澄んだ川の中を悠々と泳ぐ鱒の姿、川岸にとまってさえずる小鳥、突然現れる釣り人など様々な光景を思い描きながら聴いていました。恐らく作曲家は魚が釣り上げられてしまったシーンを想像しながらつくったようなところでは、ピアニストの津田さんが力強くピアノを弾いている姿が印象的でした。大ホールの中が緊張に包まれ、曲が終わったときには本当に感動しました。またクラシックを聴く機会があれば良いなと思いました。津田さん、N響のみなさん、ありがとうございました。

 

        

 

7組 Kさん 

 私は今回のコンサートをとても心待ちにしていました。なぜなら、私が今までに江戸取で鑑賞したクラシック関連のイベントに弦楽器がメインのものは少なく、木管や声楽メインのものが多かったからです。さらに、今回のコンサートはピアノとの合奏ということで、弦楽器の旋律がより美しくなるのだろうと期待していました。そして、実際に聞いたコンサートは非常に素晴らしかったです。今回のコンサートはクラシックの魅力をより教えてくれるような工夫が為されていたと思います。まず、選曲がよく練られていると思いました。モーツァルトの『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』やショパンの『幻想即興曲』のようにクラシックにあまり造詣が深くない人でも知っているような有名な曲が入っていたり、逆に私たちが普段行くようなコンサートではなかなか表に出て来ないヴィオラとコントラバスの協奏曲や、弦楽器の弦をはじいて演奏する『ピチカート』と呼ばれる演奏方法や楽器をこするなど弓を使わずに演奏する曲があったりなど、誰でも楽しめるようなプログラムになっていました。そして、繊細な音色のヴィオラと豊かな音色のバイオリン、それより少し野性味を帯びた音色のチェロ、安定感のあるコントラバスの音色と津田真理さんによる緩急のある、表現力の豊かなピアノが、これらの曲を叙情豊かに、時には目の前に迫るような勢いを表現していました。また、第一バイオリンの木全利行さんによるコンサートで演奏される曲にまつわる小話や、楽器に関する豆知識などの、コンサートの合間に行われた解説が分かりやすく、聞いていてとても興味深かったです。具体的には、曲の名前からどのような場所で使うために作られた曲なのかを考えたり、その曲を作曲した時の作曲家の状況や心情などを語ったりして下さいました。他にもコントラバスやチェロは、出る音の高さにたいして楽器の大きさが小さく、バイオリンなどに比べると音響比率が悪いため、アンバランスな音が出やすいけれども、コントラバスやチェロが無いと音が引き締まらないため、オーケストラには必要不可欠な楽器であるとも仰っていました。私はこの解説を聞いて、楽曲がどう作られているかを知り、分析することで曲への理解を深める『アナリーゼ』を体験しているように感じました。私たちの世代ではクラシックは敷居が高いと思われがちです。おそらく、クラシックのコンサートに行く人よりも有名な歌手のライブに行く人の方が多いでしょう。しかし、今回のただ演奏するだけでなく、誰もが楽しめるようにするためにあちらこちらに工夫がこら来ているコンサートを聞いて、クラシックへの魅力を感じるようになった人は多いのではないでしょうか。私は江戸取での最後の芸術鑑賞会が、このような素晴らしいコンサートであったことをとても嬉しく思います。

        

 

      

 

 

 

8組 I君 

 毎年、江戸取では、著名な方々をお招きしてのコンサートを行っていますが、今回は特に知っている曲目が多く、聞きやすいものでした。また、演奏だけでなく、楽器や曲についての軽い解説もあったので、今まで知らなかったことや、興味がなかったことについても知ることができました。江戸取に入学して6年目。数々のコンサートを聞いてきましたが、やはり、CDなどの音源で聞くよりも、生演奏で聞くという事はとても素晴らしい体験だと思います。音楽に興味がなければ自分から進んでコンサートに足を運ぶと言うこともないでしょうし、ましてや、中高生の時期に体験できたという事は今後の人生において、とても貴重な経験になりました。それに加え、音源からでは得ることのできない人の温かさのようなものも、感じ取ることができるように思います。それまではあまり興味のなかったことであっても、直接聞いたりしたことで、少なからず思い入れが生まれ、音楽や演劇などに興味を持つ契機になるのではないかと思います。たとえば、自分はもともと、クラシック音楽には興味がありましたが、演奏を聞きに行くほどのものではありませんでした。しかし、学校で聞いたことによって、以前よりは聞く頻度が増えました。音楽に限らず、それまでは見たことのなかった演劇も何度か観る機会があり、それによって多少の興味が生まれました。講演会でも様々な方の貴重なお話を聞くこともできました。このような体験によって、自分の趣味や考え方を変えていく良いきっかけとなりました。「学生の本業は勉強」とよく言われますが、それ以上にある程度の芸術体験を学生のうちに積んでおくことが大切ではないかと思います。その点において、江戸取は進学校でありながら、知識偏重になり過ぎることなく演奏会や観劇会などの芸術体験ができる場を設けていただいているので、生徒にとってとても良い環境が整えられていると思います。そして、2014年も残りわずかとなり、残すは受験や卒業というゴールが見えてきたところで、コンサートは良い息抜きになりました。今回のコンサートは、受験勉強で切羽詰っている中で程よいインターバルとなり、今後の受験勉強へのモチベーションも高まり、非常に良い体験となりました。江戸取でのイベントはこれで最後となりましたが、これまで様々なイベントを通して多様な考え方などを身につけることができました。ありがとうございました。