能・観世流の感想

 

1組 H君 

 私は今回で能を見たのは三回目です。小学校の時、地域のイベントで一度見たのと、中学校の修学旅行で京都に行った際に一度見る機会がありました。小学校の時は見たという記憶は残っていますが、その内容までは覚えていません。それに比べると、中学生の時に見た能はよく覚えています。中学生の時も今回も、能を見てとても印象的だったのは、独特な声の出し方です。普通の歌声や、会話をするときの声とは違い、喉を潰して腹から出しているような発声法方法でした。また、歩き方も目線の高さを常に一定に保ってすり足で歩くような独特な歩き方でした。また後ろで笛などの楽器を演奏している人々が奏でる音も、能独特のもので、とても印象に残っています。今回、能を見るに当たって、事前に総合学習で能について少し調べました。そのため、今まで見た能とはまた違った視点で能を見ることができ、日本の文化に対する親しみもより深まったと思います。能は室町時代がから現代まで続いています。そしてその能の中にも様々な流派があり、ただ能と言っても奥が深いです。今回はすり足のやり方や、なぜすり足をしなくてはならないのかなどちょっとした解説や、自分たちも実際にすり足をやってみたり、様々な型を教えてもらったりと、事前に調べていなかったことを多く学ぶことが出来ました、ただ見ているだけではなく、積極的に能を体験する事ができたのが良かったです。また、能楽で使う楽器についても事前に調べていましたが、実際に見て独特な音を聴いたりすることができて印象に残りました、笛がわざと音がずれるようにつくってあったり、小鼓という楽器をつばで濡らすと女性的な音になったり、逆に男性的な音を出すためには火で炙った大鼓という楽器を用いることなど、学ぶことが多くありました。様々な解説をしてくださったおかげで、「羽衣」という曲を何も知らずにただ見るよりも、深く味わうことが出来ました。日本の文化に触れる機会は私達高校生にとってはとても貴重なものなので良い経験になったと思います。

 

        

 

2組 A君 

 ほとんどの生徒がおそらく初めて見るであろう能の演技は、僕のイメージとは少し違うものでした。約二時間の公演はすべてあの独特な口調で行われるものだと思っていましたが、初めて見る僕たちのためにとても工夫がなされていました。能面を被った時の感情の表し方や発音の仕方はとても勉強になりましたが、まさかすり足の練習をすることになるとは思いませんでした。しかし僕も周りの生徒も乗り気で挑戦しました。また、最初に松の木に神を宿らせたと言っていたのに、洒落も言っていたので驚きました。能はもっと厳かなものだと思っていましたが、能を知らない人たちのために公演の仕方も双方向な取り組みをしていて大変だと思いました。高3になればみんなある程度知識があるので、本番が始まって古文の言い方をしているのだとすぐにわかりました。本番の演技はすごく動きがゆっくりとしていて、さらに天女の舞の部分は長く、細かな違いが分からない僕たちにとって少し辛いところでした。それでも日本の芸能に触れて、国によって異なる文化の特徴が見えてきて、面白かったです。僕は今回の観劇会の前にある関連する動画を見ました。最近流行しているプロジェクション・マッピングを使ったものですが、技術の進歩により動くものにも投映できていました。そこで女性の顔に投映する動画だったのですが、ゆっくり動く女性の顔にずれずに合わせて、本人の顔は無表情ながらも映像によって様々な表情に見えさせていました。作成者は日本人で能をベースにしており、伝統はすたれずに時代に合わせて本質を失わずに表現できると思い、少し感動しました。

 

 

3組 R 君 

 僕は今回初めて、能はもちろんのことですが、日本の伝統芸能というものに触れることができました。その内容は、今まで見てきた西洋の芸能とは大きく異なっていました。自分は高校2年生までピアノを習っていましたので、西洋の音楽についてはある程度知っていたのですが、日本の伝統芸能に関する音楽はあまりよく知りませんでした。まず最初に驚いたのは、ほとんどの楽器が打楽器であったことです。オーケストラなどを例に挙げれば、木管楽器や金管楽器、弦楽器が大半で、打楽器は例外はありますが大体のものは1つの音しか奏でることができず、リズムを刻み、音楽全体を盛り上げるのが主な仕事です。今回登場した打楽器も基本的に1つの音しか出せませんでしたが、その曲の主役として1つの音楽を作り上げていました。もちろん打楽器が中心の音楽はたくさんありますが、それらの音楽とは絶対的に異なる点は、全くといってもいいほどリズムがなかったことです。音楽を聞いている間、僕はリズムをとってみようと試みましたが、四つの楽器から出る音はどれもばらばらで、しかしながらなぜか1つの音楽に聞こえてしまうのはとても不思議な感覚を覚えました。今回聞いた音楽は、いつも聞いている音楽とは掛け離れていましたが、それはいつも西洋の音楽をよく聞いているからだと思います。また、今回の能を通じて昔の日本人の考え方が少し伝わってきたようにも思います。まず1つ目に、絶対的な支配者がいないということです。今回の能楽では、指揮者のような人はいませんでした。もちろん能楽を公演した方の中には責任者のような立場の人はいるとは思いますが、本番中に指示を出しているような方は自分が見ているかぎりはいなかったように感じます。おそらく昔の日本人も、やるべきことは自分で考えていたのだと思います。2つ目には、演目を紙に記していないということです。おそらくですが、あのような音楽の演奏のやり方を紙などに記録することは難しいのだと思います。やはり、直接師匠から指導されていたのかもしれません。そうであれば、自然と師匠と弟子の関係が深まり、「上下関係を大切にする」という日本の文化に繋がっていることが理解できます。今回の能楽を通じて、日本の伝統芸能の素晴らしさに触れることができたように感じます。今後も、機会があれば積極的に能楽以外の伝統芸能にも触れていきたいと思います。

 

        

 

4組 Yさん 

 私は今まで日本の伝統芸能を見たことがなく、今回が初めてでした。能については、ほとんど知識がなく、事前学習で調べたくらいのことしか知りませんでした。能の「羽衣」が始まる前の解説が非常に興味深く、愉しむことができました。実際に型を体験したり、声にだして謡ってみたりすることで能という芸能の難しさ、奥深さがわかりました。特に摺り足を使った歩き方が簡単そうに見えて、実際やると上手く行きません。しかし能楽師の方の歩きを客席から見ると、とてもきれいな歩き方でした。歌声も、日常で話している声とは全く異なり、迫力があって力強かったです。また「羽衣」の踊りも私たちが普段している動作とは全く違っていて不思議な魅力がありました。特に私が感動したのは「能」という伝統芸能が室町時代から現代に至るまでそのまま残されていると言うことです。形で残すことができるものではないので、昔から今に至るまで何代にも渡って修行をし、後世に伝えていくということがしっかりとなされていたからこそ、今回、私たちが能を見ることができたのだと思います。私は今回初めて能の舞台に触れ「もっと積極的に伝統芸能に興味、関心を持つべきだ」という思いを抱きました。もし、この観劇会という機会がなく能に触れる経験がなかったなら、人生で一度も伝統芸能にかかわらずにいたと思います。今回の観劇会を通じて、能の面白さや素晴らしさを知ることができました。そして、日本の伝統芸能が昔から今の時代まで、そのまま伝わっていることにとても驚き、感動しました。これからも能や歌舞伎、狂言などの伝統文化に触れ合う機会があれば、積極的に参加したいです。

 

 

5組 K君 

 僕は、今回初めて能楽を鑑賞しました。今回は、能をみるだけでなく、実際に体験することができ、日本の文化や、その歴史についても、動作を通じて学習することができました。今回、舞台上を移動する時に使用される摺り足や、悲しむ、怒る、喜ぶなどの感情を表す「型」を教えて頂きました。教えて頂いた型は、手を使って様々な感情を行うことができます。しかし、手を使って表現するということは、役者に表現力が大いに求められます。また、摺り足は、見た目以上に難しく、習得するまでには長時間の練習が必要であると強く感じました。これまで、能は「難しい、よくわからないもの」という印象が強くありました。体を動かしてみることで、演じることの難しさや大変さを理解することができました。また、現代との違いがとても面白く、能を身近に感じ取ることができました。今回鑑賞した「羽衣」については、事前に予習をして、当日に臨みました。一番重要だと感じたのは、「天女の住む天人界には、嘘というものが存在せず、嘘は、人間界にしか存在しない」というところです。この言葉によって、主人公の考えが一変することになりました。羽衣は古くから日本に語り継がれてきた話です。これまでにも多くの人々に、感動を与えてきたのだと思います。これは、先人達が残した教訓ではないかと思いました。今回の鑑賞会を通じて、日本の文化について深く学ぶことができました。日本の文化の根底にあるのは、「礼」を重んじるところです。今回も、「よろしくお願いします」の一礼に始まり、「ありがとうございました」という一礼に終わりました。しっかりと礼を行ったことが頭に残っています。先人達が築きあげてきた能に対する深い敬意と強い尊敬の気持ちが表れていると思います。先人達に感謝することの大切さを知ることができました。

 

 

 

        

 

6組 Nさん

 私は能を観たのは初めてです。能や狂言は名称だけは知っていて、難しいものだというイメージが以前からありました。しかし、そんな固定観念を見事に破ってくれたのが今回の観劇会です。私たち生徒が体験できる時間が設定されていたり、司会役の方が物語の解説をして下さったりと、大変楽しい時間を過ごすことができました。今回のような機会がないと、なかなか能というものに触れる事ができないので、とても貴重な体験だったと思います。「羽衣」という物語も、題目を聞いたことがあるだけで内容は知りませんでした。しかし、実際に観てみると、それは漁夫が美しい羽衣を拾い、天女に返すという話しで、この物語を通して、「天は嘘をつかない」ということを伝えようとしていることが分かりました。とてもわかりやすいストーリーだったので、観ているうちに自然と引き込まれることができました。また、声の出し方や言い回し、動きが独特で新鮮な印象を受けました。特に印象に残ったのは「すり足」です。すり足は映像で見たことがあって、どうしてあのような動きをするのだろうと不思議に思っていました。しかし、最初に舞台役者の方が出てきたときに、この歩き方をして、神の前では大きな物音を立ててはいけないという説明があったので、この時始めて今までの疑問が解けました。この歩き方を体験してみて一番思ったことは、背筋を伸ばして最高の姿勢で歩くので、とても健康に良さそうだという事です。腰が痛くなったときはこの歩き方をすると痛みが解消するだろうと思いました。そして、あとは楽器についてです。私はヴァイオリンをやっているので、弦楽器と打楽器という違いはありますが、能に使われている楽器はどのようなものなのだろうかという興味はありました。今回使われていた楽器は笛、小鼓、大鼓、太鼓、という日常ではめったに見ないものばかりでした。小鼓と大鼓を見たのは今回が初めてで、打楽器にもいろいろな種類があるのだなと思い、感動しました。大鼓につばを付けて湿らせて音を出したり、紐で縛ったり、乾燥させたもので音を出したりするのは衝撃的でした。これから先、今回のような機会があれば、また能を観てみたいと思いました。