川口淳一郎先生の講話をお聴きして

5組 女子Sさん

 今日、川口先生のお話をお聞きして、一番印象に残った言葉は、「チェックシートはなく、むしろつくる側である」というものでした。普段、私はマニュアルに沿って、間違わないように正しく行動しなくてはいけないという気持ちを抱くことが多くあります。最近はネット環境が充実したことによって、自ら考え行動に移す機会が減っているように感じます。そんな川口先生からのお言葉をお聴きして、自らの手で道を切り開く先駆者として見える景色は、どのようなものだろうと想像すると、胸が高鳴りました。

私は、現在、大学ではロボット工学を専攻したいと考えています。以前、福島県の原発の事故現場で活躍するロボットのお話を耳にしました。人間が立ち入れない場所に、ロボットが使用されたそうですが、途中で稼働不能となり、建物の中に置き去りになったそうです。私は、その話をお聴きしたとき、とても悲しい気持ちになりました。ロボットに強い関心があり、実際に作りたいとも思っています。もし、将来私のつくったロボットが人の役に立つのなら、それはとてもうれしいことです。しかし、作ったロボットが回収不能になったら、どういう気持ちになるのか、今は想像もつきません。

 川口先生が仰ったように新しいことへのチャレンジ、つまり私の目標の先に続く道を進んでいくと、どんな景色が広がっているのか、また、その景色を見たとき、どんな感情が生まれるのか知りたいと思います。また、川口先生は、過程から目的が生まれるのではなく、目的があるからこそ、過程があると仰っていました。私は、過程の段階で恐れてしまい、目的を見失いそうになることがありました。今回、お話をお聞きして、今の未来へのビジョンがぼやけているのは、結局自分自身がそうさせているのだと気がつくことができ、大変勇気づけられました。今回の宇宙のお話は、大変興味深く、講演はあっという間でした。受験を控えた今、私には精神面で多くの学びがありました。

6組 男子M君

 僕は昨年「はやぶさ」の打ち上げから帰還までを追ったドキュメンタリー番組を拝見しました。その番組では、はやぶさ帰還までのJAXA職員の途轍もない努力が描かれていました。4つのイオンエンジンが次々と故障し、最終的には4つの内の1つだけで動かしていたという事実にはとても驚きました。2007年の帰還開始から、2010年の大気圏突入まで様々なトラブルがあり、それを乗り越えられたJAXAの方々の原動力は何であったのか。その一片を川口先生のお話に見いだした気がしました。それは、「失敗しても良い、創造性を持ち帰ることが重要だ。」という言葉に込められていたと感じました。一見、失敗というのは明確な結果が伴っていない分、良い印象で見られることは少ないですが、ゼロから物を生み出す過程が重要であり、成功した点と失敗した点を分析することに大きな価値があるということです。1を2にするのはそう難しいことではないが、0を1にするのは困難を極めるということです。その0から1を創るという難しさで共通しているのが、芸術と科学であると思います。そのような創造力を身につけるにはどうしたらよいか。それはリスクを恐れずに、新たに挑戦すること、または変化していこうとする姿勢によって育まれるものだと思います。変化することというのは、 今までと異なる点が出てくるわけですから、多大なリスクを伴います。人間は変化に対して時には恐怖さえ抱くかもしれません。しかし、それを乗り越えなければ、進歩は一向に見えてきません。もう一つ高いレベルに到達しようとするならば、変化を恐れない強い心が必要だと学ぶことが出来ました。

 僕が今回の先生の講話をお聴きして、最も感銘を受けたお言葉は「見えるものは皆過去のものである」というものです。現時点で自分が使用しているもの、見ているものは全て過去の産物であるという発想を自分はしたことがありませんでした。それはなぜか。今の現状に満足してしまっている自分がいるからです。それでは新たな発想への芽は生まれにくいでしょう。普段からもっと貪欲に物事を見られるようになれば、様々な事柄への新たな気付きが新たな発想を生むかもしれません。宇宙開発もその果てしなき貪欲な、知りたいという気持ちが今日の技術力の高さを象っているのだと思います。僕もこれからはリスクを恐れずに、貪欲に物事を追求していきたいと思います。

        

 

7組 女子Hさん

  4年前はやぶさの帰還は大変大きなニュースとして報じられていました。私もそのニュースを見てとても感動したのを覚えています。約7年の期間と総距離60億キロに及ぶ壮大なプロジェクトを終えて宇宙より帰還した「はやぶさ」の姿は、日本だけではなく、世界中の子供たちに大きな夢を与えたと思います。はやぶさが地球に帰還するまで、はやぶさとの通信が途絶えてしまうなど、致命的と思われる困難が幾度となく襲いかかったと聞きました。それでも自分たちの可能性を信じて諦めない心がついに宇宙史に残る偉業を達成させたのです。これは今の私たちの姿に重なる面もあります。私たちは今大学受験に向けて努力を重ねていますが、返ってくる模試の結果を見て、「もう無理かも」と諦めてしまいそうになることがあります。しかし自分の第一志望の大学に合格したいという思いで諦めずに皆で支え合いながら必死に頑張っています。これからどんな困難が待ち受けていようと、常にモチベーションを高く持って最後まで挫けずゴールを目指し続けていく強い心を持つことが大切であると思いました。夢をしっかり持って、目標に向かって全身全霊で努力を重ねていきたいです。

私は今回のお話の中で「リスクを恐れるな」という言葉がとても印象に残りました。日本人は言われたことはちゃんとできるけれど、それ以上のことはできないという人が多いと思います。私もあまり「挑戦」をしようとするタイプではありません。与えられた課題しか取り組まず、常に受け身です。私たちこそ先入観や固定概念に縛られやすいのかもしれません。これは不可能なことだと自分で勝手に決めつけずに、自分の可能性をもっと信じて何事にも積極的に取り組む姿勢が大切であると思いました。リスクを恐れてしまうのは、きっと自分の中で失敗したら恥ずかしいという思いがあるからだと思います。しかし失敗を恐れていては何も成し遂げることはできません。何かを成し遂げようとするならばリスクがあって当たり前なのです。不可能に見える事にぶつかった時は、できない理由を探すのではなく、できる方法を探す努力をすべきだと思いました。

また、「オンリーワン」という言葉も非常に印象深かったです。二番ではいけない、妥協を許さない姿勢に感銘を受けました。そういう強い意志があったからこそ、このプロジェクトを成功させることができたのだと確信しました。私たちの世代はゆとり世代ならぬさとり世代と言われ、上昇志向がないと言われます。私もそういう傾向があって、「そこそこ」がほっとする気持ちが理解できます。川口先生のお言葉の中に、「高い塔を建ててみなければ、新たな水平線は見えてきません」とありました。現状に満足することなく、志や目標を高くもち、一歩また一歩と、自分の塔を登り続けることが大切であると思いました。これから社会に出ていく人間として、このくらいでいいやという甘さは捨てて、誰にもできないことをしてやるというハングリー精神を忘れずに持って生きていきたいと思います。

 

8組 女子Nさん

 私たちは九月十七日に川口淳一郎先生の講演をお聞きしました。川口先生は「はやぶさプロジェクト」をはじめとする宇宙探査の第一人者です。川口先生のお話の中でとても感動した言葉がいくつもあります。

 一つ目は「多少のリスクを伴わなければ新たな発見はできない」という言葉です。川口先生にとってリスクを伴う対象というのは、宇宙の探査や開発ですが、私たちにとってもこの考え方はとても大事なものだと思います。私たちが人生の中で何かを決めなくてはならない人生の岐路に立たされたとき、いくつかある選択肢の中で選択したもの以外は捨てなくてはなりません。何も犠牲にすることなく、生きていてはいつか手一杯になってすべて手放してしまうことになりかねません。自分が目標に達するためには、本当に必要だと思うもの以外をある程度犠牲にする強さというのは自分の人間としての強さに直結するものだと思います。私はとても優柔不断な性格ですが、正しい選択が必要な場面に直面したときは時間をかけてしっかりと自分の考えをまとめ、中途半端ではなく、きっぱり自分に必要なものだけを選択するように心がけています。今回の川口先生のお話をお聞きしてそれは改めて重要なことだと実感しました。これからも正しい選択を求められる場面ではリスクよりも目標を見て、後悔しないような選択をしたいと思います。

 また、今回のお話で感動した二つ目の言葉は「過去の成果を真似するだけでは新しい発見は得られない」という言葉です。私の夢は調査研究員になることです。海は第二の宇宙と言われるように宇宙と同じくらいまだわかっていないことが多くある場所です。海と宇宙では場所は違えど、分かっていないことを解明するという目的は同じです。新しい事実を解明する上で新しい技術や方法を考えるのはとても大事なことです。そう考えたとき、今回の講話の中のこの言葉はとても感銘を受けました。これまで成果を上げた技術や方法を元に次のプロジェクトを立ち上げるのは効率的な方法ですが、時にはこれまでの固定観念を壊し、違う目線から新たなものを作っていくということも大切なのだと気付きました。また、これは一つ目の言葉にも行き着きますが、新しいものを作り上げるには多少のリスクを伴っても挑戦していく姿勢が必要なのだということにも気がつきました。今回の講話から得たものを活かし、柔軟性のある調査研究委員になりたいです。

        

 

9組 男子M君

 人類が初めて月に降り立ってから約45年が経過しましたが、宇宙に対する人類の探求心はより一層、深まり続けています。宇宙は人類にとって未知の領域であり、また、そうであるが故に、私たちを魅了してくれているのだと思います。宇宙は一体どこまで広がっているのか、あるいは、宇宙に生命体が存在しているのかなど、地球で生活している私たち人類にとって、宇宙への疑問や興味・関心は尽きることがありません。「はやぶさ」プロジェクトもそうした人類の抱える探求心によって計画された壮大なプロジェクトだと私は思います。「はやぶさ」は、小惑星「イトカワ」の探査という目的で製作され、2003年に打ち上げられ、2010年、無事に目的を果たし、地球への帰還を果たしました。「はやぶさ」は地球に、日本に、「イトカワ」の土壌サンプルを、史上初めて持ち帰ることに成功したのです。もちろん、このサンプルを持ち帰ったこと自体にも大変大きな意味があるものだと思いますが、川口先生曰く、それ以上に、史上初めて、資料サンプルを持ち帰ろうとした、その取り組み自体に大きな価値があるとのお話があり、なるほど、と私も深く頷かされました。

 「はやぶさ」プロジェクトにおいては、後継機も製作され、今年度末にも打ち上げられるということで、惑星の地下物質を採取することで、より変質度合いの少ない物質のサンプルリターンが期待されており、私も小惑星探査における、今後のさらなる進展に期待を膨らましている次第です。

 宇宙には、暗黒物質、いわゆる、ダーク・マターが約二割、暗黒エネルギーが約七割以上を占めており、人類が現在把握できている部分はわずか4%程度しかないと言われています。つまり、私たちにとっては全く未知の空間であり、宇宙について解っている部分はきわめて少ないと言えます。そのような分野の研究に挑む方々の困難や苦労は、その分野に精通していない、私のような人間であっても容易に想像することができます。先例のないものを作り出すことは、非常に大変なことだと思います。だからこそ、そのようなプロジェクトを見ていると、私も、「前を向いて歩まなければならない」と勇気づけられることがあります。失敗を恐れずに物事へ挑む姿勢は誇り高いものであり、美しいものだと思います。さらに、それが前例のない事柄であれば、なおさら大切なものだと思います。

 私は今回の川口先生の講演をお聴きして、宇宙・航空分野における、これからのさらなる発展と新たな発見に期待を膨らますと同時に、また、人類の探求心が生み出す未知なる世界へと挑戦する姿勢そのものが、プロジェクトが成功する、成功しないといった結果よりも大切なものであり、尊いものであるということを学びました。宇宙開発分野には大きな夢があります。一見、実現不可能な夢もあります。しかし、私たちは、見たい、知りたいという、飽くなき探求心によって、それを現実のものへと変えてきたのです。自分に本当に合っていることは何か、それは、自分が本当に興味を引かれ、心を動かされるものは何かということと同じ問いではないかと思います。大切なことは、自分の知らない事柄を目の前にしたときに、臆せず、前進しようと挑戦をすることなのだと思いました。ゆくゆくは、そのことが自らの糧となって、人生を、また、キャリアを豊かなものにしてくれるのではないかと思いました。私も、何年経っても常に前を向き、挑戦する気持ちを忘れずに生きていきたいと思いました。

 

10組 男子O君

宇宙にはまだまだ私たちの知らない様々なことがあり、それらに対して敢然と挑むことがどれほど難しく、そして心躍ることなのか、今の僕には想像がつきません。しかし、宇宙開発において決して世界の先頭を切っているとは言えなかった日本が、今回のはやぶさプロジェクトによって、世界に胸を張れる誇れることを成し遂げたことを僕は非常に誇らしく感じます。そして、決して自分自身で何かをしたわけではなくても、同じ日本人がそうしたことを達成したことを非常に嬉しく思いました。

先生が仰った言葉で、僕が一番感銘をうけたことは、「ゼロから何かを作る」という言葉です。この言葉を聞いた時、僕は「こういう言葉をこのような大勢の人間がいる中で言えるのは格好いいな」と、純粋に思いました。もちろん、口で言うのは簡単ですが、実際にゼロから作り上げた人の言葉には非常に重みがあり、その言葉からは勇気を与えていただきました。僕は今まで、他の人、例えば友達や先生や親などといった人々を、単に見てばかりいたように思います。そこから自分の将来を漠然と描き、同じように時間を過ごしてなんとなく自分の出来る範囲で頑張りながら一生が終わるのではないかな、とも思っていました。しかし、今回の講話を聞いて、周囲と比較して、他人の真似だけしてることが、どれほど簡単なことで、自分が今まで簡単な方へと流されて行っていたかということが、良く分かりました。

川口先生のはやぶさプロジェクトは人類が今まで行ったことの無い偉大なことで、人間が宇宙に馳せた夢の一歩として、その足跡は、これからずっと語り継がれて行き、人々に夢と希望を与えるものとなっていくことでしょう。

そのような人々の心を動かす事を行うには、どれほど他人には実行することが困難な努力を行い、どれほど他人には想像出来ないスケールで夢と勇気を持ってその実現を信じていたのか、と思うと自分のちっぽけさと、今までの自分の意識の持ち方について考えさせられてしまいます。自分は何か他人に対して熱く語れるような夢を持って行動していたのかと、講演が終わってからずっと自問しています。

そして、同じ人間で、しかも同じ日本人が行った事を自分が出来ないはずが無い!!そう思うようになりました。もちろん自分が何かを成し遂げるとしても、形は違ったものになるはずです。しかし、物事に立ち向かう姿勢や気持ちのその中身は、同じものであるはずです。自分も将来人々の心を動かす様な事を行えるように、今から学業に励んで行きたいと思いました。