9組 A君 |
僕はつい3月まで江戸取の吹奏楽部でテナーサキソフォンを演奏していたので楽器は違うものの今回のエマーソン四重奏の公演をとても楽しみにしていました。実際に生で演奏を聴いたところ、僕の抱いた感想は「凄い」の一言に尽きます。江戸取には今までにも木管四重奏など様々なアンサンブルを披露してくださる方々がいらしてくださいましたがその中でも特に印象に残る演奏だったと思います。第一に凄いと思った点は4人の演奏者が出す音の圧です。「この音は本当にたった4人で出しているのか」と思ってしまうぐらいの迫力だと思いました。ヴァイオリンやヴィオラのような小型の楽器からそんなにも大きな音が出るのかと思うと衝撃的です。まるで吹奏楽のように大人数で演奏しているかのようにすら感じました。そして第二に、音の表現の豊かさです。演奏された曲の中でもショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲14番がとても記憶に残っているのですが、その曲中のチェロのソロやヴィオラ、ヴァイオリンのピッチカート奏法のような個人個人の演奏技術、表現力も凄かったですし、4人の音が合わさった時に生まれる音の激しくも滑らかで鋭くも優しい音はとても素晴らしかったです。アンサンブル、少人数で合わせる上で求められる技量や、指揮者が不在である状況でも音をずらすことなく合わせることは僕の経験上では非常に難しいことだと思うのですが、エマーソン四重奏の4人はほとんどアイコンタクトだけでリズムを合わせているようにも見えましたし、リズムだけでなくどのような音を出すかもたったそれだけの行為で感じ取っているのではないかというように見えました。僕はエマーソン四重奏の演奏によって展開された世界に完全に心ごと引き込まれてしまいました。4人で演奏することによってホールに響く魅力の増した演奏に感動しました。生の音が直接耳に届くのでCDで同じ曲を聴くよりも感動が増したのではないかと思います。今回のエマーソン四重奏の演奏を聴いて僕自身ももっと人を魅了できるような演奏がしたいと思い、また世界にはまだ知らない音がたくさんあふれているのだと思いました。まだ音楽に興味を持っていない人には音楽に興味を持ってもらいたいですし、僕も無事に受験を終えて楽器の練習がしたいです。 |
10組 Bさん |
吹奏楽部に所属し、日々音楽と触れ、親しんできた私は高1の頃から弦楽の演奏を聴くことに興味を抱くようになりました。その中で、今回エマーソン弦楽四重奏団の演奏を聴く機会が得られたことは非常に幸運であったと感じています。今回の演奏会がきっかけで初めてエマーソンについて深く知ることができました。経歴を見ただけで、グラミー賞受賞が8回にも及ぶことや、そのすばらしい演奏は世界中に広く知られ、親しまれていることなどの情報から今回の演奏会を非常に楽しみにしていました。そして実際にその音を耳にして、私は深い感銘を受けました。弦楽器についてまだ詳しくはわかりませんが、心地よく響きわたる音に身を委ね、聴き入ってしまいました。私は低音が好きなので、値チェロがメインだった2曲目の演奏が今でも心に残っています。また、曲だけでなく演奏スタイルにとても好感を持ちました。体全体で演奏しているかのようでした。そこからは、自分たちが音を楽しんでいること、そしてそれを私たちに伝えようとしている様子がよく見て取れました。また、たどたどしいながらもしっかり伝わる日本語で曲の紹介をしてくださったことも大きな驚きと喜びを覚えました。自分たちと異なる言語圏や文化の中に入っていく際に、言語は非常に大切です。突然、日本語を話してくれたことに私は言いようのない親近感を覚えました。世界的に高い評価を得ている理由が、そういうところにあるのだと思いました。音楽そのものに対して、また演奏を聴く観客に対して、真摯に向き合っていることがひしひしと伝わってくるすばらしい演奏でした。今回の演奏会では、演奏だけでなく、そうした演奏者の人間性や国際交流についても考えることができるなど意義深い時間を過ごすことができました。 |
1組 C 君 |
ホールの中に入るとヴァイオリンの音がホール全体に響いていて、今日は楽しみにしていたエマーソン弦楽四重演奏団の演奏会の日でした。演奏を聴いてまず私が感じたのは、これがヴァイオリンから出る音なのかという驚きでした。私にもヴァイオリンを弾く友人が何人かいますが、ときどき彼らのヴァイオリンを聴かせてもらうことがあるのですが、エマーソン弦楽四重演奏団の奏でる音とは随分違いました。あの音色は本当に弦と弓でだけで出るものなのかと私は不思議でなりませんでした。あの大ホールを包み込むような響きは心の奥まで届きました。私はなんて美しい音色なのだろうと感動しました。そして美しい音色もさることながら、四人での演奏とは思えないほどの厚みがありました。大ホールの壁や天井に反響して私の耳に届くその音色に私は圧倒されました。しかし、ただ圧倒されるのではなく、それは力強さの中に優しさを含んでいて、それが聴いていてとても心地よいものでした。お互い奏でる音色は共鳴しあっていて、私はその音の世界に引き込まれてしまいました。本当に美しい音色です。視覚で捉えた以上に強いメッセージが直接心に届きました。人間は視覚を知覚の中心として進化させてきたと言われます。視覚以外で世界を見ることで、私たちは大切なものを再発見することができるのかもしれないと思いました。最後のアンコールでは改めてそのすばらしい演奏技術を目の当たりにしました。あの細かな音の刻みを生み出す指の動きは神業のように思えました。そして4人の息はぴったりでした。お互いのコミュニケーションに言葉は不要なのでしょう。私が思うに私たちがいる世界とは別の音の世界にいるように思えました。芸術は人の心を育てる母のようだと改めて実感しました。 |
2組 D君 |
私は今までの音楽の経験としては、ピアノを10年、ドラムを2年ほどやっていました。この経験の中で何度か、こういった演奏会に直接参加して生の演奏を聴くということがありましたが、やはりプロの方による演奏は一線を画していると私は思います。一つ一つの音の移り変わりの滑らかさが素晴らしかったり、スタッカートやクレッシェンドがとても丁寧に行われ、曲全体に深みを引き出していたりします。こういった技術は一朝一夕では身につくものではなく、プロの方々のような何年もその道を進んでいる人にこそなしえる技術です。最近ではクラッシク離れが進んでいて、現代の人々の興味はロックやポップといった最近の曲に向いてしまっています。しかしクラシックは廃れているわけではありません。むしろ進化し続けています。クラシックは時代によって曲の様相は異なり、古典派やロマン派などと分かれていて、クラシックの分野は一概にしてまとめられるものではありません。クラシックこそ、最も歴史のあるジャンルであります。このジャンルの音楽を聴くことは、先人の心の内側に触れることに相当するものだと私は考えます。音楽とは、自然の情景や心の中の激情を作曲者達が表現してできあがるものです。だからこそ、クラシックを聴くことはある意味、先人に学ぶということなのかもしれません。あまりこのジャンルの曲を聴く機会はそれほど多いというわけではないので、改めてこうやって聞いてみると、よさを再認識できました。 |
3組 E君 |
私は、今回エマーソン弦楽四重奏団の演奏をお聴きして、様々な弦楽器の豊かな表現力を感じることができました。まず、弦楽器の「音の幅の広さ」というものを実感しました。携帯音楽プレイヤーなどで聴く音楽の音は、どうしてもその幅が制限されているように聞こえてしまいます。弦楽器の音を直接聴くことで、その曲に込められた感情や雰囲気を感じとれたように思います。今回は大ホールの前方に座ることができたため、弦楽器の大きく力強い音から小さく丁寧な音まで、様々な種類の音を聴くことができました。このような「音」の違いにより、重奏の中にも複雑に重なり合ったメロディーを感じとることができました。それぞれの楽器がはっきりとしたメロディーを奏で、それらが組み合わさって美しい和音となっていました。それぞれの楽器の音が主張しすぎず、とてもバランスの良い音量が曲そのものの良さを引き出しているように聞こえました。曲調に合わせ、調和を保ったまま全体のバランスが変化していく中に、曲の奥深さを感じました。私は以前、バイオリンを少し習っていましたが、音の高さを決めるのは弦を押さえる指の位置です。決められたところを指で押さえることで、正しい音の高さになります。今回の演奏では、指を移動させながら音を出していたところがあり、とても驚きました。指で弦を押さえたまま移動させながら音を出していました。そして、そのときに出る音は大変整ったきれいなものでした。非常に高い技術であり、個人的に最も関心を寄せた瞬間でもありました。日常生活の中で私たちが耳にする音楽の中にも、様々な技術が隠されているのかもしれません。日々耳にする音楽に対しても、より注意して聴いてみようと思います。私たちは高校生というまだまだ未完成の年齢ですので、今回演奏された曲において、まだまだその素晴らしさを感じ切れていない部分があるかと思います。私自身も、普段から音楽をより意識を高く持って聴くことができていたならば、今回の演奏曲の素晴らしさをより多く感じ取ることができていたと思います。様々な文化・芸術の良さを感じ取ることができる、豊かな感受性と深い教養を身につけた人間になりたいと強く思いました。今回、このような素晴らしいコンサートに参加できたことに感謝したいと思います。 |
4組 F君 |
一年の楽しみの一つである、演奏会が行われました。今回は弦楽四重奏で中学時代に吹奏楽部でコントラバスを担当していた私は、とても楽しく聴くことができました。江戸取の魅力の一つに本物の芸術、文化に触れる貴重な体験があると思います。人生に時間はたくさんありますが、芸術と向き合える時間はそれほど多くはありません。本物の芸術に高校時代から触れることのできる江戸取のイベントはとても大切だと思います。エマーソン弦楽四重奏団の演奏は、始まったそのときから音の一体感の素晴らしさを感じることができました。複数の楽器から奏でられている音が、まるで一つの音であるかのようにまとまりを持って耳に届いてきました。しかもそれは、やはり四重奏による厚みも感じられるものでした。演奏の一体感と楽器それぞれの音が合わさることによる感動がありました。合奏は、個人の努力だけでなく、集団での連動感による感動が味わえます。演奏者の方々が、音楽を創り出すまでの過程をともに歩んできたからこそ、そうした感動が味わえるのだと思います。今回、演奏を聴いていて、個人では創り出せない和音や一糸乱れぬ一体感に、会場全体が知らず知らずのうちに共感し、その場でしか味わえない音楽にめぐり逢えたことに感動しました。音楽には時間を共有できる悦びがあると思いました。合奏の一体感が、演奏者だけでなく、客席とも一体感を持ち、会場全体で一つの音楽を味わっている気持ちになることができました。音楽の持つ、人と人とを結びつける力というものを体感した気分です。また、音の一つ一つに個性が感じられました。演奏は一体感のある演奏でしたが、聞いていると、楽器ごとに違った音を奏でています。そうした豊かな演奏で楽しませてくださったので、1時間のコンサートで全く飽きることがありません。楽器ごとの個性だけではなく、同じ楽器であっても曲中に表情を変えたかのように音色が変化して感じられることもありました。音楽の楽しみ方について、また一つ理解が深まった気がしました。このような素晴らしい演奏会を聴くことができてとても貴重な体験となりました。 |