観世流能「羽衣」を観劇して

2組
Kくん

 今回、日本の伝統芸能の一つである「能」を観ることができ、とても貴重な経験となりました。きっと今後の人生において「能」を観る機会は1、2回あるかないかと思います。それ程貴重なものを学校生活の中で経験することができるのは、江戸取くらいなのではないでしょうか
 いきなり「能」を観せられてもよく分からないのではないかと思っていましたが、開演前に基本的な動作やいくつかの型と呼ばれるものを教えて下さり、またそれを実際に会場全員でやってみることで「能」に対しての関心が高まりました。独特の発声方法で歌ったり、シンプルに見えるけれど扱うのがとても難しそうな楽器を駆使して演じられた「能」は、室町時代から続いてきたという古い伝統に誇りを持ち、それを後世に残していくという強い気持ちと、長い年月を稽古に費やし、最高のものを観客に届けるというプロの心を感じました。
 また、神様に捧げるものであるので、舞台の上では足音をたてない、舞台にたつときにはそれなりの服装をする、これらの考えは古い日本の伝統を感じさせます。「礼に始まり、礼に終わる」などは日本の伝統の中で幅広く教えられていることです。このような伝統を守るには、われわれが日本の伝統文化に興味を持ち、それを後世にも継承していく手助けをすることが大切だと思いました。




3組

Mさん

 私は、これまで能を観たことがなかったので、今回の能の観劇会をとても楽しみにしていました。
 最初の一時間くらいは能の中での基本的な動作を教えてくださり、実践してみることで覚えることができました。感情表現の仕方がかわっていたので他の表現の仕方も調べてみたいと思いました。歌を一緒に歌った時のリズムや音程を合わせることが難しく、また、すり足の練習をした時には一人前になるのに十年近くかかると聞き、日本の伝統を受け継ぐ事は簡単ではないのだと実感しました。また、能に使われている楽器で小鼓と大鼓は同じ太鼓なのに全く音が違いとても驚きました。その上、それらは湿っているか乾いているかの違いだけなのです。小鼓をたたく練習もみんなでして楽しめました。
 能の中ですごいと感じたことがいくつかあります。一つ目は一時間ほどあの音量を保ったまま歌っていたことです。マイクを使わず大ホールいっぱいに声を響かせることは簡単ではなく、とても感動しました。二つ目はずっと同じ姿勢だったことです。歌を歌う時も楽器を演奏するときもずっと正座で、姿勢が崩れずすごいと感じました。
 今回、七百年前に始まったという日本の伝統文化を直に体験することができてとても幸せに思いました。同時に、伝統を受け継ぐ事の大切さ、大変さを理解することができました。今後は、今回学んだことや感じたことを大切にしていきたいと思います。




4組

Hくん

 今回行われたのは能の観劇会でした。私は能についたこれといった知識もなくただ演劇みたいなものだと思っていました。しかし、実際見てみて思った印象は劇というより舞という印象で、能とは舞を神に見せるというようなものでした。そして演出者のその舞はとても優雅でとても美しく、とても逞しい声で舞っていたので内気な性格の私はとても憧れました。今回の総合の時間はいつもより2時間長かったのですがその様なことを忘れるほど早く時間が過ぎていきました。
 能には笛と小鼓と大鼓と太鼓の4つの楽器を使うそうです。特にすごいと思ったのが笛です。わざと音の出しにくいような設計になっていてきちんとした音色を奏でるには時間がかかるそうです。長い苦労の末に手に入れられる物だと思いました。太鼓ですが、正直見た目では3つの太鼓は似ていたので何で太鼓がこんなにあるのだろうと思っていましたが、実際に演奏が始まると3つの太鼓が全く異なった音を奏で、とても良いハーモニーを築いていました。同じ打楽器3つでも良い音色を作れる音楽は凄いなと改めて思いました。
 今回この伝統的な能をみてみて、舞をする前に深々とお辞儀をすることや、歩くのに足音をさせないで歩くのを見ていて現代の日本人の礼儀や謙虚な心持ちはここからきているのではと思いました。そして伝統はこのようにして受け継がれていくのだと思い、大切さを知りました。実際私達も先輩方の伝統を継いでいる立場ですのでその立場であることを再認識して頑張ろうと思いました。
 今回の総合の時間の能は理系の私でも楽しめる程の内容と工夫がされておりとても勉強になりました。そして今回の観劇会で伝統的なことについて興味がとてもわきました。能を見るという貴重な体験ができたことを大変嬉しく思います。




5組

Mさん

 私は能を見る機会などほとんどないだろうと思っていたので、今回の観劇会を楽しみにしていました。また、教科書や資料集で写真を見たり、先生方からお話をお聞きしたりすることでしか能という伝統芸能を知らなかったので、興味もありました。しかし、内容が私たちでも理解することができるのかという不安もありました。
 今回の観劇会では、解説して下さる方がいらっしゃったので、とてもわかりやすかったです。また、能を見るだけでなく体験する時間もあったので、少し能を身近に感じることができました。私は、能の舞台の松の木には、神様が降りてくるという話を初めて聞きました。だから、「すり足」で歩く、ということも全く知りませんでした。すり足を出演者の方が舞台上でお手本を見せて下さったとき、頭から足まで一直線になっていて、姿勢の良さにとても驚きました。実際にやってみると、良い姿勢を維持したまま歩くことがうまくできませんでした。他にも、泣くという仕草や、喜び、怒りの仕草を教えていただきました。また、曲の歌い方も教わり、時間が過ぎるのが早いと感じるくらい有意義な時間を過ごせました。
 演目の「羽衣」を見たのは様々な体験をした後だったので、天人と白龍の感情が見てわかり、物語を理解することができました。初めて見た能は、想像していた以上に目の前の世界に引き込まれていきました。また、地声でホールいっぱいに広がる声量に圧倒されました。
 日本の伝統芸能である能を見ることができ、とても貴重で良い経験をすることができたと思います。今回の観劇会を通して、能についての様々なことを知り、また機会があったら、他の作品も見てみたいと思いました。





7組

Yくん

 今回観世流の能を鑑賞させていただきました。私は、「能」という日本の伝統芸能については全く知りませんが、自分の曾祖父は、能面を作っていたり、謡を教えていたということもあって、少しはつながりがあるのだろうと思って今回の能を鑑賞させていただきました。ただそれでも初めてのことだったので、この観劇会は自分にとって貴重な経験になりました。
 観劇会の始めに、司会進行役の方が能について説明してくださいました。たとえば、舞台の後ろに描かれている松の木は神様を象徴していることや、神様がいるので歩くときは音を立てないように歩かなければならないなどということです。また、自分たちに能の稽古をしてくださいました。能における感情を表現する動作がとても興味深かったものでした。
 そして、能で使う楽器についても紹介してくださいました。どの楽器もすごく独特な音色を出していて、その楽器の作り方も含めて、日本の能の伝統について少しわかったような気がしました。
 この観劇会を鑑賞することができて本当に良かったと思いました。今のこの世の中、自分たちのような若い世代が、日本の伝統芸能について触れあう機会はなかなかないので、貴重な体験だったことをあらためて実感しました。
この観劇会を通して能について非常に興味を抱いたので、また鑑賞する機会をもちたいと思います。日本の伝統芸能のすばらしさを知る大変良い機会となりました。ありがとうございました。





9組

Nさん

私は今回、能を観劇して、日本の芸能の伝統の深さを実感しました。私は中学校時代から演劇部に所属し、いわゆる近代演劇と呼ばれるものを中心として演劇に携わってきましたが、能や歌舞伎といった伝統芸能にも興味を抱いていました。そして今回喜ばしいことに、学校で能を観劇出来る機会に恵まれ、私はこの日を待ち遠しく思っていました。
 日本の伝統ある芸能ということで、最初は堅苦しいものを想像していましたが、実際に講演が始まると、基本的な型や舞などを丁寧に教えてくださり、何の知識もなかった私でも、能というものを理解することが出来ました。また実際に自分自身で型の動作を行うことで、能に対して抱いていた堅苦しさのようなものを払拭することが出来ました。
 先日、「現代文」の授業で能について学ぶ機会がありました。その中で、能というのは近代演劇とは異なり、役者は感情を込めずにただ稽古された通りの型を、稽古された通りに忠実に行うということを学びました。その型には昔の人の言葉にできない「思い」が閉じ込められているのだそうです。それを学んだ時、私は素直に「凄い」と思いました。私が携わってきた近代演劇は、どうしたらば観客に自分たちが伝えたいとことを伝えられるかということを重視しています。能も観客に何かを「伝える」という点では近代演劇と似ていると思います。しかし、近代演劇ではその何かを「伝える」ために、役者は何十回何百回と台本を読み込んで作品の解釈をし、その役の感情を作り上げることでその役に息を吹き込みます。そう考えると、自らの作り出した感情に従って演じる近代演劇と、昔の人が動きの中に閉じ込めた感情を、型によって忠実に再現する能は、全く異なったものだと言うことができます。
 今回、能を観劇して、正直なところ、演じられている言葉の意味を、一語一句全て理解することは出来ませんでした。しかし、謡いと笛・鼓・太鼓などによって創造される独特の世界観と演じ手の迫力ある舞は、すぐに私の感情を高ぶらせてくれました。能という今まで無知であった新しいジャンルの芸能に触れたことで、私の芸能・演劇に対する興味は今までよりも、一層深いものとなりました。普段から携わっているものだけでなく、自分にとって未だ経験したことのない非日常的なものに足を踏み入れることは、新しい発見をする大きな手がかりになるのだと、今回の能の観劇をして実感させられました。
 私にとって演劇は、常に私に力を与えてくれ、新たな道を切り開いてくれるものです。そして、今回、計り知れないほど沢山の人達によって、長きに渡って引き継がれてきた伝統ある能という芸能に触れたことで、私がこれまで知らなかった新たな世界に出会うことが出来ました。今回、このような素晴らしい体験のできる貴重な機会を与えていただいたことに心から感謝しています。