観劇『ベニスの商人』の感想

1組

 私は『ベニスの商人』は名前しか知らなくて初めて観たのですが、壮大なセットやルネッサンス時代の再現を強く感じられる衣装などから、自然と話の世界に入りこむことができ、ルネッサンス時代を覗いているかのように感じられました。またキャラクターの個性が豊かで、一人一人の特徴が際立っていたり、物語が起承転結の四部構成であったりと、観ている人を飽きさせず、最後まで楽しくワクワクしながら観ることができました。
 物語は、アントーニオとバザーニオの友情の話をテーマにして描かれていましたが、困っている親友のために自分の肉を担保にしてまで、あくどい高利貸しのシャイロックからお金を借りたり、自分のせいで殺されそうになっている親友を一生懸命助けようとしている姿などから二人の強い絆が感じられ、改めて友情の大切さや素晴らしさに気づきました。
 劇中には、シェークスピアが物語を書いた当時の考え方があり、当時と今ではユダヤ人とキリスト教徒の立場や、お金の貸借に対する考え方などが全く異なっていたのだなと思い、それを考えさせられる作品でもあるな、と思いました。
 舞台衣装も含め、表現豊かな俳優の方々の演技に魅了され、観ている私達に笑いや感動を与えてくれ、楽しい時を過ごすことができました。
(N.Yさん)

2組

 僕は今回の劇の題材である、シェークスピアの『ベニスの商人』という物語は中学生の頃に少しだけ読んだことがありました。しかし当時は冒頭のみを見ただけで、「あまり面白くなさそうだな」と感じ、すぐ読むのをやめてしまいました。そのため、劇の内容も暗くて怖いものなのではないかと思っていました。
 しかし、劇を見始めると、どの登場人物も個性的なキャラクターで、その掛け合いに何度も笑ってしまい、すぐにその世界観に惹かれてしまいました。単に面白いばかりでなく、劇の開始時に解説のピエロの方が話してくれたように、中世ヨーロッパの歴史や文化、ユダヤ人の迫害といった奥深い背景が感じられました。「世界最高の劇作家」といわれるシェークスピアの作品の素晴らしさと、その喜劇をユーモアたっぷりに演じてくれた役者の方々の演技に感動しました。
 また、劇が終わって登場人物が皆集まって挨拶をするシーンがありましたが、集まった後の、幕が下りるまで誰1人動かない絵画に見えるような演出がとても印象に残りました。母も劇を見に来ていたのですが、僕と同じように「最後のシーンには驚いたし、感動した」と話していました。
 今回の劇を見て良かったと思った人はかなり多かったのではないかと思います。高3生の中でも、受験勉強のとてもいい息抜きになったと言う人はかなりいましたし、僕もその1人です。このような機会を得られたことに感謝し、高校生活の中のよい思い出としたいと思います。
(A.Mくん)

3組

 今回は、劇団芸優座の『ベニスの商人』を鑑賞させていただきました。
 ベニスの商人は、商人のアントーニオが、その友人バサーニオのために、自分の肉を担保にして金を借り、その結果バサーニオはポーシャ姫と結ばれましたが、アントーニオは金を期日までに返すことができず、金を借りたシャイロックに殺されかけてしいましたが、アニトーニオーの命の危機を聞きつけたポーシャ姫とバサーニオが彼を救うというお話でした。
 この話は、本来は中学生や高校生にとっては、時代背景や内容が少し分かりにくい話だと思います。特に『ベニスの商人』を描いたシェークスピアが生きていた時代にユダヤ人が迫害されていて、その代表としてシャイロックが捉えられていることなどは、劇中だけではなかなか分かりづらいものだと思います。しかし、劇団芸優座は劇を楽しんでもらうために所々にコメディ要素を入れ、観客を飽きさせない工夫をしていて素晴らしいと思いました(本来はそういう内容の劇だったのかもしれません)。また演技についても、役者が皆しっかりと各々の役を演じ、特に締めの1カットなどは本当に凄いと思いました。
 今回劇を演じてもらった芸優座に皆さん、本当にありがとうございました。
(T.Yくん)

6組

 今回私は、江戸取生として最後の観劇会に参加することができました。『ベニスの商人』という名は聞いたことがありましたが、どのようなお話かは知らなかったので、とても楽しみにしていました。
 一番心に残っていることは、とにかくとても面白い内容だったということです。私は、シェークスピアというと、とても古くて難しい本の作家というイメージしか持っていませんでした。そのため今まで一度もシェークスピアの本を読んだことがありませんでした。しかし、実際に劇を観てみると、思わず笑ってしまうような楽しい内容でした。きっとこれは本を読むことでは味わうことのできない、劇特有のものでもあると思いました。是非、他のシェークスピア作品にもふれてみたいと思いました。
 また、劇を観ていて思ったことは、役者さん達の演技のすばらしさです。とても迫力のある声や細かい仕草に驚きの連続でした。どんどん劇に自分が引きこまれていき、約二時間の劇はあっという間に感じました。
 このようなすばらしい劇を学校で体験できたことは、とても良い思い出になりました。この体験ができたのは、とても恵まれた環境にいるからであることを忘れずに、多くの方に感謝したいと思います。
(F.Mさん)

8組

 今回の観劇会は、シェークスピアの『ベニスの商人』というポピュラーな作品と聞き前々から大変楽しみにしていました。そしていざ劇を見てみると想像とは大いに異なりました。今回の劇は喜劇であるとはいえハッピーエンドで終了するくらいだろうと思っていたのですが、所々にユーモアが散りばめられていて、予期してもいないところで急に笑わせてくるのでキャストの方々の演技力には驚きを隠せません。キャストの演技力のユーモア性以外での印象的だったことは、ポーシャ役の人の男装前後の声の変わり様です。前の声の高さから急に低い声を出せるとはさすがプロは違うなと感心してしまいました。
 話は変わりますが、私はこの作品を観劇して一つ疑問を持ちました。それは『ベニスの商人』という題名は誰を指しているかということです。話を見ていると何となくアントーニオのことを指す気がしたのですが、ならばなぜ『ベニスの商人』という抽象的表現をしたのでしょうか。このような疑問を抱かせるのがシェークスピアの文才を感じられるポイントのように思います。
 今、自分も含め高校3学年の大半は受験勉強に追われ、心のゆとりを持てずにいましたが、今回のユーモア豊かな『ベニスの商人』を観劇したことで久しぶりに腹の底から笑えて苦しく大変な受験生活において息抜きが出来たと思います。このような機会を恵んで下さった学校や先生方に感謝すると共に、このような観劇会を是非続けてもらいたいです。
(K.Tくん)

10組

 シェイクスピアと言えば、『ベニスの商人』をはじめとして、「ロミオとジュリエット」、「ハムレット」、「リア王」などたくさんの劇を書いた劇作家として有名です。シェイクスピアは活動が多岐に亘っていたというだけでなく、悲劇・喜劇・史劇と全てのジャンルで成功し、さらにあらゆる階級・種類の老若男女を書き分け、それぞれの人間を生き生きと描き上げたことから、「万の心を持つ」とまで言われていました。
 私が一番印象に残ったことは、ユダヤ人の迫害でした。今回の作品では迫害されるユダヤ人の代表としてシャイロックが登場していました。
 当時、イギリスではユダヤ人の偏見は大変強く、18世紀まで敵役の典役としてユダヤ人を捉えることはよくありました。ユダヤ人への偏見は彼らの宗教や宗教上の習慣への誤解・無理解、聖書の記載などに由来するばかりでなく、彼らの家族・民族間の結束が固く、各地で商売などで成功する人が多くいたことへの嫉妬もありました。金融業の、金を貸して利息をとるという発想も、当時キリスト教徒と呼ばれる人々にはなかった。
 それでも、ユダヤ人への迫害はあってはならないことだと思います。ユダヤ人だけでなく、誰も迫害されたりしてはいけません。みんながみんなを迫害したり偏見したりせずに互いを愛し、みんなが幸せだと感じる平和な世の中を作っていかなければならないと思います。
(S.Tさん)

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