医科コース冬期学習会

高等部2年対象

ブタの心臓の解剖

 1.実施の目的  医科コースは、国公立大学の医学部進学を目指すコースです。近年、全国的に医師希望者の増加に伴い、ますます難化傾向にある医学部受験に対して、進学実績を着実に上げてきました。その為には、強いる学習も勿論大切となりますが、医師としての教養を深めるためにも主体的な学習を行える機会を医科コースの生徒たちに適切に与えていくことが重要だと考えています。
 本校教員だけでなく、時には、大学および研究所の多くの方々の協力を得て、様々な実験や観察を行い、積極的な姿勢で勉強できる学習環境を学校全体で整えていきたいと考えています。そして、生徒たちの興味・関心を高めた上で、協働的な学び合いを通して、将来、世界を牽引する医療系リーダーとなる生徒を育成していくことが重要だと思います。
 そこで、今回は通常の授業時間よりも長い時間を比較的自由に設定することができる冬期学習会で「ブタの心臓の解剖」を行なうことにしました。日頃実践している授業内容をより深めた学習を行なうことで、「命」に対して謙虚な心を持ち、生物の複雑な構造や機能に興味関心を深めることを目的としました。

 2.実 施 日  平成29年12月24日(日曜日)
 高等部2年1組  8:50 〜 10:40
 高等部2年2組 10:50 〜 12:40

 3.担当教師  理科教諭(生物担当)熊井 優

 4.実施場所  自然科学棟(生物学実験室)

 5.参加定員  高等部2年生(高等部39期生)
 1組(在籍24名) 事前に欠席届が提出されていた者 2名 → 22名
 2組(在籍23名) 事前に欠席届が提出されていた者 4名 → 19名
                          (合計)  41名

 6.実験内容  ブタの心臓の観察(ブタの心臓の解剖)


釣り針とハリスを用いた結紮の練習風景

実験風景

         
 心臓の周囲に付着している脂肪などを取り除いている様子です。注意深く観察しながら切除してきました。    大きな血管の周囲に付いている余分な脂肪などを取り除いている様子です。    太い血管に着目しながら解剖実習は進んでいきました。気づいた点は観察記録用紙にメモやスケッチを書いていきました。
         
         
 大動脈を切り開いて観察している様子です。特に、血管の厚みに注意して観察を行っていきました。    心臓全体を切り開いて、右心房 → 右心室 → 左心房 → 左心室 の順番で観察を行ないました。筋肉の厚みや様子などを確認しました。    「三尖房」や「僧帽弁」など先生の指示に従って探している様子です。
         
         
 コピー用紙を折り返して、釣り針とハリスを用いた結紮を行ないました。    ピンセットを用いての結紮練習をしてる様子です。一日医師体験を通して行なったことがある生徒は多かったです。    切り開いた心臓を用いて縫い合わせてみました。心臓外科医の気分を体験することができました。

生徒の感想

 ●  教科書でしか見たことがない心臓の構造は自分が思っていた以上に複雑で、立体的に場所を考えることは難しかったです。

 ●  今まで教科書などで心臓の断面図は見たことがありましたが、本物のブタの心臓を観察して弁の様子を見ることができて貴重な体験になりました。

 ●  紙を用いて縫い合わせる演習が難しかった。しかし、解剖実習の後に心臓を縫うのは成功したので良かったと思います。

 ●  結紮の練習が楽しかった。心臓の血管がどこにつながっているとか、どこが右心房かなど、自分の目で見ながら、触ることもできて貴重な経験になった。

 ●  教科書に記載されているように綺麗になっているわけではないことが分った。腱や脂肪が分りづらいことも分った。血管ははっきりと分りやすかった。

 ●  今回ブタの心臓の解剖をしてみて、思っていたよりも右心房、左心房が小さかったのが印象的でした。また、切断面によって普段教科書で見ている構造とは異なっているので、その点が観察の時大変でした。

 ●  初めて解剖を行って、とても楽しかったです。心臓の周囲にある脂肪が綺麗に取れたのが嬉しかったです。「この心臓でブタが生きているのか」と思い、生物の凄さを知ることができました。

 ●  心臓を切って開いて中を見ると、自分が思っていた以上に複雑な構造をしていることが分った。

 ●  リアルな心臓を見ることができて良かった。切り方次第で色々と見方が変わるのが面白かった。思っていたよりも心臓の中がゴツゴツしていた。

 ●  右心房と左心房の壁の厚さがこんなに違うのかととても驚いた。また、ブタの心臓の仕組みが本当にヒトに似ているのだと感じることができた。

 ●  心臓の左心室・左心房と右心室・右心房の壁の厚さが違うのが印象的でした。三尖房と僧帽弁を観察できましたが、思っていたよりも薄く小さくて心臓の壁と同化しているようでした。

 ●  ブタの心臓を解剖するというのは初めての経験で、実物を見ることでより生物の意識が高まった。


【心臓の全体図】 写真 【心臓の全体図】 生徒のスケッチ



本校は「平成29年度私学版未来の科学者育成プロジェクト推進事業」に茨城県より採択されました。
本校の具体的な実践項目は、次の4点を柱としています。

 @ 学校設定科目「メディカルサイエンス」の新設
 A 理数融合講座・実験講座
 B 江戸川学園取手小学校のアフタースクールへの指導
 C 医科講話・医療教養講座・一日医師体験による医師としての自覚作り

今回は、上記の A に関しての項目となります。