【 研修の目的 】
本校では、今年度より医科コースに所属する高等部1年生から3年生に、学校設定教科として「理数科」を新設し、その中に 学校設定科目 として「メディカルサイエンス」を設置しました。この科目は4つの項目(@医療問題 A科学実験 B医療統計 C科学英語)から成り立ちます。そのそれぞれの内容は「医科」に特化したものとなりますが、その授業の基本となる重要な視点として、数学及び理科の各科目(物理・化学・生物)にそれぞれにつながりがあることや、それぞれが有機的にかつ機能的に組み合わさることによって生徒の知識が深まったり、新たな発想が生れたりするような工夫や仕組みを施していきます。
@医療問題 は、再生医療社会における問題点の検討をテーマにしています。 京都大学の山中伸弥教授のノーベル賞受賞やiPS細胞を用いた治療の研究などにより、再生医療の最先端技術は国民にもその存在を知られるようになりました。しかし、我々一般市民にとっては、大きな期待とともに未知なることへの不安を感じるところにあります。そこで、将来医師を目指している医科コース生徒を対象にして、再生医療について概要を学び、未来の再生医療の問題点について議論できる生徒の育成を目指します。 |
そこで、iPS細胞研究の本拠地ともいえる京都大学iPS細胞研究所(CiRA:通称「サイラ」)への見学を行うことで、医療問題への興味関心を更に深め、医師としての志望を一層強めることを目的としました。
また、今年度より高等部の医科コースはすべて 2クラス体制 にとなりました。医科コース生徒たちの大事な進路を考えるに当って、関西圏の大学においても意識を持つことは重要だと考え、大阪医科大学のオープンスクールに参加しました。
【 研修の日程 】
2017年8月20日(日曜日)
時 間 | ||
7:30 | JR東京駅 集合 「銀の鈴」が集合場所 | |
8:00 | JR東京駅 発 のぞみ207号 (新大阪行き) | |
10:30 | JR新大阪駅 着 | |
11:00 | JR 高槻駅 着 | |
11:15 | 大阪医科大学 オープンスクール参加 | |
16:00 | 大阪医科大学 オープンスクール終了 | |
16:30 | ホテル到着 |
2017年8月21日(月曜日)
時 間 | ||
7:00 | 起床 | |
9:00 | JR高槻駅 発 | |
9:30 | JR京都駅 着 | |
10:30 | 京都大学iPS細胞研究所(CiRA) 見学 | |
11:30 | 京都大学 見学 | |
15:00 | JR京都駅 着 | |
15:02 | JR京都駅 発 のぞみ372号 (東京行き) | |
17:20 | JR東京駅 着 解散 |
【 研修の参加人数 】
高等部1年(40期生) | 男子2名 | |||
高等部2年(39期生) | 女子3名 | 合計5名 |
【 研修の引率教諭 】
医科コース長 兼 龍盛
【 8月20日(日曜日): 大阪医科大学オープンスクールの参加 】
JR東京駅の集合場所「銀の鈴」です。 勿論、一人も遅れることなく集合することができました。ここでも研修旅行などや日々の学校生活で指導されてきた「5分前集合」が活かされました。 |
大阪医科大学です。初めての場所だったので、少し道に迷いました。しかし、大きな建物だったので看板を見つけて無事に辿り付くことができました。JR高槻駅から徒歩約10分程度でした。 | オープンスクールの受付です。個別相談会や模擬授業などのいろいろなコーナーも人気で整理券が配布されていました。大学の学生さんからは笑顔で気さくな声かけをして頂き、非常に丁寧な応対をして下さいました。 | ||
医師の基本の手技の一つとなる「聴診」を体験させて頂きました。画面の波形は、いろいろな症状の呼吸音や心臓の波形を表現できるそうです。 | 聴診器を耳に当てて、心音や呼吸音を専用の人形を用いて聴かせて頂きました。今回は通常の心音と場所による呼吸音の違いなど体験させて頂きました。 | 大阪医科大学の方で準備して下さった白衣と聴診器をお借りして写真を撮らせて頂きました。 | ||
医学部の体験実習として、「縫合」の体験をさせて頂きました。最初は、ピンセットを2本用いて手術用の糸を結ぶのは難しかったです。 | 高等部2年生となると、いろいろな場所で一日医師体験や様々な大学のオープンスクールでの経験もあります。その為、指導をされている先生から「手際が良かった」と褒められました。 | 大阪医科大学の学生さんによる講義を受けることができました。医学部合格して大学生になると、より主体的な学習が重要になると教えて頂きました。 | ||
附属病院ツアーにも参加させて頂きました。最新の手術室やいろいろな器具を見学させて頂きました。 | みんなで学食でお昼を頂きました。ラーメンやうどん、麻婆丼など非常においしかったです。 | 大学の授業を体験させて頂きました。新しいがん治療となる「ホウ素中性子補足治療」についての講義でした。高校生用に、医療の歴史から解説して頂き、非常に分りやすい内容の講義でした。 |
【 8月21日(月曜日): 京都大学iPS細胞研究所の見学 】
JR京都駅から有名な「京都タワー」を背景に写真を撮りました。非常に暑い一日が始まりました。 | 京都大学iPS細胞研究所の前で記念撮影しました。 | 受付を済ませて国際広報室の和田濱先生よりiPS細胞研究所の役割や再生医療に関するお話を伺いました。 | ||
CiRAにあったパンフレットやNewsletterを頂く事ができました。最新の研究結果などを市民にも分りやすく伝えるためのものです。 | この建物が京都大学iPS細胞研究所です。オープンラボなど見学させて頂きました。 最新の研究などされているため研究所内での写真撮影は控えました。 |
京都大学で有名な時計台の前で記念写真を撮りました。非常に暑い日でしたが、京都大学のキャンパスを見学してきました。 |
【 参加した生徒の感想 】
● | 僕は今まで大学のオープンスクールに参加したことがありませんでした。今回、大阪医科大学に実際に足を運んでみることで「生」の大学を見て体験することができました。さらに関西圏の大学に対する進学への意識もするようになるなど、自分の中で変化があったと思います。 また、CiRAの見学を通して、臨床医師だけでなく基礎研究の分野に対しても興味が沸いてきました。さらに、メディカルサイエンスの授業で学んできた様々な知識が、当日の和田濱先生によるレクチャーを受けた時にとても役立っていることを実感することができました。 |
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● | 大学のオープンスクールに参加することは、これが初めてでした。しかし、大阪医科大学の学生さんたちがとても親切に自分たちの相談にのって頂けて、2年次からの理科の選択科目の参考になりました。自分は一度怪我で指を縫ったことがありますが、当時は怖くて自分の指を直視することはできませんでした。そんな縫合体験も貴重な経験となりました。 CiRAの中では最先端の研究がなされており、研究所内での写真撮影が禁止されていたので多少残念でしたが、再生医療研究の最前線を自分の目で見て、お話を聞く貴重な体験をすることができてとても楽しかったです。 |
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● | 今まで、関西の大学に目を向ける機会は多くなかったので、自分の視野を広げる非常に良いきっかけとなりました。少人数での研修だったので、比較的自由に色々な場所を見学することができました。 CiRAでは世界でも最先端の研究施設をかなり間近で見学させて頂けることができたので、「ここでiPS細胞の研究がなされているんだ」と実感をすることができました。とても充実した2日間だったと思いました。 |
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● | 現役医学生の方が、関西の方ということもありとてもフレンドリーに話をして下さって、受験勉強の仕方や医学生になってから色々な話しをお聴きできました。縫合の練習やICHIRO−Uなどの実際の医療をより近い場所で体験させて頂きました。 CiRAでは、オープンラボを中心に実際に実験を行っている場所を見学させて頂きました。不妊症の治療やパーキンソン病の治療への応用研究がされているところを見学させて頂き非常に興味深かったです。世界最先端の再生医療の研究を間近で見られてとても楽しかったです。iPS細胞はどのようにしてできるのか、そして、どのような方法があるのかなど自分が調べて得た知識に加えてさらに学ぶことができたので大きな刺激となりました。 |
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● | 今回は以前から興味関心があったiPS細胞研究所に見学に行くというとても貴重な経験をさせて頂いて非常に良かったです。この研修会を通してiPS細胞や再生医療、また、iPS細胞を用いた病理の解明など様々な研究があることに対して興味が深まりました。この貴重な経験を、これからの学習に活かしていきたいと思います。 また、大阪医科大学のオープンスクールでは、聴診や縫合の体験をすることができたり、学生さんと直接お話することができたり、普段はなかなか入れされてもらえない手術室の中に入れて頂いたりと、大学での生活の様子がより具体的に感じることができました。 |