1. | 実施目的 | 大学の講義を体験し、研究や専門分野の講義を聴くことによって、自然科学の面白さだけでなく、奥深さを体験し、今後の日々の学習に活かすことを目的とする。 (前年度は、東邦大学 の 齋藤 良太 先生より「光る分子と先端技術」というテーマで講義を受けました。本校では、有機化学を高等部2学年の後期より履修する予定になっています。そこで、これから学習をする有機化学に関する興味関心を深めるために、今年度はルミノールを合成することを目的とする。) |
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2. | 実施講師 | 千葉科学大学 薬学部 助教 川島 裕也 |
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3. | 実施日程 | 平成29年7月24日(月曜日) |
@ 1校時目 〜 2校時目 : 8:50 〜 10:40 | |
A 3校時目 〜 4校時目 : 10:50 〜 12:40 |
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4. | 参加生徒 | @ 高等部2年1組(医科コース) 24名 | ||
A 高等部2年2組(医科コース) 23名 |
川島先生より今回行うルミノールの合成に関する簡単な説明を受けている様子です。千葉科学大学での学生実験では3-ニトロフタル酸から2段階の反応を行っているそうです。 | ルミノールの前駆体であるニトロ化合物を亜ジチオン酸ナトリウム(Na2S2O4)で還元することによって、ルミノールを合成しました。ニトロ化合物(3-ニトロフタル酸ヒドラジド)の質量を測定して試験管に入れていきます。 | 川島先生は本校での出張講義が始めてだったので、わざわざ大学の研究室から電子天秤を持ってきて頂きました。そして、電子天秤の使い方だけでなく、置き方や校正の仕方など詳しく教えて頂きました。 | ||
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ピペッターの使い方など基本的なガラス器具の使い方も教えて頂きました。また、そのような実験操作がなぜ必要なのか、その理由も丁寧に教えて下さいました。 | 先生から教わった正しい実験操作を試すために、10%水酸化ナトリウム水溶液を用いて試験管に入れました。1年生の時の化学実験を思い出しながら行いました。 | ドライヤー(本来はヒートガンを使用しますが、今回は安全を考慮してドライヤーを使用しました。)を用いて加熱すると溶液の色が変化してきました。 | ||
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本校の生徒実験のために安全を考慮してドライヤーを用いました。そのため加熱温度が上がらず、みんなで手分けして行いました。その分加熱時間を多めに行いました。 | 化学室の電源を考慮して、いろいろな場所で加熱操作を行いました。時々、ブレーカーが落ちてしまうアクシデントもありました。 | 酢酸を加えることで粗製ルミノールが生成しました。まだ有機化学を学習していないので、反応機構が分らず苦心をしましたが、現象が明確なので面白かったようです。 | ||
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粗製ルミノールを分離するために、吸引ろ過を行いました。本校でも「ろ過」に関する実験を幾つか行っていますが、アスピレーターを用いたろ過は今回が初めてです。 | 先生の丁寧な指導を仰ぎながら、実験が進んでいきました。ブフナー漏斗(ヌッテェ)の使い方など教えて頂きました。 | 一度、何が起きていたのか理解するために先生から指導を仰ぎました。 (未だ有機化学を学んでいないので、ニトロベンゼンの還元より、アニリンができることを知らないので大変でした。) |
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合成した粗製ルミノールを用いて発光させる準備をしました。ろ紙の上に残渣として分離された粗製ルミノールを取り分けることをしました。 (本来は、この時点で質量を測定することで収率を求めるそうです。) |
再び10%水酸化ナトリウム水溶液に粗製ルミノールを溶かしました。 | 触媒に3%ヘキサシアノ鉄(V)カリウム水溶液を取り分けました。 | ||
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肝臓を磨り潰したものも用意しました。ルミノールの発光現象は微量の血痕でも検出することできるのは刑事ドラマなどで知っています。その確認になります。 | いろいろな触媒にルミノールを加えると美しい発光現象が観察されました。 |
鉄(V)イオンは触媒なのでルミノールを加えると再び発光しました。美しい青白い発光が見られる度に歓声が沸きました。 |
3-ニトロフタル酸 → 3-ニトロフタル酸ヒドラジド → 3-アミノフタル酸ヒドラジド(ルミノール)Luminol
合成したルミノール水溶液を3%ヘキサシアノ鉄(V)カリウム水溶に加えたところの様子です。
● | 非常に丁寧に実験操作を教えて下さったので、安心して実験をすることができました。耳慣れない化学物質や初めて見る化学反応式だったけれど、反応に伴って色が変わったり、最後は綺麗な化学発光が観察されたりして非常に興味を持つことができました。 |
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● | 昨年行った東邦大学の先生の講義にあったルミノールを合成することができました。高等部の化学実験では使わなかった吸引ろ過器(ヌッチェ)を実際に使うことができました。高等部1年生の時は、「四つ折り」と「ヒダ折り」の2つの手法を教わっていましたが、「ろ過」という簡単な分離操作でもいろいろな新しい操作法があることを知ることができました。 |
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● | 実験の最後に、川島先生からすべての反応機構が未だに解明されていないことを教えて頂きました。触媒だと思われている鉄(V)イオンに関しても複雑な素反応が絡み合っており、化学発光をしなくなったり、再び化学発光が観察されたりしました。基礎研究の分野ではいろいろと未知な部分が残されていることを知りました。 |
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● | 今回の化学発行では一瞬にして青白く光り輝き、光っているのは数秒で発光が止まりました。しかし、お祭りなどの時の腕輪などのルミノール発光は数時間継続している商品もあります。どうして反応速度を制御しているのか不思議に思いました。また、商品では赤色や黄色など多くの色がありますが、今回はすべて同じ青白い発光だけでした。このような違いも何故だろうと疑問に思いました。 |