湾岸生物教育センター(館山臨海実験所)の前で記念撮影
【男子と引率した中等部1学年の学年部長 貝森先生】
目 的 | : | 21世紀における科学技術人材育成の中で、我々人類も含め、生命の本質を理解するためには、様々な生き物の生態について正しく理解することが大切です。今回、海辺の実際の生命現象を様々な視点から実験・観察することを通して、生命の本質についての探求心を養うことを目的に「海辺の生物体験」を実施することになりました。このプログラムは、お茶の水女子大学と提携したもので、主に磯の生物の採取と観察をして、採取された生物の種の同定を行います。 |
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場 所 | : | お茶の水女子大学 湾岸生物教育センター(館山臨海実験所) 〒294-0301 千葉県館山市香11 |
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日 程 | : | 平成29年6月17日(土曜日) 〜 18日(日曜日) |
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参加生徒 | : | 19名 1組医科ジュニアコース 18名 6組難関大コース 1名 ※ 20名募集でしたが、1名は怪我のため不参加となりました。 |
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引率教諭 | : | 中等部1学年学年部長 医 科 コ ー ス 長 |
貝森 大輔 兼 龍盛 |
沖ノ島で磯の生物採取を終えた後
8:30 | 学校集合 (華美にならず、実験のしやすい服装) | |
9:00 | 学校出発 (バス中型27人乗り) | |
11:45 | 現地到着予定 | |
12:00 | 昼食 | |
12:30 | 開講式 及び 実験ガイダンス | |
14:00 | 磯の生物採取 沖ノ島 | |
16:00 | 磯採集してきた生物の同定@ | |
18:00 | 夕食 | |
19:00 | 講義 細胞の分裂 (基幹研究院自然科学系 准教授 清本正人 先生) ウミホタルの採取 ← 先生のご厚意によって予定の講義内容を変更致しました |
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22:00 | 入浴・就寝 |
8:00 | 朝食 | |
9:00 | 磯採集してきた生物の同定A スケッチ | |
11:30 | 閉講式 | |
12:00 | 昼食 | |
12:30 | 現地出発(バス中型27人乗り) | |
16:15 | 学校到着 |
今回は清本先生の他に研究所の先生方が2名指導にあたって下さいました。動物プランクトンを専門にしている先生と、ヤドカリの寄生虫を専門にしている先生とのことでした。 | 清本先生が研究されている棘皮動物の幼生の飼育容器がたくさんありました。研究所には、普段見慣れないものがたくさんありました | 磯で採取されるであろう動物を研究所で予め準備して下さいました。今回の干潮時間は15時41分でした。 | ||
「カニ」や「カイ」などは見たことがありますが、よく観察してみるといろいろな違いがあることに気づきました。 | 「サザエ」にも特徴的な角が大きくあるものや、角が小さいものなどありました。個体差なのか種による違いなのか難しいことが分かってきました。 | 生物の形態をどのように見ていけば良いのか、いろいろと指導して下さいました。 | ||
後に見えるのが「沖ノ島」です。清本先生(麦藁帽子をかぶって、黄色いリュックを背負った右側の方)から諸注意を受けました。 | 完全に潮が引いていない状況でも、海の生物が見つけることができました。マリンシューズを準備してきたので安全に観察がされました。 | はじめは魚類やカニなど動きのある生物に目が行くのですが、石の裏側や海藻の奥など今まで配慮しなかったところに目が行くようになりました。 | ||
道なき道のような険しい場所を乗り越えて行くこともありました。ちょっとした冒険気分も体験できました。 | 大型の動物を採取できた生徒も現れました。安全のため軍手を使用していますが、女の子でも手で触ることができました。 | 小さなカイの種類の分布の違いから潮の動きを考察することも教えて頂きました。 | ||
採取してきた生物は青いバケツやプラスチック容器に入れてきました。研究所では白いバットに移してよく観察しました。 | ヤドカリなどの甲殻類だけでなくウニやナマコなどの棘皮動物などいろいろな種類の動物を採取することができました。 | 一見すると同じ種類の生物なのですが、脚の数や形など差が少しずつ分かってきました。 | ||
研究所の図鑑を用いて採取してきた動物を同定しました。この作業が本当に難しく大変でした。 | 分からないことがあれば研究所の先生に訪ねますが、すぐには答えを教えてくれません。試行錯誤しながら考えていきました。 | なかなか種の同定まで辿り着かなくても、その根気強く調べる過程が重要だと考えています。生徒たちは飽きることなく頑張りました。 | ||
夕食後はウミホタルの採取に出かけることになりました。採取するための容器を準備しました。 | ウミホタルの行動など教えて頂きました。ウミホタルが食べているものや、光に対して逃げていくような習性も教えて頂きました。 | 学年部長の貝森先生もウミホタルを採取する容器を準備しました。 | ||
今回もウミホタルはたくさん採取することができました。容器の壁を叩くなど刺激を与えると美しく青白い光を放っていました。 | 研究所に戻って、顕微鏡を用いてウミホタルを観察しました。透明な二枚貝のなかにいろいろな生物の構造を見ることができました。 | 図録や教科書のイラストではなく、実際に自分たちで捕獲してきたウミホタルを用いていろいろなことを教えて頂きました。 |
ウミホタルの発光現象を清本先生の双眼実体顕微鏡を用いて観察している様子です。 | たくさんのウミホタルを容器に入れて、電気による刺激を与えて発光現象を観察している様子です。 |
様々な海の生物を並べて下さりました。カニやサカナだけでなく今まで気づかなかった生物に関しても知ることができました。 | 今まで見たことがないような不思議な形をした生物がたくさんいましたが、実際に館山の海で採取されたものばかりでした。 | 研究所の図鑑を貸して頂いて、自分たちで生物の同定をしました。スケッチをすることで今まで気づかなかった細部まで観察しました。 | ||
動物の分類の階級や系統樹を学びました。特に、節足動物に関しては脚の数に付いて着目することなど学びました。 | ヒトデやウニの仲間に関しては清本先生のご専門です。怖がることなく触ることのできるようになりました。 | お茶の水女子大学理学部生物学科3年生の学生2名がTeaching Assistantとして来て下さいました。 | ||
色鉛筆を使用して、美しくイラストを書き上げる生徒もいました。気が付いたところや図鑑でのコメントを横に書く工夫などしていました。 | 細かなところまでしっかりと書き上げたイラストの一部です。デジタル写真では学べない重要なことを知ることができました。 | カニにはいろいろな種類がいて、同定することが非常に難しかったようです。しかし、果敢にも図録と格闘している生徒もいました。。 | ||
今回も自分たちで使用した実験室の清掃をしっかりとやらせて頂きました。 | みんなで担当してホウキでゴミを掃き取り、濡れモップで海水の塩など取り、乾いたモップで仕上げました。 | 食事の配膳に関しては、すべて生徒たちで行いました。男子も女子も全員が準備を行いました。最後のお昼の様子です |
● | はじめはカニや小魚ばかりに目がいっていたけれども、先生のお話を聞いてから磯に行ってみると、今まで気が付かなかった不思議な生物がたくさん住んでいることが分かりました。図鑑で調べるのは難しかったけれども、イラストを書くことも面白かったです。 |
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● | 夜のウミホタルの採取が一番印象に残りました。海底から容器を引き上げる時に壁に当るとウミホタルが青白く光りました。研究所では清本先生が電気の刺激を与えると、一斉に青白く光りました。小さな生物に興味を持つことができました。 |
今回は中等部1年生を対象に磯の生物を採取し、その生物の同定を研究所の図鑑をお借りして行いました。科学は「同定する」作業が、実は非常に難しいということを知って欲しいと考えています。また、近年はいろいろなものがデジタル化されていく傾向が強いと思います。しかし、それは一見すると良い面もあるのですが、逆に、良くない面もあります。人間は外部刺激の情報の多くを視覚に頼っています。従って、「見る」という作業を軽視していることがあります。例えば、セブンイレブンのロゴマークはよく見ていると思います。しかし、1文字だけ小文字になっていることに気づいている人は少ないと思います。しかし、一度でも正しく観察をしてスケッチすることで、そこに気づく事があります。今回は、清本先生にお願いして手書きによるスケッチの重要性を生徒に気づいて欲しかったのです。2日目の実習では、どの生徒も一生懸命に生物の形態を見て、図録と比較することで同定していきました。しかし、そのような作業をしても「分からない」ことがたくさん出てきます。今の生徒はすぐに答えを短絡的に知りたがりますが、科学では「分からない」事の方が多いと思います。「分からない」ことが多いので、それを解決するためにも大学で学びを継続すれば良いと考えています。医師である前に、一人の科学者としての視点を正しく持って欲しいと願っています。今回の生物体験では、そのような意味で生徒たちに良い経験をさせてあげられたかと思います。
医科コース長 兼 龍盛(化学担当)
本校は「平成29年度私学版未来の科学者育成プロジェクト推進事業」に茨城県より採択されました。
本校の具体的な実践項目は、次の4点を柱としています。
@ 学校設定科目「メディカルサイエンス」の新設
A 理数融合講座・実験講座
B 江戸川学園取手小学校のアフタースクールの指導
C 医科講話・医療教養講座・一日医師体験による医師としての自覚作り
今回は、上記の A に関しての項目となります。