理数融合講座

高等部1年・2年対象

ブタの目の解剖

 1.実施の目的  本校は何よりも日々の授業を大切にしております。その上で、授業の質を向上させるためにも自主的な授業研究を行い、数学や理科として取り組むべき方向性と生徒の可能性を探るべく、土曜日授業の午後を活用して実験課外授業を実施致します。普段の授業から一段高いレベルの深い学びや主体的で対話的な実験授業を実施し、授業研究を積み重ねていくことで、本校の理数教育の更なる充実を図ることを目的としています。
 学習意欲のある生徒達に学ばせ体験させていくことで、今後の本校における理数教育の向上が図れるものと思っております。そして、何よりも生徒達の知的好奇心を刺激し、自主的に学ぶ意欲の向上を図ることで、今後の学習に向けての強い動機付けになると考えております。

 2.実 施 日  平成29年4月22日(土曜日)土曜日授業A 13:30 〜 15:00

 3.担当教師  理科教諭(生物担当)熊井 優

 4.実施場所  自然科学棟(生物学実験室)

 5.募集定員  40名(希望者)
 高等部1年生(高等部40期生) → 20名
 高等部2年生(高等部39期生) → 20名

 6.実験内容  ブタの目の観察(ブタの眼球の解剖)

今回の講座は非常に人気がありました。募集定員の2倍を超える生徒の参加希望がありましたので、抽選によって生徒を決定致しました。

実験風景

         
 本講座を担当する熊井先生は、解剖を行う前に様々な諸注意をパワーポイントで説明しました。「いのち」への尊厳などしっかりと行いました。    解剖実習における心構えや、本講座の目的を明確に話した後、ブタの眼球が一人1個ずつ配布されました。    眼球の周囲にある筋肉や脂肪の様子など観察した後、視神経以外を取り外していきました。
         
         
 眼球の周りは薄い膜で覆われていました。コンタクトが目の裏側には行かない理由が解剖することによって理解できました。    脈絡膜をめくると黒い膜でした。この黒色の成分はメラニン色素だということを知りました。視神経の束は非常に強靱で切断することが難しかったです。    ガラス体は冷たく、ドロッっとしていて卵白のようでした。虹彩の様子も観察しました。中に無色透明で弾力のある水晶体がありました。
         
         
  水晶体(レンズ)を取り出して、新聞の上に置くと文字が拡大されることが分かりました。水晶体の機能を理解することができました。    生徒の実験ノートの一部です。細かなイラストとそれぞれ気が付いたことがメモとして書き残されています。    本講座を担当した熊井先生より、全体に片付けや考察に関する指導がありました。

生徒の感想

 ●  目の構造は理科の授業で習っていましたが、実際に自分の目で見ると図録などでは充分に分からなかったことを色々と実感することができ、とても良い経験になりました。最初にブタの目を見た時は、とても衝撃的でしたが、だんだん慣れていって目の周りの肉を切るのもとても楽しかったです。
 また、目の錯覚を使った実験ではとても不思議な体験をして人間の目はこんなにも騙されてしまうんだと実感することができました。
 とても楽しい経験ができたので、また是非参加したいと思いました。

 ●  ブタの目の解剖に参加して、眼の作りなどを知ることができました。部位によって硬さが異なり、ピンセットを通しての感覚の違いがとても楽しかったです。また、神経がどの位置にくっついているのかなど実際に見ることができて、とても良い経験になりました。私は物理選択なのですが、これからもこのような機会があったら積極的に参加したいと思いました。

 ●  私は今回初めてブタの目の解剖をしました。実際にブタの目を解剖する前は、ブタの眼は柔らかいのだろうと思っていましたが、いざ解剖実習をしてみると意外にも硬くて、ハサミを入れるのがとても大変でした。水晶体やガラス体はとても綺麗で感動しました。私は生物選択でなく、物理選択なので大学に入るまでにあまりこのような実験をする機会は多くないと思うので、とても貴重な経験ができて良かったです。他の生き物の眼の解剖にもチャレンジしてみたいです。

 ●  実験をする前までは、ブタの眼と聞いて扱うのに戸惑うかも知れないと思いましたが、先生の丁寧な指導の後、実際に作業し観察してみると教科書などでイラストや図でしか見たことのない部分が細かく見ることができ、とても楽しい時間でした。一つ一つの行程が進む程、新しい発見ができ眼だけでなく他の臓器も見てみたいと思いました。
 また、ブタの眼を切り開き水晶体を自分の目を通して見た時、生きていたこの眼の持ち主(ブタ)と同じ目線になったような気がしました。この経験から、人間の科学(医療)の発展は数えられない程の貴重な命の数がその背景にあったものだと感じることができました。



本校は「平成29年度私学版未来の科学者育成プロジェクト推進事業」に茨城県より採択されました。
本校の具体的な実践項目は、次の4点を柱としています。

 @ 学校設定科目「メディカルサイエンス」の新設
 A 理数融合講座・実験講座
 B 江戸川学園取手小学校のアフタースクールへの指導
 C 医科講話・医療教養講座・一日医師体験による医師としての自覚作り

今回は、上記の A に関しての項目となります。