高校1年医科コース  ウニ飼育実験 No.3

 平成29年2月6日・8日・10日 昼休み・放課後
 
【実験の内容】

1.自分に割り当てられているチューブ内の胚の成長記録を取る
2.給餌(月・水・金)、水の取り換え(金)の実施

1.チューブ内の胚の成長記録
 チューブ内の飼育には、思いのほか苦戦を強いられている生徒がおり、観察のためにシャーレに出してみたところ胚が見つからないということから、3Lビーカー飼育のものを足して再挑戦する生徒が10数名出てきました。

 上手に飼育が出来なかった生徒には、「なぜ自分のチューブ内の胚は、死んでしまったのだろうか?」と考えてもらえるよう声掛けをしています。これが、生徒にとっては考察力を養い、今後への改善点を考える力になるはずだからです。
温度管理をしっかりとしていたにも関わらず死んでしまったという生徒も中にはいますが、あまり気に留めずにいたという生徒もおり、成功している生徒と情報交換してもらうなど今回の実験を元に、生徒同士で考える場も一部では出来てきました。
 ・温度管理(15〜19℃)に近い形を実現できているか?
 ・チューブ内に幼生を入れ過ぎていないか?
 ・海水をきちんと上まで入れることが出来ていたか?
 ・チューブを振り回していなかったか?(振とうと称して振り回したほうが良いと勘違いしている生徒もいました)
などの注意点などを思い出しながら、どうしてこういったことに気を付ける必要があるのか、考えられると更に考察に厚みが増します。
 特に生き物相手の実験では、成功することだけを目標とするのではなく、失敗を真摯に受け止め、「なぜ失敗してしまったのか」を考えることが大切であることを体験する機会になっています。

生徒52名の発生進捗(2/10現在)
 胚の名称 1/30   2/1  2/3  2/6  2/8  2/10  合計
 プルテウス幼生  42人(82%) 9人(18%)   0人(0%)   0人(0%)   0人(0%)   0人(0%)  51人(100%) 
 4腕幼生   0人(0%)  26人(51%)  18人(35%)  2人(4%)   0人(0%)   0人(0%)   46人(90%)
 6腕幼生   0人(0%)  0人(0%)  0人(0%)  3人(6%)   6人(12%)   0人(0%)   9人(18%)

前回参加できていなかった生徒も3Lビーカー内の6腕幼生から再スタートをしたため、プルテウス幼生、4腕幼生は51名、6腕幼生からは52名での集計となります。

3Lビーカー内の発生進捗(2/10現在)

ビーカー1 館山の天然海水 + 恒温飼育(15〜20℃)
ビーカー2 館山の天然海水 + 室温飼育(温度変化大)
ビーカー3 人工海水 + 恒温飼育(15〜20℃)
ビーカー4 人工海水 + 室温飼育(温度変化大)

     
ビーカー1(天然海水・恒温)
2/8(水)時点できれいな6腕幼生が完成していました。8腕幼生に向けて腕が出来始めていることも観察出来ました。
ビーカー2(天然海水・室温)
2/8(水)時点の観察では、恒温のものとあまり違いがないくらい成長が進んでいましたが、腕の伸びが少々遅れています。
ビーカー3(人工海水・恒温)
温度的にはビーカー1と同様ですが、腕の伸びが足りない6腕初期のものが観察されました。
ビーカー4(人工海水・室温)
4腕幼生が観察されました。6腕幼生のかなり初期のものも一部見られました。

 2/10時点での観察では、多くの生徒がビーカー1と似た形を観察し、8腕幼生と見間違える場面もありました。
目標である8腕幼生は、お茶の水女子大学の清本先生のご協力により次週の14日(火)に配送頂けることになっているため、全員15日に観察し、しっかりと目標を知っておくことを話しています。

2.給餌(月・水・金)、水の取り換え(金)の実施

 1日(水)に受精実験した受精卵の1サンプルでうっかり3日(金)の給餌を忘れてしまったものがあり、6日の観察時には餓死していました。(下の写真参照)
最初から全く餌を与えず5日間放置の状態に、すっかり様子が変わってしまっていました。
これは生徒にとっても衝撃的だったようで、給餌の大切さをわかってくれるきっかけになりました。


 生徒の作業も手際が良くなってきており、昼休みには女子生徒中心、放課後には男子生徒を中心に顕微鏡観察、水が汚れていれば取り替えるなどの作業をスムーズに行えるようになりました。

観察での様子と胚の変化

       
 顕微鏡観察しながら、その場でしっかりとスケッチを行う様子。    昼休みの慌ただしい中も、顕微鏡を出してしっかりと観察し、スケッチや写真に収める生徒達。    取った胚の写真を、兼先生、甲田先生にも見ていただく生徒。
       
 いつも一番乗りをして昼休みのほとんどの時間を観察に当てています。成長の様子にも関心が強く、岡崎先生にも確認してもらいながら、胚の数調整も行いました。    昼休み、部活動の前に水替えと給餌をやりにきました。    やはり昼休みの部活動前に、観察にきました。「何事にも手を抜くことは嫌です」という彼女の言葉はとても印象的でした。
       
 すっかり成長記録を取ることに夢中になっている一人です。混む前にやってきて、しっかりと観察、お世話をいつも頑張っています。    1/26の時から協力してくれている高2のK君の胚です。ウニ原基も少し出来始めており、今回の参加者の中で一番成長が早い胚です。    
※ カメラの日時設定ミスにより、写真中の日時設定があっておりません。