高等部1年医科コース対象 ウニ発生・飼育実験

 平成29年1月28日(土曜日) 河合塾記述模試後のPM15:30〜16:45
 高等部1学年医科コース(高等部39期生)を対象に
課外実験 を行いました。

【課外実験の目的】

 本校の理科として取り組むべき方向性と生徒たちの可能性を探るべく、放課後などの時間を活用して実験課外授業を行います。普段の授業から一段高いレベルの実験授業を実践し、本校の理科教育の更なる充実を図ります。本テーマは、お茶の水女子大学 海洋教育促進プログラム(日本財団助成事業)により、清本准教授のご指導を受けることにより高度な実験・実習を行い、知的欲求を刺激し発展的な思考、高度な技術を習得することが目的です。
 なお、この課外実験は1日限りの内容ではなく継続して1か月半の飼育を続けるなかで、変化の観察を実験ノートに記録、実験レポートを作成することにより、授業の中では体験できない疑問、調査などを進めて、理解を深め、考察力を高めることも目的としています。

今回は、1組(医科コース)の 26名 と 2組(医科コース)の 25名 、11組(高入生)の 希望者1名が本実験に参加しました。

【担当教師 実施場所 講座内容】

 科 目  担当教師名    講座使用教室  講座内容
 生物  岡崎 恵子
 渡邉 亮
   生物実験室  ウニの発生・ポケット飼育実験


【実験の様子】


 当日は、時間の無い中を慌ただしく実験を行っていたため、写真が撮れませんでした。
実験の2日前(1月26日(木))の予備実験の様子と、1月30日(月)、2月1日(水)に給餌・観察を行うために、昼休みや放課後を活用して実験の継続作業を行いました。その時の様子をご覧ください。

         
 高等部2学年東大クラスの有志により、卵No.3サンプルの受精の様子に異常がないかどうかの確認をしました。    30日、自分のチューブの胚の様子を確認しました。プルテウス幼生までになっている姿のスケッチなど頑張りました。    2月1日に給餌の前に、4腕初期になっているかどうかを観察し、現状のスケッチを行いました。
         
         
 1日の昼休みには50名近くが来て、時間を上手に使いながら、観察と給餌を行いました。   時間がない中も白衣を着用し、誰よりも頑張る様子が目を惹く高入生生徒。    観察の質問に対応する、岡崎先生。

実験結果データから

1.卵の状態について

予備実験においては、卵の希釈率、精子の希釈率などは、あまりこだわらずに行った。
本実験では、卵サンプルは、海水150mLに対して、卵溶液4mLを希釈したもの、精子は10倍希釈したもので行った。

 実施日  卵No.  生存率  受精膜が上がる
までの時間
 受精率  2日後の様子又は受精の様子からの判断
 1/26  No.3  70%  1分〜2分の間  100%  プルテウス幼生にまで発生するものもあったが、胞胚の状態で止まっているものなど、
個体差を生じていた。状態の安定が図れなかったことは、本実験への考察内容として
大きな意味を持った。
 1/26  No.4  100%  1分〜2分の間  100%  ほとんど発生が進んでいなかった。海水の状態がよくなかったことも考えられ、本実験
への考察内容として大きな意味を持った。
 1/26  No.8  100%  1分〜2分の間  80%  受精膜観察の時から、不安定さを生じていたこともあるが、ほとんど発生が進んでいなかった。
卵のコンディションの悪さを考慮し、本実験では使用しない方向の判断材料となった。
 1/28  No.3  99.2%  2分11秒  86.7%  卵の状態は、それほど悪くないとの判断を渡邉教諭からもらっていたが、受精膜の上がるまでの
時間がかかり過ぎていることから、受精膜実験のサンプルとしての使用にはあまり適さないと考え
生徒実験には、サンプルNo.4のみを使う判断材料となった。
2日後の状態については、温度管理などをしっかりと行っていたため、ほぼ全てがプルテウス幼生まで発生していた。
 1/28  No.4  94.3%  1分25秒  88.7%  卵の崩壊は、No.3よりも見られたが受精に対する安定性が見られたため、生徒実験のサンプルとしてこちらを採用した。
2日後の状態については、シャーレによる受精を行った11班のうち1班はプリズム幼生、1班がプルテウス幼生まで発生していた。
ただし、シャーレの中には発生途中に崩壊したと思われる残骸も見られた。
 1/28  No.8  84.4%  測定不能  0%  受精により卵が崩壊したため、不適当と判断し使用しなかった。
残りサンプルを他のサンプル同様に好条件で受精後2日間様子を見たが、やはり発生の様子は見られなかった。

1/26は、高2有志によるデータ。2日後の測定まで室温管理せず、シャーレにラップによる保護もない状態。
1/28は、渡邉先生によるデータ。2日後の測定まで室温を20℃に安定させ、シャーレにはラップによる保護を行った状態。
2日後の測定までの管理に差を生じさせたのは、予備実験の結果を受けて卵の様子も良くなかったことから、発生を少しでも良いものになるよう工夫を行った結果。


2.胚の変化

         
 予備実験の胚。胞胚として動く様子も観察された。    予備実験の胚。No3の中でプルテウス幼生にまで発生が進んでいたもの。    当日のAM10:10に岡崎先生により、No.4の発生途中サンプルとして作成されたものを14:30に撮影。
※ カメラの日時設定ミスにより、写真中の日時設定があっておりません。