ウニ発生・飼育実験 実施

 平成30年1月27日(土曜日) PM13:00〜15:30
 中学3年生〜高校2年生希望者を対象に
実験 を行いました。

【実験の目的】

 昨年同様、本校の理科として取り組むべき方向性と生徒たちの可能性を探るべく、昼休みなどの時間を活用して実験を行います。普段の授業では取り上げられなかった実験授業を実践し、本校の理科教育の更なる充実を図ります。本テーマは、お茶の水女子大学 海洋教育促進プログラム(日本財団助成事業)により、清本准教授のご指導を受けることにより高度な実験・実習を行い、知的欲求を刺激し発展的な思考、高度な技術を習得することが目的です。
 なお、この課外実験は1日限りの内容ではなく継続して1か月半の飼育を続けるなかで、変化の観察を実験ノートに記録、実験レポートを作成することにより、授業の中では体験できない疑問、調査などを進めて、理解を深め、考察力を高めることも目的としています。

今回は、中学3年生 8名、高校1年生 5名、高校2年生 3名の計 16名で実施をしております。

【担当教師 実施場所 講座内容】

  科 目   担当教師名     講座使用教室   講座内容
  生物   岡崎 恵子     生物実験室   ウニの発生・ポケット飼育実験


【実験の様子】


 2日前の25日(木)に、3匹のメスウニからのサンプル(No.1、No.4、No.7)の状態を確認したところ、No.4の卵の15%程度が破損しており、27日の実験に向かない状態であることが確認できたため、No.4の卵を全て14:55に受精。
27日(土)9:10に、残りサンプル(NO.1、No.7)の卵の状態を確認した上、一部を受精。
この2種類については、発生途中を観察するサンプルとして、実験中に生徒に確認してもらいました。
また、12月23日・24日に実施された、お茶の水女子大学での教員研修の折に頂いた、アカウニサンプル(プルテウス幼生)のうちの1匹が変態成功し、稚ウニのサンプルとしてこれも観察をしてもらった。

         
 実験初日、初めて顔を合わせるメンバーもすぐに打ち解けて協力していました。    受精の瞬間を見ようと一生懸命、顕微鏡をのぞいている高1女子の参加メンバー。
奥の中学3年女子は、他の生物実験も行っているためかとても勘が良くテキパキと進めていました。
   受精膜が上がっている様子。
よくよく見ると、受精膜の周辺に精子が多数群がっている様子も観察出来ました。
         
         
 お茶の水女子大学さんから12月23日・24日の教員集会の折に分けていただいたアカウニのプルテウス幼生から変態した稚ウニ。(26日に変態)   2日前(25日)に受精させていた卵。
月曜日には、この状態位が観察できる目安として全員観察をしました。
   

実験結果データから

1.卵の状態について

本実験において卵の希釈率、精子の希釈率などは、あまりこだわらずに行った。

 実施日  卵No.  生存率  受精膜が上がる
までの時間
 受精率  2日後の様子又は受精の様子からの判断
 1/25  No.1  100%      受精実験は行わず(時間の都合により出来ず)
 1/25  No.4  85%  1分〜2分の間  ほぼ
100%
 原腸胚またはプリズム幼生まで成長
 1/25  No.7  100%      受精実験は行わず(時間の都合により出来ず)
 1/27  No.1  100%  1分〜2分の間  ほぼ
100%
 卵の状態は、2日前とあまり変化なく良好。
生徒の実験の4時間前(9:10頃)に受精実験を行ってみたが、受精についても良好。
14時頃に(5時間後)様子を生徒が確認したところ、16細胞期〜32細胞期位の状態が観察出来た。
2日後の状態については、温度管理などをしっかりと行っていたため、ほぼ全てがプルテウス幼生まで発生していた。
 1/27  No.7  100%  1分〜2分の間  ほぼ
100%
 卵の状態は、2日前とあまり変化なく良好。
生徒の実験の4時間前(9:10頃)に受精実験を行ってみたが、受精についても良好。
14時頃に(5時間後)様子を生徒が確認したところ、16細胞期〜32細胞期位の状態が観察出来た。
2日後の状態については、温度管理などをしっかりと行っていたため、ほぼ全てがプルテウス幼生まで発生していた。

2日後の測定まで室温を20℃に安定させ、ビーカーなどにラップによる保護を行った状態。


2.胚の変化

         
 No.4のサンプルの4日後の状態。
完全なプルテウス幼生になっており、2日前に上げていた珪藻の餌も食していることが確認できた。(胃の色が褐色になっている)
   No.1、No.7のサンプル(先に受精させたもの)の2日後の状態。
無事にプルテウス幼生まで進んでいる。
まだ何も食していない為、胃の色が薄いことが確認できる。
   No.1、No.7のサンプルの2日後の状態。
まだプルテウス幼生には到達していなかった。
         
 NO1、NO7のサンプルを海水を溶く水をカルキ抜きした水道水で育てたもの。
原腸の形状などに異常が生じていた。
いくつか確認したが、似たような形状のものだった。
   今年度は、珪藻の培養にも挑戦中。
なかなか育たず苦戦中です。
   

昨年度と今年度の大きな違いとして使用する海水の違いがあります。
昨年度までは、発生に使用する海水は、館山の天然海水を使用していました。
今年度からは、大阪薬研株式会社のマリンアートSF-1(人工海水)をミネラルウォータに溶かし使用する形に変更となりました。
ミネラルウォータについては特に問わないとあったため、キリンのアルカリイオン水を使用して行うこととしています。
また、比較実験として学校の水道水のカルキ抜きした水にマリンアートSF-1を解いたものを使用した場合も行いました。

実験経過について、初回、第一週目には間に合わなかったものの、今後の観察を、iPad+ロイロノートにて観察記録をためていき、グループ内で情報の共有が出来るようにしていくことも検討中で、関係部署と話し合い中です。