高等部新2学年 課外実験教室

2015年3月24日(火曜日)と25日(水曜日)の2日間、理系を希望する生徒に対して1年生の時に学習した、「生物基礎」 と 「化学基礎」 の内容に関しての課外実験を行いました。

3月24日(火曜日) 12:40 〜 15:00

 教 科 実験場所  担当教師名  参加人数 
 生物基礎  自然科学棟 生物学実験室  渡邉 亮 20名 
 化学基礎  自然科学棟 化学実験室β  兼 龍盛 28名 

3月25日(水曜日) 12:40 〜 15:00

 教 科 実験場所  担当教師名  参加人数 
 生物基礎  自然科学棟 生物学実験室  渡邉 亮 24名 
 化学基礎  自然科学棟 化学実験室β  兼 龍盛 19名 

生物基礎の実験内容

1.カタラーゼ(catalase)とタカジアスターゼ(Taka-Diastase)の性質
 タカジアスターゼはデンプンを分解して糖に変える酵素、アミラーゼの一種です。今回は、タカジアスターゼを含んでいる胃腸薬(タカヂア錠-第一三共ヘルスケア)を使用しました。
 カタラーゼは、動物の肝臓(レバー)に含まれる酵素であり、過酸化水素水(オキシドール)を酸素と水に分解する働きを持っています。カタラーゼと同じような働きをするものとしては酸化マンガン(W)がありますが、今回はカタラーゼと酸化マンガン(W)の性質の違いを調べました。

  レバーや錠剤を乳鉢ですり潰したり、各種薬品を取りに行ったりと役割を分担して実験の準備をしている様子です。 

特にレバーは食卓にものぼる食材ですが、生の状態を見る機会は少ないので、生徒達はすり潰す操作にも目をきらめかせて取り組んでいました。

レバーは生臭いですが、それに耐え、いよいよ実験が始まります!!


   
 オブラートに油性ペンで絵を描いて、タカジアスターゼ(タカヂア錠)を溶かしたお湯に浮かべると…
デンプンが分解されて、水面に油性ペンで描いた絵だけが浮かびました。
 レバーを磨り潰したカタラーゼ溶液に、過酸化水素水を加えると激しく反応が起きました。(反応の激しさに驚きます!!
   
 有機物である酵素と、無機物である酸化マンガン(W)との比較なども行いました。  教科書や図録で有名な実験でも、実際に目の前で起こる現象だと感動も違います。
楽しそうに実験が進んでいきます。


 今回使用したレバーやオブラート、胃腸薬は近くのスーパーマーケットや薬局で簡単に購入できますし、過酸化水素水(オキシドール)は家庭の薬箱の中にあるでしょう。
 従って、今回の実験は生徒達が家庭でも出来る安全なものです。


化学基礎の実験内容

コンブの中に含まれる、ある元素(element)を取り出す。そして、定性分析(qualitative analysis)によって同定する。

1.分離(separation) と 精製(refining)
  @ ろ過(filtration)
  A 抽出(extraction)

2.酸化還元反応(redox reaction)

  事前に、実験の概要を説明している様子です。

Step1.コンブを焼く

Step2.お湯で抽出する

Step3.ろ過

Step4.酸化還元反応

Step5.ヘキサンで抽出する 

   
 Step1.として、コンブを焼いているところです。  Step4.として、酸化還元反応によって溶液を段階的に反応させているところです。
   
 定性分析を行っているところです。  実験操作の基本を学び、一つひとつの反応の仕組みを考えながら講義は展開されていきました。

37期生の後輩のために、今回の課外実験でも大学入試を突破した35期生の先輩方が助手として参加してくれました。

「生物基礎」の実験を終えての生徒の感想 (一部抜粋)

・食べ物を使った材料や簡単に手に入る薬品で生物学の実験ができたことに驚きました。また、生物によってそれぞれ反応に違いが現れることに驚きました。

・過酸化水素水を加えたときに、想像していた以上に激しく気体が発生し、液体が吹き出したことにびっくりしました。

・実際に生物を素材にした実験が初めてで面白かった。また、酵素(カタラーゼ)の最適温度や最適pHを自分たちで探ったことも興味深かった。

・酵素によって発生した気体の中に、火のついた線香を入れると、「ポッ!」っと音を立てて燃えたこと。今までの知識で理解していたけれども、実際に目で見て体験すると、印象としてより残りました。

・今回のレバー汁の生臭さを思い知りました。そして、酸素の発生の激しさから生命の力強さに感動した。


「化学基礎」の実験を終えての生徒の感想 (一部抜粋)

・たくさんの実験操作を行いながら、一つの物質の性質を明らかにしていく過程が面白かった。

・薬品を加えるごとに色々な反応が起きたこと。それぞれの段階で反応していく様子が既習の範囲で正しく理解できたことがよかった。

・色が変わったり、状態が変わったりしていく様子が目で見ながら確認することができて良かったです。兼先生の「ファイヤー!」が結構好きでした。

・ヨウ素-デンプン反応の呈色反応も、その詳細は現代の化学でもよく分かっていないことがあるという話が興味深かった。

・ヨウ素-デンプン反応も加熱することで一度青紫色が消え、冷やすと再び色が戻ったこと。小学生の頃からやったことのある有名な実験だったけれども、温度を変えるだけで今まで知らなかった現象が起きてとても不思議だった。

・コンブにヨウ素やカルシウムが多く含まれていることは家庭科で学んで知っていました。しかし、実際に、色の変化や分離、炎色反応によってその存在を確認することができて良かったです。

・東大の入試問題の傾向なども一緒に話をして下さって、また、実験をする上での注意点もわかりやすく解説して下さったので楽しかったです。

・なぜ、このような現象が起きるのか? まるで探偵になったように、自分なりに考えながら実験を進めた点が印象に残りました。色が次々に変化していく様子が面白かったです。


なお、同様の実験を4月11日(土曜日) 土曜日授業1回目の 午後 13:30〜16:00 に高等部2年生普通科理系クラスの生徒(各40名ずつ募集)で行う予定です。