アフタースクール 大学の有機化学実験

 1.  目 的  専門性が高い大学の教授から直接指導を仰ぐことで、幅広い教養と豊かな人間性、自ら考え解決するために必要な基本的知識や、建設的に行動できる態度と習慣を身に付ける。
 
 2.  実施日
(時間)
 2020年12月2日(木) 第6回目(全8回の実験を予定しています)
  前半 16時15分 〜 17時50分 (95分)
  後半 17時55分 〜 19時30分 (95分)

 3.  講 師  千葉科学大学 薬学部 薬学科 今井 信行 教授 このアフタースクールの大学側の統括責任者
 千葉科学大学 薬学部 薬学科 川島 裕也 助教(今井グループ)
 江戸川学園取手中・高等学校 医科コース長 兼 龍盛 このアフタースクールの高校側の企画・運営

 4.  会 場  江戸川学園取手中・高等学校 自然科学棟 化学室β

 5.  参加者  高等部2年生対象
  前半 受講者26名  参加者25名(欠席者:1名)
  後半 受講者29名  参加者27名(欠席者:2名)

 6.  実験内容  アセトアミノフェンの合成と濃縮および単離精製

 ★  本来は、千葉科学大学の学長と本校の学校長および関係者が集まって調印式典を行う予定でした。今年度は、新型コロナウイルス感染症予防の観点から、残念ながら式典は行いませんでした。

 ★  しかしながら、書面にて令和3年9月22日に千葉科学大学と江戸川学園取手中・高等学校は、教育提携に関する協定書に調印しました。

実験の予定 有機化学実験を体験@〜G(生徒の実験操作の技術や理解度を見極めて、実験内容を適宜変更していく予定です)

 回数  日付  担当講師  実験の題目(予定)  実験の内容(予定)  備考
 1
 10月14日

 今井 信行
 川島 裕也
 ルミノール反応  ルミノールを合成し、ルミノール反応で同定  極めて少量(mg単位)の試薬を用いる実験

 10月21日

野口 拓也  エステル化と加水分解  エステルの合成およびせっけんの合成  センター試験20,18,13年に類題が出題
 3
 10月28日

 野口 拓也  鎮痛剤と湿布薬  加水分解とエステル化の応用  センター試験18,14年に類題が出題
 4
 11月04日

 野口 拓也  電子レンジ@  実際の有機化学反応を体験@
アセトアミノフェンの合成とTLC
 センター試験19,15年に類題が出題
 5
 11月25日

 野口 拓也  電子レンジA  実際の有機化学反応を体験A
アセトアミノフェンの合成と分液による分離
 センター試験19,15年に類題が出題
 
 12月02日

 川島 裕也  電子レンジB  実際の有機化学反応を体験B
アセトアミノフェンの合成と濃縮および単離精製
 センター試験19,15年に類題が出題
 7
 01月13日

 川島 裕也  電子レンジC  実際の有機化学反応を体験C
アセトアミノフェンの合成と濃縮および単離精製
 センター試験19,15年に類題が出題
 8
 01月27日

 今井 信行
 川島 裕也
 メチルオレンジの合成  アニリンからジアゾニウム塩の調整とジアゾ化  センター試験19,15年に類題が出題

1回目の実習は、有機化学実験に向けて、生徒の心をキャッチするルミノール反応、2〜3回目はカルボン酸・エステル関連、4〜7回目は含窒素化合物関連を配置しました。薄層クロマトは4回目に原理を説明します。そして6回目まで反応を追跡、生成物の同定の用途で使用します。今回用意したテーマのほとんどはセンター試験にも出題されており、実験を行い、関連するセンター試験の問題を解説することも可能です。

 

川島先生の指導を聞く生徒の様子


研修風景

         
 今回から再び第1回目に来校して頂いた川島先生が実験講師になりました。板書の方も、意識をして頂いて英語を用いて下さいました。このアフタースクールを通して、様々な学問が絡み合っていることも知って欲しいと思います。唯一「化学」だけができてもだめで、数学、英語など関連した多くの学問を学ぶことを知って欲しいと思います。    前回まで指導をして頂いた野口先生に作成して頂いた実験ビデオを見ながら勉強をしているところです。今回のアフタースクールのために、事前の実験をして頂いています。様々な試薬の濃度や量など、生徒の実験技術に応じて最適な実験を開発して頂いております。そして、川島先生がアドバイスをして下さいました。    今回教えて頂いた「シリカゲルカラムクロマトグラフィー」です。非常に小さくマイクロスケールでの実験器具になっておりました。また、展開する試薬の量も少なく、微量な化合物でも分離できる工夫を事前にして頂きました。展開する溶媒やシリカゲルの長さなど色々な準備をして下さり、生徒の実験レベルでも明瞭な結果が出るようになっていました。
         
         
 野口先生が作成して下さった「シリカゲルカラムクロマトグラフィー」の実験操作は、スクリーンに繰り返し流されていまました。もし、実験操作が分からなかったときには前の画像を見れば、すぐに解決できるようになっていました。そして、各班の課題を新たに進めていくことが容易にできる工夫をして下さいました。    高校では KMnO や KCr など無機化合物で電子(e -)がある半反応式を学習しています。しかしながら、今回使用している有機化合物を用いて、酸化還元反応に関して講義をして下さいました。そして、基本的な考え方は、常に同じであることを意識して教えて頂きました。    今回も実験終了後に各班で実験結果の議論を行いました。実験結果と照らし合わせて、どのようなことがことが起きていたのか確認している様子です。各班の班員でそれぞれ考えていき、どうしても分からない場合は、川島先生が手助けをして下さいます。そして、新しい実験の課題を見つけるように導いて下さいました。


 

今回の実験のセット

 今回のアフタースクールの講座名は、「大学の有機化学実験」となっております。しかしながら、できるだけ特殊な器具を用いないように、今までの経験に基づいて今井先生が研究して下さった実験法で、より教育効果が高い実験となっております。今井先生の目標としては、「どの高校でもできる有機化学実験」であり、それに沿って実験開発を行って頂いております。従って、大学で行うような長時間の実験や特殊な実験器具は、今井先生のアイデアと技術によって改善されております。
 今回のアフタースクールでは、実際に実験技術が未熟な普通の高校生を対象に実施しています。
 そして、誰でも有機化学実験を楽しめる実験となっております。

 尚、本実験に関する詳細(使用した試薬や実験操作など)に関しては、このアフタースクールの大学側の統括責任者である 千葉科学大学 薬学部 薬学科 今井 信行 教授 にお尋ね下さい。

 

細かく実験の指導をしてくださる川島先生


感想

  前回の実験でTLC分析をした時に、操作方法を間違えてしまいましたが、今回は他の班よりも早く、且つ、性格に実験を行うことができたので良かったです。次回の実験もスムーズにできるように、班のみんなと協力し合っていきたいと思います。

【1組 女子 N.R.さん】

 ●   今日の実験を通して、目的の有機化合物ができているのかを調べることができることが分かりました。また、TLC分析を行う手順が一番最初にやったときよりも上手にできたので、今後も練習を積み重ねて素早く、正確にできるようにしていきたいと思います。今日の学校の授業でやった所が出てきていて、実験を通して理解することができたので、これからも色々と勉強していきたいです。
 
 【1組 男子 O.Y.くん】

 ●   今回の実験では、「最高効率を出すべき」だったけれども、それは分からなかったのがダメだったと思う。はじめてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行ったが、その実験の操作法は比較的簡単でやりやすかった。また、このシリカゲルカラムクロマトグラフィーは、今までのクロマトグラフィーを少し応用したものだと感じた。
   【1組 男子 S.K.くん】

 ●  綿をカラムに詰めるときに、強く詰めすぎず、でも、緩くし過ぎずという加減があまりよく分からなかった。しかし、実験の結果が上手くいって良かったです。TCL分析は、1枚の薄層に対して3つのスポットだったけれど、今回は5つのスポットで行いました。今までは実験の途中にドタバタすることが多かったけれども、今回はスムーズに実験を進めることができたと思う。次回からも、この調子で頑張っていきたい。
   【1組 女子 K.S.さん】

 ●  シリカゲルカラムクロマトグラフィーは初めて行った操作でしたが、しっかり理解した後に行えたので、今日の実験も学びが多かったです。TLCを学んだ際は、後から分離したけれど、確認するしかなく、「初めから分離ができないのかな?」と思っていた。そしたら、今回の実験でタイミング良く教えて頂き、解決することができました。また、今回の実験の結果がとても綺麗に出てよかった。
   【2組 女子 I.M.さん】

 ●  TLC分析は実験の操作が難しいと感じました。実験を失敗してしまったときに、なぜ失敗したのか、改善策を考えるのも面白いと思いました。次の実験では、操作を丁寧に行い、実験を成功させていきたいと思う。
  【2組 男子 T.S.くん】

事後アンケート


【項目】 @すごく長い Aやや長い Bちょうどよい Cやや短い Dすごく短い

T.実験の時間について
 事後アンケートを実施した結果、前半に参加した生徒(実験の時間16時15分〜17時50分 参加者25名)と、後半に参加した生徒(実験の時間17時55分〜19時30分 参加者27名)は、項目Bの「ちょうどよい」を選択している生徒が一番多く、第6回目のアフタースクールの実験の時間に問題がなかったと評価することができました。
 今回のアフタースクールは、本校においても初めての試みで、大学の先生方も試行錯誤をして頂いております。大学の学生実験の時間と比較しても、本校のアフタスクールは2校時連続(95分)にしましたが、非常に短いです。事前の様々な改善をして頂いている結果が、この結果になったのだと思います。


【項目】 @すごく難しい Aやや難しい Bちょうどよい Cやや易しい Dすごく易しい

U.実験の内容について
 事後アンケートを実施した結果、前半に参加した生徒(実験の時間16時15分〜17時50分 参加者25名)と、後半に参加した生徒(実験の時間17時55分〜19時30分 参加者27名)は、項目Bの「ちょうどよい」を選択している生徒が一番多く、第6回目のアフタースクールの実験の内容に問題がなかったと評価することができました。
 今回は「シリカゲルカラムクロマトグラフィー」を用いた新しい実験技術を、川島先生から教えて頂きました。しかしながら、前回の実験で継続的にTLC分析を野口先生から教えて頂いた基本があった結果だと思います。


【項目】 @すごく難しい Aやや難しい Bちょうどよい Cやや易しい Dすごく易しい

V.実験の操作について
 事後アンケートを実施した結果、前半に参加した生徒(実験の時間16時15分〜17時50分 参加者25名)と、後半に参加した生徒(実験の時間17時55分〜19時30分 参加者27名)は、項目Bの「ちょうどよい」を選択している生徒が一番多く、第6回目のアフタースクールの実験の操作に問題がなかったと評価することができました。
 初めての「シリカゲルカラムクロマトグラフィー」に関する実験操作でしたが、スモールスケールでの実験でした。そのため失敗を恐れず、繰り返し実験を行う班もありました。そのためこのような結果につながったのだと思います。