有機化学実験を体験�@〜�G（生徒の実験操作の技術や理解度を見極めて、実験内容を適宜変更していく予定です）

１回目の実習は、有機化学実験に向けて、生徒の心をキャッチするルミノール反応、２〜３回目はカルボン酸・エステル関連、４〜７回目は含窒素化合物関連を配置しました。薄層クロマトは４回目に原理を説明します。そして６回目まで反応を追跡、生成物の同定の用途で使用します。今回用意したテーマのほとんどはセンター試験にも出題されており、実験を行い、関連するセンター試験の問題を解説することも可能です。

今回は各班で実験のテーマを設定し、各自でその設定した課題に対する実験を、それぞれが行っていくように指示を出しました。還元を行う際の金属の種類、量、または、反応時間を変化させたり、アセチル化させるために酢酸を用いるべきなのか、無水酢酸を用いるべきなのか様々な反応において検討すべき点を教えて頂きました。		実験操作で分からなくなったらすぐに、野口先生が丁寧に指導をして下さいます。各実験の工程に関しては、今までのアフタースクールで学んできました。ここからは、それらを応用し、自分たちで試行錯誤しながら研究を進めていきます。それぞれの実験結果を持ち寄って、班で設定した課題を解決していきます。研究活動の一環を体験できるプログラムとなっています。		普段の高校の実験で行う量とは比較にならないほどの少量での実験となります。そのような意味でも低コストで環境負荷が低い実験だと思います。また、実験操作もニトロ基の還元やアセチル化など高校の有機化学では頻出の反応となっています。さらに、目的としているアセトアミノフェンは、解熱剤としても有名で大学入試問題でも多く出題されている化合物です。
それぞれの実験結果を持ち寄ってグループ討論が行われます。今まで分からなかったことが明らかとなってきて、仲間達と議論を行います。そして、新たな課題や仮説を立てていく作業となります。この段階になると野口先生から的確なヒントや、解決策など一緒に考えて下さいます。		ある班の結果の一部です。反応の条件を変える度にＴＬＣを用いて、その様子を記録していきます。この班は、金属の種類を変えて還元の違いを調べているようでした。イオン化傾向に関係がありそうだと考えていましたが、どうやら違ったみたいです。実験してみなければ、結果は分からない。だから、「化学」は楽しいっ！！		実験結果を見ながら議論を深めていると、野口先生も熱くなって指導をして下さいます。実験をしたときの記録と、それぞれが行った実験結果を照らし合わせて、一体何が起きているのか考察することが、今回のアフタースクールの目的です。

理解度試験

【確認小テスト】　〜 ペーパークロマトグラフィー　理解度試験 〜
今回も、元気で大きな声で野口先生より、挨拶を頂きました。生徒は元気に野口先生に挨拶を返してアフタースクールが始まりました。

野口先生手作りの立体周期表

理解度試験の結果

前半に参加した生徒 （実験の時間１６時１５分〜１７時５０分　参加者２６名）

後半に参加した生徒 （実験の時間１７時５５分〜１９時３０分　参加者２９名）

今回も「今井式ＴＢＬ」によって効果的な学習ができたことがわかった。班の平均点と議論後の得点を比較すると、多くの班で得点が良くなっていた。このことから、各自の知識が、班での議論を行い、深めあうことで、正しく定着していることがわかった。

今回の反応に関して

【5-1】p-ニトロフェノールの「金属」共存下における電子レンジを用いたアセトアミノフェンの合成　
　　　　〜 金属を用いた還元反応の開拓 〜

【5ｰ2】p-ニトロフェノールの「金属」共存下における電子レンジを用いたアセトアミノフェンの合成　
　　　　〜 還元・アセチル化の連続合成を目指して 〜

【5ｰ3】p-ニトロフェノールの「金属」共存下における電子レンジを用いたアセトアミノフェンの合成　
　　　　〜 プロトン源として塩酸を用いた場合 〜

 今回のアフタースクールの講座名は、「大学の有機化学実験」となっております。しかしながら、できるだけ特殊な器具を用いないように、今までの経験に基づいて今井先生が研究して下さった実験法で、より教育効果が高い実験となっております。今井先生の目標としては、「どの高校でもできる有機化学実験」であり、それに沿って実験開発を行って頂いております。従って、大学で行うような長時間の実験や特殊な実験器具は、今井先生のアイデアと技術によって改善されております。
 今回のアフタースクールでは、実際に実験技術が未熟な普通の高校生を対象に実施しています。
 そして、誰でも有機化学実験を楽しめる実験となっております。

 尚、本実験に関する詳細（使用した試薬や実験操作など）に関しては、このアフタースクールの大学側の統括責任者である 千葉科学大学 薬学部 薬学科 今井 信行 教授 にお尋ね下さい。

【項目】　�@すごく長い　�Aやや長い　�Bちょうどよい　�Cやや短い　�Dすごく短い

�T．実験の時間について
　事後アンケートを実施した結果、前半に参加した生徒（実験の時間１６時１５分〜１７時５０分　参加者２６名）と、後半に参加した生徒（実験の時間１７時５５分〜１９時３０分　参加者２９名）は、項目�Bの「ちょうどよい」を選択している生徒が一番多く、第５回目のアフタースクールの実験の時間に問題がなかったと評価することができました。
　一般にアセチル化は加熱に時間を要する実験の一つです。そのため大学の自然科学系の化学科および薬学科などの学生実験では取り扱っていますが、高校の有機化学実験では敬遠される傾向のある実験であり、多くの高校では授業数の確保という観点から、授業では取り扱われていないことが多いと考えています。今回は、今井先生が開発された電子レンジを利用した加熱を行うことで、約１分の加熱だけで実験を行うことができています。
　今回のアフタースクールの課題としては、目的物質を合成することが目的でなく、班で何を調べたいのか議論をした後、個人で課題を設定し各自が実験を行うことになりました。その反応時間短縮が顕著に教育的な効果として現れ、その結果が生徒アンケートにも出ていると考えています。

【項目】　�@すごく難しい　�Aやや難しい　�Bちょうどよい　�Cやや易しい　�Dすごく易しい

�U．実験の内容について
　事後アンケートを実施した結果、前半に参加した生徒（実験の時間１６時１５分〜１７時５０分　参加者２６名）と、後半に参加した生徒（実験の時間１７時５５分〜１９時３０分　参加者２９名）は、項目�Bの「ちょうどよい」を選択している生徒が一番多く、第５回目のアフタースクールの実験の内容に問題がなかったと評価することができました。
　前半に参加した生徒には項目�@の「すごく難しい」を選択した生徒が２名、項目�Aの「やや難しい」を選択した生徒が６名いました。そして、後半に参加下生徒には項目�@の「すごく難しい」を選択した生徒が１名、項目�Aを選択した生徒が１０名いました。さらに、項目�C「やや易しい」を選択した生徒が２名いました。これは大学で講義をされている野口先生が前半に参加した生徒の対応を見て、対応して下さった結果だと考えています。

【項目】　�@すごく難しい　�Aやや難しい　�Bちょうどよい　�Cやや易しい　�Dすごく易しい

�V．実験の操作について
　事後アンケートを実施した結果、前半に参加した生徒（実験の時間１６時１５分〜１７時５０分　参加者２６名）と、後半に参加した生徒（実験の時間１７時５５分〜１９時３０分　参加者２９名）は、項目�Bの「ちょうどよい」を選択している生徒が一番多く、第５回目のアフタースクールの実験の操作に問題がなかったと評価することができました。前回の第４回目の結果と比較しても、実験の操作に関する評価が良くなっていました。これは、野口先生が作成して頂いたペーパークロマトグラフィーを活用したＴＬＣの確認試験（今井式ＴＢＬ）を実験前に行ったことで、ＴＬＣの操作法やその理解が深まったためだと考えています。