筑波大学医学群との 高大連携プロジェクト

1. 目的 幅広い教養と豊かな人間性、医師としての責任感や高い倫理観を養い、自ら考え解決するために必要な基本的知識と、建設的に行動できる態度と習慣を身に付ける。

2. 実施者 筑波大学 医学医療系 教授 高橋 智

3. 日程 2020年10月17日(土曜日) 13時00分 〜 14時30分 (90分)
(江戸川学園取手中・高等学校大ホール:オーディトリアムにて講義:講義テーマ『宇宙動物実験』)

4. 参加生徒 高等部2年生 (78名)
2年1組 男子20名 女子19名 合計39名
2年2組 男子20名 女子19名 合計39名


講義風景

         
 筑波大学医学医療系教授である 高橋 智 先生の研究分野は、病態医化学・発生生物学・免疫学・解剖学です。すべての医師が臨床医ではなく、医師免許を持って幅広いキャリアプランを考えることが重要であると教えて下さいました。    高橋 智 先生たちが中心となって開発したマウスを用いた研究が、国際的に高く評価されております。遠心装置による人工重力装置の開発など教えて下さいました。いろいろなアイデアが形となったものだそうです。    先生は、令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰を受けられました。『宇宙マウス飼育システム開発から健康長寿と有人探査への貢献』という業績に関して質問をする生徒です。これからの医師は、宇宙分野でも貢献できることが多くあることを教えて頂きました。
         
         
 マウスを用いた宇宙実験の全体像を教えて頂きました。日本の宇宙開発の基礎研究など非常に興味深い話がありました。先生の研究によって、人類が月や火星に行くために重要で基礎的な研究ができるようになってきたそうです。    宇宙を場にした研究ということで、いろいろな質問が生徒から積極的にありました。どのような質問でも、優しく丁寧に答えて下さる高橋先生でした。    最後に高橋先生から「目標(夢)をもつことがすべての始まりです。大きな目標(夢)を持って、それに向かって頑張って下さい。」という、とても素敵な言葉を頂きました。講演を終えても、先生に質問をする生徒もいました。


生徒の感想
 ●  『マウスを宇宙に連れて行く』という面白い実験を初めて成し遂げた高橋先生のお話はとても貴重で、「私の人生において後にも先にもないであろうな。」と言うことができるほど、興味深いものでした。私は生物選択であり、現在遺伝子の分野を習っています。なので、私の知っている単語、実験方法を高橋先生も行っていたと知り、先生のお話の内容や目的、何を研究したいのかということを理解することができ、とても嬉しく、生物を選択していて良かったなと思いました。私は、恥ずかしながら、宇宙に関しては無知で、宇宙飛行士は筋トレを行わなければ筋肉量が減ってしまうこと、地上に帰還する際、宇宙酔いを起こしてしまうことなど全く知らないことが多数あり、高橋のお話は驚きの連続でした。
 マウスを宇宙に連れて行くための道具も沢山の人々の知恵と努力と熱意がこもっていることが伝わってきました。また、無重力空間でのマウスの様子を撮影した動画を拝見させていただくことができ、マウスの適応能力の高さを知りました。帰還後のマウスの筋肉量の測定や骨の比較などといった実験結果も見ることができただけでなく、子供を作ることができるということを知ることができ、尚且つそのマウスの子供の比較も行うことで、さらなる生命の未知の分野は通ずる最先端の実験を高橋先生は行っていらっしゃるということを実感しました。そしてそのような最先端な情報を知ることができ、本当に私は幸せ者であるなと実感しました。
 私は、今年一年をかけて研究する探究学習の授業で偶然筋肉についてをテーマとしており、今回の高橋先生の実験結果にある『筋肉を萎縮させる遺伝子』というものに大変興味が湧きました。ALS という難病についても調べる予定だったので、将来大学生になったら本格的に筋肉と遺伝子に焦点を当て、高橋先生の実験結果やALS についてなども研究することができたらいいなと思いました。
 高橋先生のお話はあまりにも面白く、時間の経過がとても早くなってしまったように感じました。高橋先生のお話を通じて、私は臨床医も研究医も「なぜそうなるんだろう」という疑問を常に抱くことが前へと進む第一歩なのではないかと思いました。なので、常に自分の好奇心や疑問点に忠実に、そして、一度浮かび上がったものは必ず最後まで成し遂げるようにしようと思います。
 とても貴重なお話を聞くことができ、とても嬉しく思います。ありがとうございました。

 ●  今回宇宙実験についてのお話を聞けるということを事前に聞いていて、「医療と宇宙にどんな関係があるのだろう」と思っていました。しかし、始まってすぐ宇宙でネズミを使った実験をしたというお話が出てかなり興味が湧きました。人間が生活するのでさえ厳しい環境である宇宙で、全てのネズミを健康な状態のまま地球に戻ってきたこと自体が本当にすごいことだと感じましたが、その結果を導き出したのは紛れもなくその実験に向けた熱意と綿密な準備によるものであるので自分が気になるという気持ちを原動力として今後の社会の人間生活に活かせる実験を行っているのが人としてとてもかっこいいなと思いました。正直、今の私には専門的な知識が薄く、大学に入ってやりたい研究や調べたいことが明確に決まっていません。しかし今回のお話を受けて自分が知りたいと思ったことを周りの協力を得て実行することの喜びや楽しさを味わってみたいと思ったので色々な方向にアンテナを張って自分の興味の範囲を広げていきたいなと思いました。

 ●     私はつくば市に住んでいます。幼い頃からよくJAXAやエキスポセンターを見学していて、小さい頃はとても宇宙に興味がありました。しかし私はそれを忘れかけながら、医師という将来の夢を持ちました。そのため先生の講義によって、あの頃宇宙に胸を踊らせていたことを思い出すと同時に、宇宙と医学の両方に携われる先生のお仕事がとても魅力的に思えました。
 国際宇宙ステーションで動物実験が行われていることは何となく知っていたため、私はてっきり、昔からマウスも宇宙で実験されていたのだと思っていました。ですがマウスを宇宙に運ぶことに成功していたのが思っていたより最近の話であったことを知り、やはり宇宙に関する研究はそう簡単にいかないものだと感じました。講話を通して、マウス12匹を無事生還させていたことがいかにすごいことなのかを感じることができました。
 また、無重力空間での生活は宇宙酔いなどだけでなく、やがて免疫機能の低下にまで繋がることを初めて知りました。宇宙開発の研究と医学は切っても切り離せない関係にあることを知り、宇宙の奥深さはもちろん医学も幅広く応用されていることを実感しました。
 先生の説明されていた実験では、微小重力と人工重力という対照実験が行われていましたが、その一定のマウスにのみ人工重力を生み出すことのできる装置に驚きました。それにより筋肉や骨の萎縮を抑えることができるという確かな発見も、マウスを運ぶ装置や人工重力を生み出す装置無くしてはできなかったものです。様々な分野が協力しあって初めて成せていた実験であると感じました。
 今までは、特に明確な理由もないまま、臨床医として病院で働くことをずっと目指していました。ですが、先生の講義をお聴きして、将来研究医になるのもいいかもしれない、と思うようになりました。今回の講義は、最新の研究内容を学べただけでなく、将来の新たな選択肢が自分の中にできるきっかけとなりました。先生、ありがとうございました。

 ●    私は今まで、学校行事を通してたくさんの医師の方々のお話を伺ってきました。しかし、臨床医ではなく、研究医の方のお話を聞くのは初めてでした。なので、今まで聞いてきたお話とは違い、実験や研究について詳しく知ることが出来、非常に有意義な時間となりました。また、高橋先生が研究している宇宙についてのお話も詳しく聞くことが出来、興味を持ちました。特に興味を持ったお話は、マウスを使った実験のお話です。多数のマウスから少数のマウスを選び出し、2種類の状態に分けて対照実験を行っていました。また、実験の映像を見ることが出来、実際の実験の過程やマウスの動きなどを見ることが出来てとても面白かったです。普段、医科講話やメディカルサイエンスなどを通して、根気よく実験することが大切であると聞きますが、今回の講義でもその通りであると改めて確認出来ました。私は、将来臨床医になることを志していますが、今回の講義で学んだことを生かして将来に繋げたいと思いました。

 ●    今回の高橋先生の講話は医療の将来を意識させられるものだったと思います。僕は実験が好きで、化学同好会などの参加しているのですが、高橋先生が話されていた実験はとても規模が大きく、得られる結果は人間の宇宙利用の道標となるということでただただ憧れました。現在医療という言葉を聞くとコロナウイルスや癌、心臓病などが上がると思います。しかし世界中で宇宙利用の計画が上がっています。以前スペースX社の火星旅行計画や中国の月の裏側の探査を行う計画がニュースになっていました。この時僕は宇宙にいることで人体に起きる問題があることを完全に忘れて「どんなロケットを作るのかな」とかを考えていました。宇宙で生活するということの問題点を調べ、解決していくというのは人体実験に近いと思います。その点宇宙飛行士という職業は人体実験に近いと感じます。もちろん期間は短いのでしょうが怖い仕事だと思います。薬の治験はネズミなどを使いますが、この宇宙実験は地上での生体実験と同じだと思います。ただ、一回ごとに莫大な費用が掛かり、時間がかかると思います。ですが、それでも僕が憧れたのは「他の人にはできない」という点です。これは父の受け売りなのですが、もし、研究医などの職業になるなら、その分野の第一人者と呼ばれるようになりたいと思っています。宇宙の分野はおそらく今後開発が進み、予算の取り合いとかが起きそうだと思っています。また他の分野でも、お金の問題は大きいと聞きます。もし研究を仕事とするならそのような中でも選ばれ、十分な費用のある実験ができればと思います。

 ●    今回の高橋先生の講義で宇宙生物学について知り、学びました。また、宇宙生物学に興味を持ち、いろいろ調べて、自らも学んでいきたいと思いました。元々宇宙などに興味を持っていて、これからもたくさんのことについて知っていきたいと思っているので、貴重な話をお聴き出来て嬉しかったです。マウスを用いた宇宙環境影響の解析のお話をお聴きしました。宇宙の動物の生活についてはあまり調べてこなかったので、宇宙に人間が行ったときの様々な影響を知ることもできました。宇宙での生活では、めまいなどの症状がある前庭機能異常、重力がある中で足の方にかたよる血液が無重力の中にいることによって血液が均等に回り、顔が腫れてみえる体液シフト、筋委縮、骨委縮、宇宙放射線が問題にあることを知りました。また、地球に帰ってきたときの問題は、自分でしばらく動けなくなったり、立てなくなったりする重力酔い、筋萎縮、骨委縮があると聴きました。宇宙に行くにも多くの乗り越えなくてはならないことがあり、宇宙に行ったあとも筋萎縮や骨委縮に気を付けてトレーニングをしなければならないのでとても大変で、覚悟のいることなのだと思いました。そして、実際にマウスの宇宙実験を見て思ったのが、人以外が浮いているのがとても面白かったです。行動観察、臓器におこる影響、次世代への影響を調べることを目的としていて、宇宙での姿やマウスの生態を知ることができました。今後、宇宙についていろいろと進んでいくことも知れたので、自分で情報を集めたり、考えたりして、宇宙について、人体や他の動物、臓器についても知っていき、これからに活かしていきたいと強く思いました。