アフタースクール

東邦大学 出張講義

 1.  実施目的  大学の専門分野の講義を聴くことによって、自然科学の魅力や、奥深さを感じ取り、今後の学習に活かすことを目的とする。
 多忙な先生ですが、今年度も大学を通じてお願いし、本校において今夏のアフタースクールの講義をして頂けることになりました。

 2.  実施講師  東邦大学 理学部 物理学科 物性物理学教室 教授 西尾 豊


 3.  実施日程  2019年8月2日(金曜日)
 5校時目 〜 7校時目 :  13:05 〜 15:40 (155分)
 
  
 4.  参加生徒  高等部1年生(42期生)医科コース
 @ 高等部1年1組 在籍 36名 (参加者 女子 12名 男子 17名 合計 29名)
 A 高等部1年2組 在籍 35名 (参加者 女子 11名 男子 13名 合計 24名)

 5.  講義内容    マイナス200度の世界を体験しよう
 液体窒素を用いて極低温の世界を体験します。極低温の世界では空気が液体、または固体になる世界です。我々が生活し体験している(高温の)世界では考えられない超伝導などの世界を体験しましょう。

実験の様子

     
 東邦大学理学部物理学科の西尾先生から今回の実験の内容について講義がありました。極低温にすることで、熱のノイズが減少し、量子の不思議な世界が見られるようになるそうです。  低温液体の種類と特性についてお話しをして下さいました。今回の主役は液体窒素で、その沸点は−196℃です。一方、酸素の沸点はわずかに13℃だけ高く−183℃です。この違いが今回の実験では重要な値となります。  先ずは、生徒に風船を膨らませて、呼気を液体窒素で冷却しました。冷却過程では風船の体積が小さくなり、室温に戻すと大きくなりました。その際にいろいろな現象が観察されました。その度に先生から解説がありました。
 
     
 酸素が入っている風船を取り出し、液体窒素で冷却することで酸素を液体にすることができました。そして、液体酸素に火の付いた線香を入れると激しく燃えだしました。先生は「科学は再現性が重要」と、言い何度も繰り返し実験を見せて下さいました。    液体窒素を樹脂製のお玉に入れて机にこぼすと、液体窒素は小さな液滴となって実験台の上を走っていきました。この運動を見て物理基礎を学んでいる生徒たちは「等速直線運動」のようだと言い出しました。しかし、先生からよく観察すると違うかも知れないと説明がありました。    先生が作られた超伝導物質が磁石の上で浮き上がっています。この現象はテレビなどで見たことがある生徒は多くいたのですが、実際に手に触れさせて頂くような非常に貴重な経験をさせて頂きました。実際に目の前で起きる不思議な現象にいろいろな質問が出ました。その度に先生は丁寧な解説をして下さいました。
  
       
         
 いろいろな体験を通して生徒たちに理学研究の面白さを教えて下さいました。医学部での学び方、理学部での学び方、工学部での学び方などそれぞれの違いについても紹介して下さいました。  近年は超高圧の実験ができるようになったそうです。そのため金属以外でも超伝導現象が発見されているそうです。先生は、「硫化水素」が非常に高い臨界点を示し、まだ分からないことがたくさんあることも教えて下さいました。  実験に残った液体窒素を廊下にこぼす大規模な実験です。先生だけでなくやってみたい生徒にも体験させて頂きました。足下に流れてくる液体窒素が来る度に歓声が上がりました。



西尾 先生 の実験の様子(7分55秒)
マイナス200度の世界を体験しよう

生徒の感想

 ●    超伝導の実験で磁石が浮いていてすごいと思った。仕組みの説明は少し難しかったけれど、とても面白かった。

 ●    酸素が液体の状態になっているのを見るのは初めてで、貴重な体験ができた。また、強力な磁石が高温超伝導体の上に浮かんでいるのは驚いた。

 ●    私自身、昔、治療で液体窒素を使ったことがありましたが、どのような性質を持っているのか詳しく知らなかった。また、液体なのに手を入れても手につかないところが面白かった。

 ●    自分の手で液体窒素に触れたこと。ブクブクしたものが手に触れて、最初は何がなんだかわからず驚いた。

 ●    液体窒素に触れたこと。液体酸素の色が青色だったこと。

 ●    超伝導の仕組み、今まで知らなかった世界を知ることができたこと、様々な物質でつくりを出すことができることが印象的に残った。

 ●    超伝導により物質が浮いたのに感動した。空気の層ができて摩擦が少なくなった液体窒素が流れるのがおもしろかった。液体になると酸素が青色になるのが以外だった。

 ●    実際に液体窒素の中に手を入れたのは初めてだったので、とても印象に残っている。また、高温超伝導体の上で磁石が浮いたり、磁石の上に浮かしたりした実験に感動した。どれもとても面白かった。

 ●    液体窒素に初めて触って想像していたものと大きく違いました。磁石が浮いたのがすごく驚いた。

 ●    超伝導体の実験が印象に残っている。磁石とは全然違くて見ていて面白かった。逆に、近づくようになったことも本当に糸で繋がっているようで面白かった。


事後アンケート

質問1.この「実験教室」は、今後の学習への理解に役立ちましたか?

 質問1.理解  1組  2組  全体 
 @ 非常に役に立った   29名    100%    24名    100%    53名    100% 
 A 少し役だった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 
 B 変化がなかった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 
 C あまり役に立たなかった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 
 D まったく役に立たなかった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 


質問2.この「実験教室」の時間はどうでしたか?

 質問2.時間  1組  2組  全体 
 @ 非常に短かった   5名    17.2%    3名    12.5%    8名    15.1% 
 A やや短かった   3名    10.3%    3名    12.5%    6名    11.3% 
 B ちょうど良かった   19名    65.5%    15名    62.5%    34名    64.2% 
 C やや長かった   2名    6.9%    3名    12.5%    5名    9.4% 
 D 非常に長かった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 


質問3.この「実験教室」の内容はどうでしたか?

 質問3.内容  1組  2組  全体 
 @ 非常に簡単だった   4名    13.8%    0名    0%    4名    7.5% 
 A やや簡単だった   1名    3.4%    2名    8.3%    3名    5.7% 
 B ちょうど良かった   12名    41.4%    13名    54.2%    25名    47.2% 
 C やや難しかった   12名    41.4%    6名    25.0%    18名    34.0% 
 D 非常に難しかった   0名    0%    3名    12.5%    3名    5.7%