アフタースクール

千葉科学大学 出 張 講 義

 1.  実施目的  大学の専門分野の講義を聴くことによって、自然科学の魅力や、奥深さを感じ取り、今後の学習に活かすことを目的とする。
 多忙な先生ですが、今年度も大学を通じてお願いし、本校において今夏のアフタースクールの講義をして頂けることになりました。

 2.  実施講師  千葉科学大学 薬学部 薬学科 助教 川島 裕也

 3.  実施日程  2019年8月1日(木曜日)
 5校時目 〜 7校時目 :  13:05 〜 15:40 (155分)
 
  
 4.  参加生徒  高等部1年生(42期生)医科コース
 @ 高等部1年1組 在籍 36名 (参加者 女子  6名 男子 18名 合計 24名)
 A 高等部1年2組 在籍 35名 (参加者 女子 10名 男子 12名 合計 22名)

 5.  講義内容    メチルオレンジの合成実験
 スルファニル酸 と ジメチルアニリン を用いて、酸塩基指示薬である メチルオレンジ(MO)を合成する。

実験の様子

     
 川島先生より、今回の実験についての講義がありました。高等部1年生では化学基礎を学んでおり、まだ有機化学を学習していません。しかし、その生徒でも分かりやすく説明をして下さいました。反応に関する仕組みなど丁寧に教えて頂きました。  川島先生は 今井研究室 に所属されています。今井先生のご指導のもと、本校用にスモールスケールでの実験を開発して下さいました。すべての試薬は、このような形で準備されており、スポイトで滴下することで反応できるようになっていました。  今井研究室に所属している学生が実験アシスタントとして参加して下さいました。今回の実験では、今井先生が海外の大学で研究活動をされていた時に使用していたガラス器具を作成することから始まりました。このような体験は普段の授業ではできません。
 
     
 川島先生に直接実験を教えて頂きました。分かりにくい操作や、実験の途中での疑問点でも先生はすぐに分かりやすく答えて下さいました。様々な実験器具がコンパクトに収められており、何よりも、生徒も実験に集中できる配慮がありました。    氷で冷却しながら反応を進めていきました。これは大学受験でも頻出な問題の一つです。このような体験を通しておくと、問題を見た時にも役立つと考えています。本校の化学の実験では、アゾ染料の合成を行っています。    川島先生が本校用に準備して頂いた配布資料だけでなく、スクリーンにも投影して分かりやすい手順で実験がスムーズに進行していきました。また、アシスタントの大学生も今回の実験に対して非常に訓練されており、とても丁寧に対応して下さいました。
  
       
         
 今回の実験はただメチルオレンジを合成するのでなく、実験操作の途中である試薬の量だけを変化させる工夫がありました。そのため実験結果が大きく異なり、なぜそのような現象が起きたのか生徒たちは考えなければなりません。  実験操作は容易なのですが、なぜそのような現象が起きているのか考えながら実験を進めていかなくてはいけません。そのヒントは、先生が作成した配付資料の中に書かれていたのですが、生徒たちはなかなか気が付きませんでした。  無事にメチルオレンジの合成に成功したようです。塩酸を加えて酸性にすると赤色になり、水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性になると黄橙色に変化しました。



川島 先生 の実験の様子(3分6秒)
メチルオレンジの合成実験

生徒の感想

 ●    ガラス棒からろ過するための実験がとても面白かった。1滴と12滴で最初にわけたのがなぜかと気になったが、最後までその理由が分からなかった。

 ●    ガラスを熱するとやわらかくなって延ばすことができるということを実際にやってみておもしろかった。ジメチルアニリンがどうゆうものかよくわからなかったけれど、メチルオレンジの合成がうまくいってよかった。

 ●    指示薬を使った実験はしたことがありましたが、実際にメチルオレンジを作るのは初めてで、しかもジメチルアニリンを除き、大体知っている物質から作っていたため、とても楽しかった。ガラス細工が難しかった。

 ●    ガラス棒から実験器具を作ったことがとても面白かったです。「器具がなければ自分で作る」という言葉が印象に残っています。

 ●    A班(NaOH1滴サンプル)に黄色、白色の結晶がでたこと。特にその結晶が単色ではなかったこと。この結晶の正体を調べたい。

 ●    吸引ろ過というのを初めて知って驚き、印象に残った。また、ガラス器具を作るのがおもしろかった。

 ●    メチルオレンジで色が変化すること(勉強が進んだら何故そうなるのか詳しく理解したい)。

 ●    吸引ろ過に使うガラス器具を作るという発想が印象的。色もきれいに変わって楽しかった。

 ●    実験器具を自分の手でつくったのは初めてだったのでとても印象に残った。良い経験になった。

 ●    スファニル酸に5%炭酸ナトリウムを入れたときに発生した気体が何なのか気になった。ガラス棒をのばした時上手にできてよかった。メチルオレンジが指示薬として機能したときは感動した。


事後アンケート

質問1.この「実験教室」は、今後の学習への理解に役立ちましたか?

 質問1.理解  1組  2組  全体 
 @ 非常に役に立った   23名    95.8%    21名    95.5%    44名    95.7% 
 A 少し役だった   1名    4.2%    1名    4.5%    2名    4.3% 
 B 変化がなかった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 
 C あまり役に立たなかった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 
 D まったく役に立たなかった   0名    0%    0名    0%    0名    0% 


質問2.この「実験教室」の時間はどうでしたか?

 質問2.時間  1組  2組  全体 
 @ 非常に短かった   3名    12.5%    3名    13.6%    6名    13.0% 
 A やや短かった   4名    16.7%    3名    13.6%    7名    15.2% 
 B ちょうど良かった   15名    62.5%    16名    72.7%    31名    67.4% 
 C やや長かった   1名    4.2%    0名    0%    1名    2.2% 
 D 非常に長かった   1名    4.2%    0名    0%    1名    2.2% 


質問3.この「実験教室」の内容はどうでしたか?

 質問3.内容  1組  2組  全体 
 @ 非常に簡単だった   0名    0%    1名    4.5%    1名    2.2% 
 A やや簡単だった   2名    8.3%    2名    9.1%    4名    8.7% 
 B ちょうど良かった   14名    58.3%    12名    54.5%    26名    56.5% 
 C やや難しかった   6名    25.0%    7名    31.8%    13名    28.3% 
 D 非常に難しかった   2名    8.3%    0名    0%    2名    4.3%