海辺の生物体験 ウニの発生観察

 目 的  :  21世紀における科学技術人材育成の中で、我々人類も含め、生命の本質を理解するためには、様々な生き物の生態について正しく理解することが大切です。今回、海辺の実際の生命現象を様々な視点から実験・観察することを通して、生命の本質についての探求心を養うことを目的に「海辺の生物体験」を実施することになりました。このプログラムは、お茶の水女子大学と提携したもので、主にウニの発生の観察を行いました。

 場 所  :  お茶の水女子大学 湾岸生物教育センター(館山臨海実験所)
〒294-0301
千葉県館山市香11

 日 程  :  平成31年1月26日(土曜日) 〜 27日(日曜日) 1泊2日

 参加生徒  :  8名

 引率教諭 :   中等部2年2組(医科ジュニアコース)  担任  熊井 優 (理科教諭:生物学担当)

 指導講師 :   お茶の水女子大学 基幹研究院 自然科学系 准教授 清本 正人


 
 今回の実験で使用したバフンウニ(Hemicentrotus pulcherrimus)の放卵の様子です。
 KClの刺激によって筋肉の収縮がおき、黄色い卵が放出されていきました。

1月26日(土曜日)

 11:00    JR館山駅(東口)集合
 11:45    現地到着予定
 12:00    昼食
12:30    開講式 及び 実験ガイダンス
 13:00    ウニの人工授精と卵割の観察
(人工海水の組成を変化させた時の発生の違い : Ca2+ 濃度の変化)
 18:00    夕食
 19:00    講義 細胞の分裂 (基幹研究院自然科学系 准教授 清本正人 先生)
 ウミホタルの観察 ← 今回も先生のご厚意によって予定の講義内容を変更致しました
 22:00    入浴・就寝


     
 研究室で飼われているウニです。
 【清本先生のご専門が棘皮動物です。】
   今回の実験で使用した「ウニ発生観察簡易キット」
 有限会社お茶の水研究支援システム
 お茶の水女子大学
 清本正人 監修

1月27日(日曜日)

 8:00    朝食
 9:00    ウニのプルテウス幼生と稚ウニの観察
 11:30    閉講式
 12:00    昼食
12:30    現地出発

実験の様子

         
 研究室内にあるウニガラを見せて頂きました。また、ウニの体は五放射相称形で、すべて海で生きていることを教えて頂きました。そして、古くから発生の研究材料として使用されてきました。    今回使用したウニは産卵期の関係からバフンウニを用いました。写真は雌で、放卵の様子が観察されました。卵の大きさは約0.1mmなので一つ一つの粒子が目でも確認することができました。    ウニの口器を取り除いて頂き、0.5MのKClを注ぐと、その刺激によって5つある生殖孔から5本の「筋」となって卵や精子が放出されることを観察しました。
         
         
 研究室にある顕微鏡を一人一台お借りして、観察をすることができました。今回は8名の参加だったので棘皮動物を専門とする研究者から直接きめ細かい指導を受けることができました。    今回の実験では、清本先生が監修した、有限会社お茶の水研究支援システムの「ウニ発生観察簡易キット」を購入し、一人ずつ実験と観察を行うことができました。    実験室の様子です。清本先生が作成して下さった実験テキストに基づいて、ウニの発生に関する実験を始めました。
         
         
 受精が成功すると、受精膜の形成が観察されました。そして、細胞分裂が始まり、二細胞期が見られました。実際に、いのちが誕生していく様子を観察することができました。    原腸胚とプルテウス幼生です。実験時間の関係で、2日間の観察では原腸胚が観察されました。プルテウス幼生は、事前に清本先生が調整して育てて下さったものでした。    偏光板を用いて観察すると、骨の組織が輝き観察することができました。この偏光を用いた顕微鏡の観察から、原腸胚から骨の初期形成が始まっていることがわかりました。