東邦大学出張講義

 1.実施目的  大学の講義を体験し、研究や専門分野の講義を聴くことによって、自然科学の面白さだけでなく、奥深さを体験し、今後の日々の学習に活かすことを目的とする。

 2.実施講師
 東邦大学  理学部  化 学 科  生物有機化学教室  准教授  齋藤 良太
 東邦大学  理学部  物理学科  物性物理学教室  教 授  西尾 豊

 3.実施日程  平成28年7月23日(土曜日)

1時間目  9:30〜10:30 (60分) 自然科学棟 化学β実験教室
「光る分子と先端技術」 講義担当 齋藤 良太 先生
【講義内容】
  ホタルなどの生物発光に関わっている化合物と発光のしくみについて解説します。そして生物発光と有機ELとの共通点についても紹介し、発光性の科学物質が関わる先端技術についても講義します。

2時間目 11:00〜12:00 (60分) 自然科学棟 物理学実験室
「マイナス200度の世界を体験しよう」 講義担当 西尾 豊 先生
【講義内容】
  液体窒素を用いて低温の世界を体験します。極低温の世界では空気の液体あるいは固体となる世界です。我々が生活し体験している(高温の)世界では考えられない超伝導などの世界を体験しましょう。

 4.参加生徒
 ク ラ ス  1時間目  2時間目
 高等部1年1組  17名  17名
 高等部1年2組  21名  21名
 高等部2年1組   1名   4名
 高等部2年2組   7名   8名
 合 計  46名  50名
尚、自然科学棟の座席の関係で当初40名で応募したところ、多くの生徒から希望がでたので 医科コースの生徒を優先 させて頂きました。
また、その後の打ち合わせにおいて東邦大学からの協力があり、医科コースで希望した生徒に関しては全員受講を認めて頂きました。

光る分子と先端技術

         
 齋藤先生から「光る分子」についての講話を受けました。エネルギー図に、孫悟空が登場して面白かったです。    発光生物の話などありました。日本は発光生物の種類が多いなど新しい知識を学ぶことができました。    実際に自分たちで試薬を混ぜて反応させました。本校の医科コース生たちは、多くの実験をする機会があります。
         
         
 スポイトで溶液を取り分けました。一年生は、まだスポイトの使い方も不慣れでしたが、二年生は上手です。    仲間たちと一緒に実験しました。実験操作でわからないことがあれば、直ぐに相談して進めることができました。    ホタルの発光現象など学びました。化学現象だけでなく、生命の不思議な発光現象を知ることができました。
         
         
 光る怪しい液体を助手が飲み干しました。その怪しい液体の正体は、ビタミンB2を含んだ栄養ドリンクでした    蛍光タンパクが励起されて発光しているところです。外部刺激としてブッラクライトのUVを利用しました。    発光タンパクの変性など色調で確認しました。pHや温度を微妙に変化させるだけで色調が変化しました。

生徒の感想の一部抜粋

 ●  クラゲやホタルの発する光の仕組みは、とても複雑な反応によって生み出されていることを知りました。そして、その光は医療の分野でも活かしていくことができることが印象に残りました。
   
 ●  ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応の原理やクラゲがBFPを作り、そのエネルギーをエネルギー交換によってGFPを発光させる複雑な構造を持っていることが印象に残りました。また、ビタミンB2のように身近なところに蛍光物質があることも印象に残りました。発光や蛍光の化学が応用されてガンなどの検出に使われていることも非常に興味を抱きました。
   
 ●  ルシフェリン-ルシフェラーゼ反応による化学発光が終わった後にも、蛍光物質による発光が再び観察できたことや、熱やpHの変化によって発光タンパクの変性が起きて光の色や強さが顕著に変わったことが面白かったです。
   
 ●  以前、お茶の水女子大学での研究施設で見たことのあるウミホタルを乳鉢で磨り潰し、綺麗で青い発光を見たことが印象に残りました。また、ウミホタルを乳鉢で磨り潰していた際に、日常では嗅ぐことがない臭いもあって印象深くなりました。
   
 ●  私の見たことのある発光生物はホタルやウミホタルくらいだったので、日本にはその他にももっとたくさんの発光生物がいると知って驚きました。また本当にわずかにpHを変化さえただけで酵素が変性して、それが発光の色の変化として顕著に現われるのが面白かったです。実験の一つひとつが印象に残っています。
   
 ●  ホタルのおしりを潰して、光を見たことが非常に印象に残りました。また、発光するブタやマウスの写真も印象に残りました。また、有機化合物が生物の発光に関連していたこと、それが今では人工で再現できたり医療の分野で非常に役立っていることを学ぶことができました。

マイナス200度の世界を体験しよう

         
 少量の液体窒素を入れた風船がどんどん大きく膨らんできました。液体が蒸発する際の体積変化を体験しました。    液体窒素を実験台に零すと、温度差が200度近くあるのですが直ぐに蒸発しませんでした。    酸素の入った橙色の風船が、液体窒素に冷やされてどんどん小さくなっていき・・・ 
         
         
 液体酸素が淡青色をしていることと、磁性を持っていることも確認しました。また、線香を入れると・・・    金属性のバケツに液体窒素を入れると不思議なことに周囲が濡れだして、やがてポタポタと雫が落ちてきました。    液体窒素をお玉ですくい取り、超伝導物質を冷却しました。実験は非常に流暢でわかりやすい物理の講話でした。
         
         
 ネオジム磁石は浮き上がりました。マイスナー効果による超伝導体の持つ不思議な性質を観察しました。    反発の具合を西尾先生は全員の生徒に触れされて下さいました。とても不思議な感覚でした。    「ピン止め効果」も見せて頂きました。マイスナー効果との違いも明確に話して下さいました。
     
 極低温の世界では、強力磁石が浮き上がるマイスナー効果が観察されました。その不思議な様子に生徒は感動していました。色々と難しい理論があるようですが、自然の持つ不思議な性質を観察することができました。    実験を見ていた学校長も、生徒と一緒に液体窒素に触れてみました。一瞬のうちに液体窒素は蒸発し、手の表面を覆います。そして気体の熱伝導性は非常に悪いので、わずかな時間であれば液体窒素に触れることができました。

生徒の感想の一部抜粋

 ●  液体窒素というと、少しでも触れた瞬間に低温ヤケドをしてしまう危険なものという印象がありました。しかし、先生の指導の下で触ることができて新鮮でした。
   
 ●  液体窒素をはじめて体験することができてとても楽しかったです。液体窒素の雫を机の上に落とすと、直ぐに蒸発せずにしばらく安定して水滴のようになり、それが等速直線運動をしたりしてとても不思議に感じました。超伝導のところで磁石がうくところが特に印象的でした。また、マイナス200度の世界でも線香が激しく燃えたことも印象に残っています。
   
 ●  先生の指導の下で液体窒素に触れたこと。床や実験台の上でライデンフロスト現象を起こしたことなど印象に残りました。他にも超伝導は画像や動画でしか見たことがなかったので実際に見ることができてとても楽しかったです。超伝導による電気抵抗0(ゼロ)での電力備蓄は今後どのようになっていくのか興味を持ちました。
   
 ●  液体窒素を直接自分の目で見たことがなかったので、今回の実験ではとても間近で見ることができたことができたことが印象に残っています。また、その他の実験も自分の中で予想しながら見ることができて、より理解をすることができたと思います。
   
 ●  一番驚いたのは、液体窒素の中に手を入れて触れたことです。「触ったらいけない」というイメージが強かったので、最初はとても躊躇しましたが、実際に触れてみると今まで感じたことのないような感覚で新鮮な気持ちになりました。